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【産業再生を誓う新規事業】老舗の技術をアート業界へ(レポート)

かつてはバブルの象徴ともいうべきネオン街を色取ったネオンサイン。
「聞いたことあるけどあまり見たことない」という方も多いのではないでしょうか。
現代では看板制作の主流はLEDやデジタルサイネージです。

しかしながら実際に見てみると、なんとも言えない味わい深い輝きを放つネオン。
果たして看板以外にネオンが輝ける場があるのか?
今日はそんなネオン産業の再生を図る新規事業に関するイベントレポートをお届けします。

※本イベント「Spready Collaboration Live!!」は、Spready掲載企業様とSpreader(スプレッダー: Spready登録ユーザーの皆様)の交流の場です。掲載されているプロジェクトにおけるより良いつながりが生み出すことを目的としています。

老舗看板屋が手掛ける「エンターテイメント」や「アート」作品としてのネオンの活路を見出す事業

まずはゲストのご紹介。静岡本社のアオイネオン株式会社、事業企画部長の荻野 隆さんです。

アオイネオンさんについて
アオイネオンさんは創業昭和26年のいわば「老舗看板屋さん」です。静岡に本社・工場と、東京大田区にも工場を構えています。
この記事を読んでくださっている方に馴染みのありそうなところでは、渋谷109や銀座数寄屋橋の不二家、全国のauショップの看板などを手掛けています。
そんなアオイネオンさんは、熟練の職人さんによるネオンを用いた制作を得意としています。

バブリーなネオン事業とその後…
荻野さんいわく、ネオンサインの絶頂期だった昭和から平成に時代が移る頃は新宿アルタの屋上スペースが年間3億の賃料で、5億出してでもそこを取りに行くような時代だったんですって。まさにバブル…!!
しかしながら、今手掛ける看板のほとんどがLEDということで、実際にネオンの制作件数はこんなに減っているようです。

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時代の流れがネオンからLEDに変わっていくにつれ、職人さんやその部署の方々の元気がなくなってきてしまったように感じたこともあったとか。
この流れはグローバルでも同様で、アオイネオンさんでは海外研修でラスベガスやニューヨークのタイムズスクエアに行く機会があるのですが、どこもネオンではなくLEDが主流になっています。
昔は「ネオンの名所」といわれていた場所も今はもうなくなっていて、中国などでも手間のかかるネオンよりも安価なLEDが主流とのこと。

深刻な技術継承問題
実際に活躍される職人さんはどの程度いるのでしょうか?
荻野さんの話によると、業界団体で認識している「ネオンマイスター(日本の誇るべきネオン管加工技術者に贈られる称号 )」は現在144名。実際現役でネオン制作をされる方がその半分以下の50名程度といわれているとのこと。
毎年高齢化が進んでいることと、需要が無いということで廃業される方が相次いでおり、昼間に別の仕事をして、ネオンの修理の以来があった時だけ工場で仕事をするという方もいるといわれています。
新たな職人さんは年間1-2名増えれば良い方で、辞めていく方の数がそれを上回るようです。
そして学びのサイクルに乏しく、一人前になるのに5-10年ほどかかる一方で需要が少なく成長機会に乏しいというのが厳しい現状に拍車をかけています。

産業再生に向けた取り組み

そこで「なんとかこの技術を未来に継承したい」という想いで荻野さんが2年前から始めている取り組みが、「産業」から「アート」への再生を目的に掲げたネオンのリブランディングプロジェクトです。
まず社会との接点をどう広げていくかというところで、元々CSR責任者をされていたこともあり、社会貢献活動とネオンを絡めた取り組みから着手しました。
例えばこちらは千葉のいすみ鉄道の写真。鳥取の震災復興に向けたチャリティー活動の様子です。

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電車のヘッドマークをネオンで作成し、これが世界初の試みだったこともあり、写真やイベントの様子が拡散されて話題となりました。

また、間伐材を使った家具にネオンを合体させる取り組みにも挑戦しました。余った木材の有効活用法として、あえてその木を家具にしてネオンを組み込む「ネオンファニチャー」というものを企画しました。

このような社会貢献活動は今も継続しており、「もったいないキッチン」というフードロスをテーマにした映画のシンボルとしてネオンを提供しました。
荻野さんは「元々ネオンに興味が無かった人も環境やフードロスなどを通じてネオンのことを知って頂けたら嬉しいですね。このように誰かの役に立つことを続けていくことで、少しずつファンを増やしていければと思っています。」と語ります。

