<読書>海の見える理髪店
年末年始の休暇中に読もうと購入した本です。しかし、休暇中は家族の食事の準備等々で忙しく、落ち着いて読書する時間がとれませんでした。結局、仕事が始まって、通常の生活に戻ってから、読み始めました。
著者の作品は未読だったので、直木賞受賞作ということもあり、手に取りました。
海の見える理髪店 著者:荻原 浩
六つの短編で構成されている作品です。
今回、特に感じるものがあり、涙があふれてしまったのは『成人式』。
昨年、私の長女が成人式を迎えました。大学入学後にレンタルの振袖を予約し、翌年夏にスタジオで前撮りをし、1月に振袖を着付けて式典に参加。あわただしかったし、振袖のレンタルは高価だったけれど、娘は振袖を選んだり、着付けをしてもらったり、それらの時間をとても楽しんでいました。娘に華やかな思い出をつくってあげることができて、親自身が満足でした。
しかし、『成人式』の夫婦ように、子どもの二十歳をお祝いできない方もいます。心が痛みます。
成人式に替え玉出席するとは、突飛な発想かもしれませんが、我が子のことを想えば、なんでもできてしまうのが親というものです。その心理が描かれています。
そして、その夫婦の気持ちを受け止めてくれる、亡き娘の友人たちの温かさ、若者らしい行動力に嬉しくなりました。その場に行って、若者(主人公の娘の友人)たちに大声で「ありがとう」と叫びたいです。
主人公夫婦は、成人式への出席を強行することで、娘を亡くした悲しみを少しだけ整理したようです。
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どの作品も家族の関係が描かれています。
老いてゆく親、結婚し子育てをしながら変化していく夫婦関係など、多くの人が直面する内容が含まれている短編集です。
さらりと読める文章でしたが、家族のこと、色々と考えさせられました。
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