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英会話スクールが追うべき新KPIとは?

こんにちは。英会話スクール「ミライズ英会話」を日本と台湾で、語学学校「ミライズ留学(ロックダウンにより休校中)」をフィリピンセブ島で展開しているミライズ株式会社のカズと申します。初めての方は、こちらに自己紹介をまとめてますので、ぜひご覧ください。

また、この春から英語を始める方向けに記事も書きましたので、ぜひこれを読んで失敗しない英語学習の心構えを理解して学習を進めてくださいね。

さて本題

「カズさん、大変です!今月は多くの会員様が解約になってしまいました。申し訳ありません!」

英会話会員のサポートを担当する西嶋くんが悲壮な表情を浮かべながら報告が上がってきました。英会話スクール運営においては、当然ですがお客様からお預かりしたお金によって経営を行っているため、会員数の減少は良いものではありません。

「おい西嶋!今まで何してたんだ!」といった言葉が喉仏あたりまで出てきそうになりましたが、よく考えると、急に今月になってミライズのサービスが悪化した理由がパッと思い浮かばない。少し違和感を覚えたので、「お客様が解約された理由」について、調べるように指示した結果、興味深い事実が分かってきました。

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解約時のアンケートを見ると、
「望んでいた英語力を得ることができました!」
「目標のスコアを取ることができました!」
「英語が大好きになりました!」
「先生達には本当にお世話になりました」

予想していた内容とは180度違うことに驚きました。アンケート内容の大半は、我々のサービス内容に不満足で解約することになったのではなく、生徒がミライズ英会話に通う目的を達成したための解約でした。ちょうど1年前に入会した生徒が多く、1年を区切りとして勉強に励んでいたのだろうと想像できました。

つまり、

ご解約された生徒様の75%は、サービスに満足頂いた上での「ご卒業」だったのです。

思わぬ事実に、ハッとさせられた気がしました。

まずは担当者の西嶋くんに謝らないといけないですが(笑)、これって業界構造として難しい部分があるよなぁ〜と考えさせられたので、記事にしてみようと思います。

理想と現実のはざま

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そもそも、英会話スクールの役割を考えると、「サービス提供によって、お客様の求める英語力を実現させること」になるかと思います。お客様は何かしらの理由によって英語が必要となり、その英語力を手に入れるために英会話スクールを探しています。

つまり、英会話スクールに通うこと自体は「目的」になることはなく、その先にある目標を達成するための「手段」である、という立ち位置を間違ってはいけません。言い換えると「通過点」である事が重要なのです。

でもここで問題が起こってきます。

英会話スクール側からすれば、なるべく長く生徒に通っていただく事で経営を安定させていく必要があり、おそらくミライズも含めた多くのスクール担当者は、会員継続率(退会率)の目標を持っているため、ここに大きなコンフリクトが発生せざるを得ない状況なのは事実だと思います。

その結果として、もう既に目的を達成して退会しようとする生徒までも引き留めてしまい、気まずい感じになってしまった...といったスタッフも多いのだろうと想像します。

さらに、この問題の厄介ポイントは、英会話スクールが良いサービスを提供すればするほど、生徒の英語力はグングン伸びていくと仮定した場合、結果として最も良いサービスを提供したスクールの生徒一人当たり売上が1番小さくなる可能性がある点だと思います。

良いサービス提供 → 早く目標に到達 → 卒業

正直に良いサービスを提供した事業者が損をし、そうでない事業者が得をする可能性がある。あまり大きな声では言えませんが、この特有の構造が英会話スクール業界の発展を阻害している要因の一つなのではないと、個人的には思っています。

TOEIC受験者の平均スコアは20年前とほぼ横ばい
:580点(2000年)→588点(2019年)

例外もある

一方で全てのケースが「長く通っている=悪」ではないことも触れておきます。例えば以下のような。

この件は確かニュースにもなったので覚えているのですが、最初見た時は一瞬違和感がありました。それはこれまでに挙げてきた理由からだと思います。

ただし留意が必要なのは、英語学習者は、単に英語力の向上だけを目的としないケースもあります。それは以下のような目的の場合です。

①英語でのコミニュケーション自体を楽しむため
②英語力の向上ではなく、維持のため
③単純にスクールに行くのが好き

もはや趣味に近いイメージですかね。

お仕事では使わないけど、自分のライフスタイルの中に英語が溶け込んでいる人とでもいいましょうか。おそらく上のイーオンに15年間通われた方も、途中から英語が趣味になったのだと思います。それで15年通われたことは誰からも批判される事でもないです。

※仮にイーオンが引き止め続けたことによって、結果として15年通い続けたとしたのなら、それはすごいことです(笑)

あるべき姿

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英会話業界には新しい指標があったら素敵だなと思っています。

それは「卒業率」です。

生徒からすれば、英会話スクールを退会する理由が「解約」なのか「卒業」なのかは当然分かっているはずなので、きちんとサービスを提供できた証として卒業率をKPIとして追っていくのはすごく合理的だなと。

僕の友人が最近中学生向けの学習塾経営をスタートしましたが、ある意味で羨ましいなと思ったのが、中学1年で入学したら、全員3年以内で卒業するという点です。そして、「○○高校に合格する!」といった明確に期限とゴールが定められた中でサービス提供を行うので、良いサービスを提供できたかが一目瞭然なのです。(一方で毎年の集客は大変だ〜っと嘆いてましたがw)

もちろん、卒業を追っかけて行くことで前述の継続率ジレンマ問題が出てくるとは思いますが、現代はSNS等のテクノロジーの進化によって全てがさらされる時代。特に悪いサービスの評判は恐ろしいくらいのスピードで拡散していきます。なので、良いサービスの提供を続けていけば中長期的には必ずプラスになるはずですし、その先には健全に発展した英会話業界の姿があるのではないかと思います。

僕らミライズとしての答えも明確で、「僕らが作りたい未来ってどっちかな?」と考えたら、一切迷うことはありません。僕らの存在価値は生徒様を「卒業」させることにあるのですから。

最後まで読んでいただきありがとうございます



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