リノベーションをローンで払えるか?
かつて、リノベーションはお金持ちの道楽だった。
ローンが高くついたのだ。
物件本体についてのローンなら、物件それ自体を抵当にする、つまり物件自体を質に入れて借りたお金で物件を買う、ということができる。
借り手に何かあっても物件本体があるから、銀行さんも小さな利息でお金を貸してくれる。
リノベーションだと質に入れるものがなく、その分利息は多く取られる。
総入れ換えのフルリノベーションとなると数百万、あるいは1,000万を越えるケースもある。いい自動車を2,3台買うくらいの費用を、高い利息で借りるのは、結構つらい。
もし1,000万を利息5%で35年借りるとすると、月々の返済は5万円、利息とあわせて最終的には2,000万ほど銀行に払わないといけなくなる。いくら銀行さんが商売だからといって、これを借りるのは金利分の支払いがつまらない。だからといっても、なかなか現金で1,000万の用意は難しい。
そういうわけで、安い物件を買ってリノベーションして住むというのは、かなり玄人向けの選択肢であったのだ。
リノベーションをローンで賄う?
だけれど、最近は住宅ローンでリノベーション分も賄ってくれる銀行さんが増えている。1,000万のリノベーションをした、という実績を、物件の価値が1,000万ぶん上がったと解釈して、リノベーション工事契約分を抵当にしてくれる。
つまりは、リノベーションを質に入れて、小さな利息でお金を借りてリノベーション費用を払う、というようなことが、大手都銀の住宅ローンを使ってできてしまうのだ。
リノベーション業者さんと銀行さんとで個別交渉や現場検証を重ねたり、国と業者とでリノベーションの基準指標を作ったりしてきた結果なのだという。ありがたい話である。
またこれは、なにかと心配の多いリノベーションに対するひとつの安心材料にもなる。
工事費用を住宅ローンで賄えるということは、住宅ローンに通せるレベルの品質で工事をやってくれるとプロの銀行さんが判断したのだ、とも言えるのだから。
そんな話をリノベーション業者さんから聞いてしまったものだから、ぼくたちの前に夢が広がってしまった。
都心に近くて少し古くて内装も古いまま手付かずになってる物件を探しだして、思うままリノベーションをできたなら、手の出る金額で理想の暮らしができるのでないか、と。
そこから、ぼくたちのリノベ物件探しが始まったのだ。