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お墓参りの作法~上級編~

秋気肌に染む時節、皆様は気温の変化で体調を崩されていないだろうか。

お彼岸がとうに過ぎたというのに、前回の続き「お墓参りの作法~上級編~」を掲載していることに私は罪悪感を感じない。

そのあたり、周りの人の目を気にする質だった小心者から、少しは成長したと私は実感している。

本題に入ろう。

前回はお墓参りに関する基本的な作法を備忘録としてまとめた。

今回はもう少し深掘りして、より詳しい作法を皆様に共有したいと思う。




より詳しく、お盆とは?

お盆とは仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、「盂蘭盆(うらぼん)」が由来とされている。

サンスクリット語の「ウランバーナ」が語源とされており、意味は「逆さ吊り」。

お墓参りにまつわるこんな昔話がある。 ※諸説あります

お釈迦様の弟子の母親は餓鬼道に落ち、逆さ吊りにされて苦しんでいた。
弟子は母親を哀れに思い、お釈迦様に相談したところ、お釈迦様は「修行の最後の日に修行者に食べ物をささげれて供養せよ」と教えを説く。
修行者はその教えのとおり修行者に食べ物をささげ、その功徳によって母親は餓鬼道から脱することができた。

この修行の最後の日が旧暦の7月15日にあたる。

そこからご先祖様を供養する風習が始まったとされているが、日本には古来から夏にご先祖様を祀る行事はあったようだ。

それらの風習が交わって時代とともに変化し、8月13~16の4日間が一般的な「お盆」となったといわれている。

なので、一部の地域では7月13日~16日の4日間をお盆の期間とするところもある。


お彼岸とは?

春と秋に行われる仏教行事。

・3月の春彼岸は春分の日を中日とした前後3日間を含めた7日間
(2023年は3月18日~3月24日)

・9月の秋彼岸は秋分の日を中日とした前後3日間を含めた7日間
(2023年は9月20日~9月26日)

仏教ではあの世を彼岸(ひがん)、この世を此岸(しがん)と呼ぶ。

お彼岸の時期は彼岸と此岸の距離が最も近くなる時期で、ご先祖様の供養を祈る行事となっている。

お盆同様、お墓の掃除やお墓参り、お供え物をするのが習わし。


お墓参りの頻度

お盆とお彼岸(春と秋)の年3回が一般的といわれている。

ただし、明確な決まりはない。

月命日に行く人もいれば、年に1回の頻度の人もいる。

近くにお墓がない家庭は気軽に行くことは難しいため、年に1回という人が多いのではないだろうか。


お墓参りの服装

基本編でも少し触れたが、ここではより詳しいマナーを見ていきたいと思う。

・普段のお墓参り
普段着で問題ないが、派手な柄や色、露出の多い服装は避けよう。
殺生を連想させる動物柄や革製品もNGだ。
お墓の掃除をするため、汚れてもいい恰好が好ましい。
虫刺されや日焼けが気になる人は、長袖長ズボンだと対策はバッチリだ。

・お盆や法事
基本的に上記のような普段着でOK。
ただし、初盆の法要は喪服がマナーとなっている。

・その他行事
人生の節目となる成人式や、会社から内定をもらった時などにご先祖様に報告するもの良いだろう。
振袖やスーツ姿でご先祖様に挨拶をすれば、きっと喜んでくれるはずだ。
下駄は転倒の恐れがあるため、お参りをするときだけ下駄に履き替えた方が良いかもしれない。

・喪服と礼服の違い
礼服とは冠婚葬祭の正装のことをいい、喪服とは葬式、法事の正装のことをいう。
つまり、礼服のうち、葬式等に着用する正装が喪服ということになる。


法事と法要

法事は仏教行事のことをいい、広義な意味合いとなっている。

法要も法事の中の一つの行事ということになる。

個人の命日に冥福を祈る行事は、厳密に言うと法要だ。

法要のことを法事と言う人が大半だと思うが、間違いではないため問題はないだろう。


掃除用具使用の注意点

墓地には桶とひしゃくが備え付けられているところが多い。

共有のものなので自由に使えるが、注意点がある。

無記名、お寺や墓地の名前が記入されているものは自由に使っても問題ない。

しかし、フルネームや家紋が入っているものは個人での使用が前提となっている可能性がある。

無断で使用するのは避けた方がいいだろう。


線香をお供えするときの作法

こちらも基本編で少し触れたが、より正確な作法がある。

線香は火が点いている側が自分から見て左になるようにお供えするのがマナーだ。

もし、火のついた線香がすでに供えられていたら、先に供えてあった線香に合わせて供えるようにする。

また、宗派によって供える作法が異なるが、やり方がかなり分かれるのでここでは割愛させていただく。


お供え物

お墓参りの際のお供え物は、実は果物等の食べ物だけではない。

香、花、灯燭、浄水、飲食を含めて五供(ごく・ごくう)と言う。

それぞれ詳しく見ていこう。

・香
線香を指す。
線香をお供えすることは我々が来たことをご先祖様へ知らせるインターホンのような役割を持つ。
また、良い香りはご先祖様の食事にもなり、場や人を清めてくれる効果もある。

・花
お墓に備える花のこと。
こちらは基本編で詳細を記載しているのでそちらを確認されたし。

・灯燭(とうしょく)
ロウソクのこと。
ご先祖様の悟りの道を明るく照らして迷わないようにする意味合いがある。
不浄なものを寄せ付けず、暗い煩悩からの解放も兼ねている。

・浄水
きれいな水のこと。
場や心を清めるためともいわれている。
お墓の中央にあるくぼみが水受けとなっているので、きれいな水を供えよう。

・飲食(おんじき)
一般的に我々が「お供え物」と認識しているのが飲食にあたる。
果物やお酒、個人が好きだったものを供えるのがポピュラーだ。
お墓に備える際は、お盆や台、半紙の上に置くのがマナーとされている。
こちらも基本編にて詳しく解説がある。


末筆

「お墓参りの作法~上級編~」いかがだっただろうか。

上級というより、基本をより詳細にしただけなのだが、まあ細かいことは気にしないようにしよう。

お彼岸にお墓参りに行く人はどれくらいいるだろうか?

私のご先祖様のお墓は地方にあるので、これからは年に一回のお盆に行くように決心している。

昔はお墓参りなんて面倒だと思っていたが、ご先祖様がいなかったら今の私はいない。

今ここに私が存在していることに感謝をささげ、ご先祖様の冥福を祈ることは大切な行事であることを、この記事を執筆していてはじめて理解した気がする。

私の周りにいる家族や友人も、いつか会えなくなる時が来るだろう。

ご先祖様を大切に思うことは、今の人間関係を良好に保つことにもつながる。

しばらくお墓参りに行っていない人は、少し目上の人に挨拶をするつもりで行ってみてはどうだろうか。


「お墓参りの作法~基本編~」はこちら↓
基本的な作法や持ち物、お墓参りの時期などを掲載。
https://note.com/kazu_note9000/n/n843838e714f9

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