〈読書〉さがしもの
・さがしもの 著者:角田光代
『さがしもの』は、本がテーマの短編集。
各短編について簡単に説明しますね。
『旅する本』は、自分が古本屋に売った本に再会する話です。
不思議ですが、本との出会いは、ご縁だなと感じることがあるので、興味深く読みました。
『だれか』は、主人公が出会ったのは、海外のバンガローにあった誰かが置いていった本。
この本を置いていった持ち主を想像する話です。
『手紙』、『彼と私の本棚』、『初バレンタイン』は、本と恋愛がテーマ。
『不幸の種』は、読み始めた時は、恋愛がテーマかな、と思ったのですが、違いました。
女子の友情を感じる話です。
『引き出しの奥』は、伝説の古本を探そうとするうちに、主人公の気持ちが変化していく話です。
『ミツザワ書店』は、作家になった主人公が子どもの頃に住んでいた町にある書店を訪れます。
今、ミツザワ書店の様な町の本屋さんは少なくなりました。
『さがしもの』の主人公は、祖母に頼まれた本を探す孫娘。
結局、探していた本は、祖母が亡くなってからみつかりました。
祖母が探していた本を読んで、祖母の気持ちを想像する主人公。
その後、社会人になった主人公が、祖母を忘れず過ごしている姿も素敵でした。
さらっと各短編を紹介しましたが、興味がある方は、じっくり読んでくださいね。
古い本、古本屋などが各短編に頻繁に登場します。
著者の本に対する愛情を感じます。
また、『旅する本』や『不幸の種』では、同じ本を時間が経ってから再読すると、全く異なる感じがするという件があります。
本が好きで同じ本を何度も読んでいる人なら共感するエピソードですね。
『あとがきエッセイ 交際履歴』も、本に対する愛情があふれています。
角田光代作品の熱心な読者ではありませんが、数年前にテレビドラマ『紙の月』を観たことがあります。(原作は未読)
原田知世さんが演じた銀行員が、魅力を感じる年下の男性に出会ってしまう。
そして、男性にお金を貢ぐ為に、銀行の顧客の預金を横領してしまう話でした。
どんどん壊れて、犯罪を重ねていく主人公。
そして、犯罪のきっかけとなる、満島真之介さんが演じる年下の男性の笑顔。
怖い話だな、と思いながら、ドラマを観ていました。
しかし、そのドラマを観ていて、不思議と嫌悪感はありませんでした。
今回、『さがしもの』を読んで、激しく感情を揺さぶられたわけではありません。
様々な恋愛や別れがあり、負の感情が描かれている作品もあります。
でも、不思議なのですが、嫌な感じはありませんでした。
むしろ、随所で軽い共感を覚えます。
さがしものは、私に静かに語りかけてくるような本でした。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
私K.Kからのごあいさつです↓↓↓
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