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ソーシャルな展開から広がりをみせてきたネオンの活路

こうした活動がきっかけで、色々な方から声かけていただけるようになり、最近ではエンターテイメント領域にも進出しているという荻野さん。
例えば女性バンド「ねごと(NEGOTO)」のミュージックビデオやSNS発のブランド「ハザマ(ha | za | ma)」ファッションショーの演出としてネオンの提供につながったとのこと。
また、映画のセットやライブでのアクセントなど、ネオンの活躍の場も広がってきたと手応えを感じるお話も。

ネオンのもつ独特の華やかさとはかなさ、個性あふれる作品たち
そして著名アーティストとのコラボレーションなど、エンターテイメントの場でも起用されるネオン。文句なくキレイなのですが、割れやすくデリケート。縦2メートル、横8メートル、200万円相当の巨大な作品を手掛けた際の搬入出には相当気を揉んだそうです。
こうした繊細なところもネオンの魅力と語る荻野さん。「ネオン風のLEDで作ったとしても映像上は同じように見えるものの、リアルなネオンで表現したいという方に活用いただきたいですね。」

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広がるネオンの現場
こうした動きから、少しずつ企業からも注目をいただけるようになってきました。
イベントやポップアップストアのシンボルを制作させていただくと、その場にいた皆さんがインスタグラムで投稿してくれました。
コワーキングスペースを提供するWeWorkさんでは、会員を対象にネオンのデザインを募り、コンテストの優勝者にはリアルなネオン作品を制作してお渡しするということをおこないました。
なかなかオフィスにネオンを置く機会って無かったと思うのですが、人が集まる場所に置くと、そこに人が集まり新しいコミュニケーションが生まれるという効果を実感されたようです。

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また、ネオン新たな使い道として、昨年は都内にてワークショップ数回開催しました。ネオンの廃材を自分で組み合わせて作品をつくるという取り組みを通じて、直接的にネオンに興味がなくても、ジュエリーやアクセサリーに興味がある人にネオンに触れていただく機会になったとのこと。
ちなみにこんなかわいくておしゃれなアクセサリーを展開しているので、ぜひチェックしてみてください。

ネオン作品の魅力は?と聞くと、「すべて手作業でつくるがゆえの、ある意味機械っぽくないところ。再現性はLEDが圧倒的有利だけど、不完全さに惹かれる」とのこと。
確かにイベント参加者からも「味がある」「なんだか哲学を感じる」と声がありました。
そしてアートとしてつくらせていただける機会も昨年末から増えてきたようで、WeWorkの中で今はネオンをアートとして設置・展示いただけるようになってきています。
「ネオンの価値を高めていきたい」という想いで始めたこのプロジェクトですが、今は「国内にはない『ネオンアート』というジャンルを確立したい」と熱く語る荻野さん。
「ネオンの周りに人が集まりやすいというのは実感していて、そんな方々はみんな笑顔。世の中が少々暗い中でネオンで明るくすることに貢献できれば。」と語られたのが印象的でした。

アオイネオンさんの「いま、会いたいひと」

この取り組みを通じて、ネオンの技術を次世代に継承していきたいとのこと。
そのためにはネオンの市場価値が高まって需要があることが前提となります。
そうしたことを目指して、ネオンを使って一緒に面白いことをやりたいという方がいらっしゃいましたらぜひお声がけください!
心あたりのある方、荻野さんのお話にグッときた方、自薦・他薦は問いません。ぜひこちらよりつながってくださると嬉しいです。

まとめ

• 「ネオン産業を守りたい」「職人さんの技術継承を支えたい」そんな想いから立ち上がったネオン産業再生プロジェクト

• CSRの取り組みからエンターテイメント、アート、そして企業が注目する現場へと活躍の場が広がりつつある

• 「ネオンアート」という新たなジャンルに挑戦するため、一緒に面白いプロジェクトを手掛けていきたいという方とおつなぎしたい

次回予告

次回は9/9(水) 8:10-9:00AM(8:00オープン、8:10開始)にて、株式会社まんがたり代表: 前田 雄太さんをお招きしまてお送りします!!

まんがたりさんはみんな大好き「マンガ」を用いたマーケティング活動を提案するスタートアップです。代表の前田さんの漫画家さんへのリスペクトに溢れた企業経営ストーリーも必聴です。

イベント後記

お話を伺いながら、アオイネオン荻野さんの想いや事業の意義には思わずグッとくるものがありました。
新規事業として捉えた際に、まずご自身の領域であったCSRから始めて、共感が共感を呼びアーティスト、イベント、企業と広がりを見せてきたところに事業推進のヒントをいただいたようにも思いました。
最後に、ぜひ多くの良いつながりが生まれてほしいと願っています。こちらからぜひとも「応援」とシェアをよろしくお願いいたします。
※Spreadyに応援機能が加わりました!プロジェクトページより「応援する」のクリックをお願いします。

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それでは、また水曜朝にお会いしましょう!!

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