見出し画像

「白髪染めをやめる」をやめませんか



「最近、白髪染めをやめる人は多いですか?」
「白髪染めをやめるのって流行ってますよね」

と、お客様から聞かれる
多分テレビのワイドショーか何かで見聞きしたのだろう

10年位前からメディアを通じて定期的に出回る情報だが、果たしてその実情は

美容師歴30年の私が、サロンに立ち続けていての感想は

「白髪染めをやめる」は流行っていない。

都市伝説のようなものだと思っている

しかし情報の伝達を整理すると、都市伝説とも言い切れない部分もあるので、その辺りを考えてみる

メディアの影響力

テレビや週刊誌の情報に依存し、強く信頼している層は一定数いる

テレビで流行っているといえば、それは事実だろうと確信している人達

ワイドショーなどで、最近「白髪染め」をやめる人が急増していると報道されれば、当然そうだと思うのだろう

ではなぜその様な情報が、テレビや雑誌などで定期的に取り上げられるのか

雑誌などは特にマスマーケットを意識しつつも、読者層をセグメントしながら、団塊世代と団塊ジュニア世代を中心に時代と共に変化し続けてきた

私ITOも団塊ジュニア世代だから、美容の仕事に携りつつ、時代のビッグウェーブを感じてきた

25年前のカリスマブームの時は、私ITOのスタイリストデビューまでの1ヶ月密着取材が、23:00から始まる某ニュース番組で報道された
私の記念すべきお客様1人目は、仕上がった時に顔出しで取材をされていた

それがテレビ局が送り込んだスタッフだったと、後から知ってバカにされた気分だった

その番組を見て、日本全国から大勢のお客様に来ていただいたので、まあ結果的には良かったのだが

メディアで発信する側のコントロールを垣間見た


雑誌のヘア特集

女性誌における美容ネタは、雑誌記事の重要度で言えば常に上位にいる
特に90年代は、ヘア特集がある月は雑誌が売れると言われていた
なので毎月のようにヘア特集が組まれていた

団塊ジュニア世代が10代後半〜20代前半の頃
(1990年バブル崩壊以降)
当時の大学生やOLさんのバイブルはCanCamでありJJであり、non-noやananだった
悩みと言えば恋愛の悩みくらいで、自分は歳を取らないと思っている最強な世代

90年〜2000年、メディアは最強の世代に向けて、上昇志向のファッションや美容ネタ、恋ばなやモテだけで構成され、またそれで売れていた

同じ頃、その親にあたる団塊世代は、子育てもひと段落し再びオシャレや美容に時間とお金を使えるようになる
娘のオシャレに触発され、ファッションを真似、娘の紹介で同じ美容室に通ったりもした

当時の私は、私の顧客が紹介してくれたお母様層から何故かモテモテだった
ITOは母性本能をくすぐる才能があったのかもしれない
若い子にももっとモテたかった


団塊ジュニア世代が30代になる頃には、AneCanやInRedが創刊されたり、大人向けのヘアカタログが目立ち始めた
欲しいものは、消費者金融という自分の財布が何とでもしてくれた
資本主義的にはいいカモ、最後の消費世代だから世間が放っておかない

大人向け雑誌の創刊ブーム

ここでも我々世代は、マスメディアから完全にロックオンされていた

しかしこの頃から雑誌が売れないと囁かれ始めた
そしてテレビ離れが始まり、若い世代からネットへと徐々に移行していった

団塊ジュニア世代が、オシャレに対して血気盛んな時期を過ぎると「では次の若い世代に向けて」とはならなかった

不景気しか知らない世代はお金の使い方がそれまでとは変化している
アコム、プロミスで借金などしない

欲しいものはネットやSNSで、自分の好みをピンポイントでディグる
雑誌を買わずテレビを見ない世代だから、マスメディアによるコントロールも効かない

そもそも若い人口が減少している事が、経済成長にとってネガティブ要素

2012年頃になると団塊世代が定年を迎え始め、団塊ジュニア世代は30代後半
おじさんやおばさんと自覚し始め他人からもそう見られるようになる
まだ頑張るのか諦めるのか選択を迫られる
ITOはまだ諦めてない48お兄さん


2010年代、この頃から白髪染めをやめるネタが出始めている
メディアは相変わらずこの世代に向けて刺さるワードを探していて、ついに「白髪染め」という問題提起をしてきた

