<読書>ツナグ
辻村深月さんの著作は初めて読みました。新潮文庫の100冊(2021年)。
ツナグ 著者:辻村深月
死者と会って話ができるというシステムが秘かに存在するという。
この世の人と死者を会わせる仲介役、それが使者(ツナグ)。
使者(ツナグ)にたどり着き、死者と話をする人たちの物語が四編続きます。
急死したアイドルに会う若い女性。
母に会う中年男性。
通学途中の事故で亡くなった親友に会う女子高生。
失踪した恋人を待ち続け、その恋人と会うことを決心して使者(ツナグ)に依頼する30代男性。
そして、最後の話は、使者(ツナグ)自身の話で、使者(ツナグ)の目線で話が展開していきます。
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日常生活のなかで、ふと、亡くなった人を思い出すことがあります。
きれいな花を見かけると、花が好きだった母(故人)に見せてあげたいな、と思います。
また、昨年末に亡くなった伯母は、昨秋に体調を崩して入退院を繰り返していました。伯母は瘦せてしまいましたが、「食べることは大事にしている」と言っていて、自宅にいる時は食事作りを続けていました。
現在、自粛生活なので、基本的に自宅で家族で食事をするという生活スタイルが続いています。
料理を作ることが面倒になることもあります。
しかし、食べるものを手作りすることを大切にしていた叔母を思い出すと、自炊を続けようという気持ちになります。
亡くなった人から影響を受けて、今自分は生活していると感じることがあります。
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『ツナグ』の登場人物たちは、使者(ツナグ)に依頼して死者に再会します。
再会して、気持ちが軽くなった人、悔いを残してしまう人など、様々です。様々ですが、皆、次の生活に向かっている様子が、最終話で触れられています。
身近な人の死を受け入れたことで、人生を進めることができたのです。
最終話では、使者(ツナグ)を継ぐ者の苦悩も描かれていてます。
死者と再会できることは、良い事なのか、不要なことなのか、少々考えさせられました。
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『ツナグ』を読んで、亡くなった身近な人たちの想いを大切にし、少しずつ引き継いでいこうと思いました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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