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〈読書〉方舟を燃やす

・方舟を燃やす 著者:角田 光代

方舟を燃やす』の主人公は飛馬と不三子。

第一章では、二人の主人公の人生が淡々と描かれています。

世代の異なる二人。

それぞれ、特に事件を起こす気配もない一市民。

そして、全く接点の無さそうな二人。

しかし、この『方舟を燃やす』には、ずっと不安な感情や不穏な空気が漂っています。

飛馬と年齢が近いので、思い出すことが色々とありました。

華やかなバブル景気の時代に漂う不安の影や、バブル崩壊後の社会の変化。

大きな事故や事件、自然災害。

この時期に経験したり、見聞きしたことが次々と思い出されます。

第二章では、ある子ども食堂が舞台となります。

二人の主人公が関わることになる子ども食堂。

災害ボランティアに参加した飛馬は、自分の経験が活かせることを実感し、ボランティアの活動にのめり込みますが、それが原因で離婚をします。

不三子は、独特の自然食を信じ実践しますが、その食などへのこだわりが家族にも理解されず、子どもたちとも疎遠になっている様子。

しかし、子ども食堂では、不三子の知識が活かされます。

それぞれ単身となった飛馬と不三子にとって、子ども食堂は、自身の想いや能力を活かせる居場所でもあります。

その後、パンデミックの時期の不安な空気が子ども食堂とその活動に関わる人たちを包みます。

不安な社会の中で、何を信じ、自身の居場所にどの様に関わるか、その居場所でどの様にふるまうのか。

なかなか難しい、悩ましい問題です。

飛馬と不三子も、それぞれ正しいと信じて行動したことが、他人に迷惑がられたりしています。

明確な答えは思いつきませんが、自分の考えをしっかり持ちつつ、身近な人のアドバイスには耳を傾けることは大切かな?と感じました。

自分の信念は大切ですが、他人の言葉をシャットダウンしてしまうと独りよがりになってしまいそうです。


方舟を燃やす』は、正誤や白黒がはっきりと示されるストーリーではありません。

しかし、特に第ニ章は、最近の不安な世の中がリアルに描かれていて、いろいろと考えさせられます。

読んだ人によって感想も様々なのではないでしょうか。

#私の本棚 ,#方舟を燃やす

こちらも角田光代作品です↓↓↓



ここまで読んでいただきありがとうございました。

私K.Kからのごあいさつです↓↓↓




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