団塊世代には
「リタイヤしたならそろそろ白髪染めやめてみては?」

団塊ジュニア世代には
「白髪染めをそろそろするべき?」
「あえてしないという選択もあるよ?」

こう言った具合で「老い」を煽り心をザワつかせ、メディアの発信に注目させる戦略

今、白髪染めというワードばら撒くと、マスに響きやすい
だってその世代の人口が多いからそれは当然
日本の高齢化がこんな所でもわかる


ここ数年では"エシカル"なる考え方や、怪しい"SDGs"なる取り組みにより、カラー剤が環境や人体に与える影響を問われたりもしている

話は逸れるが
SDGsには山ほど言いたい事はある
SDGsを掲げているメーカーがSDGsの一部だけちょこちょこっとやったふりをして、掲げているテーマの大半は無視して「SDGs!」ってイキってるのは滑稽だ
その企業の存在そのものがSDGsに反しているのではと思う事もある
SDGsのバッジをくっつけてるそこのおじさん、SDGsが掲げている17の目標を全てすらすらっと言えますか?


白髪染めをやめるネタに話を戻す

確かに、思想的には私も共感できる
白髪染めをやめる事は否定しないし、白髪染めをしないというスタンスは、生き方として美しいとも思う

しかし白髪の人が、白髪をしっかり綺麗に染める事により5〜10歳は確実に若返る

アンチ若返りの人には関係ない話だろう
年齢を超越して自分のスタイルを貫きたければそれも良い

ただメディアの報道に踊らされるのには注意したい
「白髪染めをやめる」は流行ってないのだ

「私もそろそろ白髪染めをやめなきゃダメなのかな?」と
白髪染めをやめたくない人まで巻き込むなと言いたい

本当に迷惑だ、やめてほしい。一体誰が得をするというのか


江戸時代の白髪

落語の演目で「親子酒」というのがある
酒好きの親子が禁酒を誓うが、親子共々それができなかったという噺

そこに登場する息子は年頃の青年
そして父親が登場するはずが、何故かお爺さんとお婆さんが登場する、父親と母親は出てこず終い

落語にハマってしばらくして知ったのだが、そこでお爺さん、お婆さんと呼び合っているのは父親と母親だったのだ

青年にもなる息子がいる夫婦なら齢40くらいだろう
40にもなれば白髪も生える、古典落語の舞台となる江戸時代なら初老と言われていただろう

江戸時代にはヘアカラーなどある訳もなく、
見た目が老いていれば父や母であってもお爺さんお婆さんと呼び合っていたのだ

このように、白髪のせいでカテゴリーが上の世代にされてしまうという話で、白髪染めをするのか止めるのか考えてみても良いのかもしれない

最後にまとめ

マスメディアは発信したいと思っている情報の裏付けを取材する時に、自分達に都合のいい人から都合よく取材をする傾向がある
そんな取材でどこかのサービス精神旺盛な美容師が、取材陣が喜ぶようなコメントをぱーぱー喋っているかと思うと「一体お前は美容師と言う仕事をなんだと思っているのか」と言いたくなる

と言う訳で、白髪染めをやめる事が洗練された素晴らしい選択として、それがメディアの仕掛けで流行っているかのように語られるようになったのだ。というコレが私の読み
間違ってたらゴメン


カスタマーが何をチョイスするかは自由だが、美容師が選択肢をあえて狭める事は誰も幸せにしない

美しくなる権利は全ての人にあり、美しさの基準も様々
美意識と流行は同一線上で語れない

しかし美意識と流行を同時に扱う仕事なので
この辺りには感度よくいたいが、環境や経済への配慮もしなくてはならない

美容という仕事を冷静に俯瞰しなければと常々思っている

根元の白髪が伸びている方
ACQUAにてお待ちしております


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

4月 ITOのサロンワークスケジュールのお知らせです。

4/23(金) 夜は不在


当日になり夜の予約がない場合には、ITOは夜の営業を不在にする事があります。夜の予約がご希望であれば、なるべく前日までに予約を入れていただく事をお勧めします

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

皆さまのお越しを、スタッフ一同心よりお待ちしております。
ITOの予約はこちらから
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
https://4cd6fd.b-merit.jp/n4XDZq/web/login?shop_user_id=31717

------------------

Instagram kazaki ito
https://www.instagram.com/kazkaz22/?hl=ja

twitter 伊藤和明
https://mobile.twitter.com/197322k

note イトウカズアキ
https://note.com/kazuaki_ito_plus/

YouTube kazuaki ito
https://youtube.com/user/197322k

------------------
【営業時間】
平日 11:00-21:00
土  10:00-19:00
日祝 10:00-18:00
(月曜定休/祝日の場合火曜日)

ACQUA aoyama
東京都港区南青山4-20-20
モンプチビル1F
03-3478-3131


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?