出会い〜偶然はコントロールできるのか〜

出会いが人生を決定づける。
人生を長く重ねるほどに身に染みることです。

電車に乗り遅れてしまったおかげで妻と出会えた・・・。
なんとなく選んだクラスにあの先生がいたから進路を決められた・・・。
サークルで出会ったイタリア人がとても素敵で留学を決めた・・・。

これって全部、たまたまの出来事。

出会いの大切さとは心で感じ、ハートで理解するもの。
偶然のマジック。
運命のいたずら。

それをなんと!
研究対象として理論化した心理学者がいます。

ジョン・D・クランボルツ。

キャリアコンサルタントの中でも大人気の学者さんですね。

その理論が1999年に発表された
計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)

曰く。
キャリアの8割は偶然の出来事で決定される。
ゴールを明確にせず、現在に焦点を当てるべし。

偶然を計画する?
そんなばかな。
計画できないから偶然なわけで、
まるでSF。一体どういうこと?

キャリコンさんは口を揃えてこう言ってますよ。
・キャリアビジョンを立てましょう。
・ゴールを見立てて計画を練りましょう。
・中長期プランを作って行動しましょう。

これらはぜ〜んぶ、間違いですかい?

1999年に発表された比較的新しいこの理論は
数多の理論化が築いてきたキャリアのイメージを揺るがしたと思います。

クランボルツの手法は、ビジネスの成功者に取材して成功への道のりを検証するというものでした。おびただしい事例を精査した結果、計画的になされた成功なんてほとんどなかったのです。キャリアのターニングポイントの多くが偶然の出会いによるもの。仮説ではありません。データがそう語っていました。

現代は変化のスピードが加速しています。AIが今後の社会をどう変えていくのか、識者の間でケンケンガクガク。そんな状況下でライフプランをがっしりと決めてしまっては環境変化に対応できるでしょうか。

キャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される
→偶発的な出会いを豊富にすれば、キャリアも人生も豊かになる。

チャンスは黙っていても私たちの目の前を通っていきます。
それを捕まえるには、アンテナを大きく広げておくこと。
チャンスが通り過ぎるのを黙って見ているだけでは
成功はおぼつきません。

クランボルツ先生はそのために5つのコツがある、と言っています。
好奇心・持続・柔軟・楽観・冒険
私は、キャリコン試験を受ける時「こうじじゅらくぼう」と暗記しました。
今でも呪文のように唱えています。

1)好奇心
人や出来事は好奇心を一杯にして見ること。興味関心を持って接すること。これが習慣化されれば機会を逃さなくなるでしょう。

2)持続
やり抜く力。成功者は全てこの力がすごい。私自身これが足りず、何でもすぐに飽きてしまい機会を逃してきたと猛烈に自覚しています。反省!

3)柔軟
目標をゆる〜く持つこと。成功者の調査でも同じ夢を持ち続けた例は少ないんだそうです。夢は変わるし、変わっていいんですね。

4)楽観性
夢は変わってもいいし、失敗したっていい。クヨクヨしないで前進すること!

5)冒険
安定ばかり考えてると機会を逃す。ここぞと思ったら勇気を出す!。

ゴールは明確にしない。という理論が正しいかどうかが問題ではない気がします。
それより特筆すべきは、人気を得ていると言うことだと思います。共感する人が大勢いるという事実に注目すべきでしょう。

硬くならなくてもいいんだよ。夢は変えてもいいんだよ。失敗しても大丈夫。
チャンスはまだある。好奇心を大きく広げて世の中を見てみよう。

心があたたまってくるような理論じゃありませんか。なんだかすごく救われた気持ちになるのが不思議です。それがクランボルツの人気の理由ではないでしょうか。

私自身、キャリコン業務をする上でも、自分のキャリアを考える上でも
一つのカードとして持っています。

成功者の8割が偶然に従い、チャンスを活かしてきた。
この事実があるということはしっかり抑えておくべきでしょう。

単なる呪文?いいえ、成功へのマジックワードかもしれません。
【こうじじゅらくぼう】

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