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山に登ること

登山に行ってきました。私の学校では、4年生と6年生が、恒例行事として山に登ります。

校長は、最後尾です。トランシーバーから随時報告があるので、先頭が今どのあたりを登っているのかは、何となく分かります。出発した頃は軽い足取りですが、山道に入ると、蒸し暑さ、背中を伝わる汗が気になり始めました。最後尾を歩く子どもも、「あと何分?」「あと、どれくらい。」と気になります。

ふと耳を澄ますと、鳥の鳴き声が聞こえました。何という鳥だろう。川のせせらぎ・沢の音も聞こえてきます。いつも聞いているはずの鳥の鳴き声や川の流れ。普段は気に留めていませんでした。

山の匂い。少し湿っぽいというか、でも透き通るようなあの山の匂いです。最近、外に出るときは、匂いを感じない生活をしていました。

頂上から見る景色。高いところから眺める我が校区。遠くに連なる山並み。人の姿こそ見えませんが。そこには何万人、何十万人という人の暮らしがあります。言葉にするのは簡単ですが、「俯瞰する」という言葉はこの場面からきているのでしょうか。

自分のペースで登ること。一歩一歩前に進むこと。苦しいことを克服すること。道中、普段気に留めていなかったことに気づくこと。久しぶりに山に登り、登山にはたくさんの意義があることを思い出しました。実は高校時代、山岳班(部ではなく班という)でした。

「もうちょっと。頑張って!」「ここ、足気をつけて。」と、あちらこちらから声が聞こえてきました。6年生です。

「最後尾」が到着した瞬間、拍手が沸き起りました。4年生です。そんな、子どもたちの優しさに出会いました。

素敵な登山になりました。

【2022年6月7日 初出】

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