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 [巻物と女] ②

 あの山のてっぺんにある茶屋まで
 この巻物をお届けくださいませ
 よろしくお頼みいたします。

~オリジナル物語 第2回 ~ 昨 瀬戸和吉

山のてっぺんにある茶屋までの荷役で、巻物を届けることになった五吉。
山のてっぺんの茶屋までは、若い五吉でも三日は
かかるであろう距離があったのじゃったが、五吉はふと不思議に思ったのじゃ。
女に、巻物の荷役を受ける時にじゃが、受付台で
届け先の茶屋と、女の名を台帳に記してもらう様
頼んだ時、女が言よった事を思い返してみたのじゃった。

女「必ず山を越えて、三つ目の山のてっぺんに、茶屋はありますので、それから私の名は記帳できないのです。
五「届けるのには、届け先と届け主を記帳されん事には、荷役出来んのじゃがなぁ!!」
女「どうか、お願いいたします。」

女は何故か淋しそうに巻物を見て、五吉に頼んだのじゃった。
五吉は少し困った顔をして、考えておったのじゃったが、五両も荷役料でもらっておったし、受ける事にしたのじゃった。

五「はて、何かの事情でもあるのじゃろうて、ワシは、しっかり準備して山のてっぺんの茶屋に、この巻物を届けんといかんのぉ!!」

五吉は、そう言って荷役の準備を進めたのじゃった。
準備も出来て五吉は、荷役屋の大将に声をかけ巻物に荷役風呂敷を巻き、背中にくくり着けた。

五「大将~!!ほな、行って来ますで~!」
大「おぅ!五吉、気をつけて行ってこいやぁ。」

こうして、五吉の山のてっぺんの茶屋まで、巻物を届ける荷役は、始まったのじゃった。

~次回につづく~


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