読書感想文「大名倒産 上・下」 浅田 次郎 (著)
お家存続エンターテイメントである。エンタメであるからして,荒唐無稽,御都合主義である。それがどうした。面白ければいいのだ。エピソードは,多い。鮭は美味い。神様はテキトーである。なので,野暮なことは言いたくない。
これだけ登場人物が多く,話題も多く,場面転換も多い,となれば,大河ドラマ決定ではないだろうか。「いだてん」であれだけ定式を破ったのだ。もはや,怖いものはないだろう。ここは一つ,監督は福田雄一でお願いしたい。御隠居,七福神,ちょっと足りない兄上…,福田監督が彼らを転がしていくと思えば,楽しくて仕方がない。
ただただ真っ正直な奴らが,バカバカしいほどの現実に向き合わされてしまって,一つ一つの区切りに心穏やかになる。いま,求められているのは,こんなドラマではないだろうか。
当然,ハッピーエンドである。だが、ホントに愛でたしめでたしで終わっただろうか。間も無く幕末である。お家騒動どころでは無くなることを,後の世を生きる者は知っているのだ。
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