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<読書>あなたのご希望の条件は

 「うさぎパン」を読んでから、瀧羽麻子さんの作品が気になって、ぽつぽつと読んでいます。
 瀧羽麻子さんの作品は、読みやすく、すっと頭に入ってくる感じです。

あなたのご希望の条件は 著者:瀧羽麻子

 主人公の香澄は、転職エージェントに勤めています。現在の仕事は、転職希望者をサポートするキャリアアドバイザーです。
 転職エージェントを利用する様々な転職希望者。そして転職希望者に寄り添う、仕事熱心な香澄。
 でも、香澄がこの仕事にたどり着いた経緯は少々複雑で、香澄はその過去の出来事を引きずっています。

 私自身は香澄と年齢も、経歴も、現在の状況も全く異なります。しかし、香澄が感じていた、前に進めていない自身への焦りや虚しさは少しわかる様な気がしました。
 私自身は出産や育児の都合で、仕事ができない時期がありました。周囲の人からは、のんびり子育てに専念しているママ、と認識されていたと思います。しかし、仕事をずっと継続している人をうらやましいと思っていました。そして、仕事を継続している人は、どんどんキャリアを重ねているのに、自分は何もできていなくて、その状況にいる自分に対して虚しさを感じることもありました。

 
 香澄は、顧客である十和田に仕事ぶりを評価され、転職して十和田のもとで働かないかと誘われます。その後、上司の石川が見せてくれた、転職した顧客の入社後アンケートや、石川との会話から、ピタキャリア(在籍中の転職エージェント)や、その顧客である転職希望者に、自身が必要とされていることに香澄は気づかされます。
 現在の職場や顧客に「自分が必要とされている。」と実感した香澄は、ピタキャリアでキャリアアドバイザーを続けていくと思われます。
 職場でも、家庭でも、「自分が必要とされている。」という実感があると精神的に安定して、毎日を過ごしていけるのだと思います。この作品は、そのことをさりげなく教えてくれます。

 私自身は非常勤で働いているので、職場で「自分が必要とされている。」と実感することはあまりありません。しかし、小さい仕事であっても、その仕事を継続することによって、いつか誰かに必要とされる人になりたいです。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました💕



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