見出し画像

鹿児島県南大隅町「半農半X」分野での地域おこし協力隊を募集します!

本土最南端の地である鹿児島県南大隅町で、社会人としてのこれまでのキャリアを活かしながら農業に取り組む「半農半X」分野での地域おこし協力隊を募集します!

◆雄大な自然、日本の原風景が残る町

本土最南端に位置する鹿児島県南大隅町は、海あり・山あり・川ありの豊かな自然が魅力の田舎町です。鹿児島県でも有数の漁場として知られる錦江湾に囲まれ、街路に聳えるビロウや自生するバナナの木が目に入ってくる、南国情緒あふれる街並みが広がります。
国立公園に指定された「佐多岬」や、大河ドラマ『西郷どん』のOPで一躍有名になった「雄川の滝」など、風光明媚な観光スポットを目指して週末には多くのツーリストが訪れます。海を見ても、山を見ても、見渡す限り人工物の無い手つかずの大自然は、迫力があります。その大自然に、寄り添うように人々の家や暮らしが広がっています。まさに、自然と調和した日本の原風景が現役で残っている、そんな町です。

◆町の課題と地域の魅力

南大隅町で最大の課題となっているのは、ズバリ高齢化と人口減少です。
2000年台初頭には10,000人以上だった人口は、2024年6月時点で6,000人を切ろうとしています。高齢化率は約51%と、県内トップクラスの数値となっています。人口の2人に1人が65歳以上で、南部の佐多には高齢化率が70%を超える地域も存在します。鹿児島県の中でも地域課題の最先端にある地域といってよいでしょう。
そんな南大隅町の基幹産業は、なんといっても農業です。
南北に長く平地と山間部が併存する南大隅町では、地域に合わせて多種多様な作物の栽培が可能となっています。作目はざっとあげただけでも以下の通りです。

南大隅町では亜熱帯的な気候を活かした熱帯果樹栽培も活発化しており、パインアップル・アボカド・パッションフルーツの栽培が増えています。
上記の他にも家庭菜園では、ナス、カボチャ、大根、白菜、キャベツ、小松菜など、多種多様な野菜を作ることができる、1年中温暖な気候です。作ろうと思えば、たいがい何でも作れる。これが南大隅町の魅力の一つであるかもしれません。

また、この地域のもう一つの魅力は、この地に住む人です。
この地にたくましく生きる人たちは、地元を想い前向きに活動し、暮らしを楽しみ、おおらかで、ユーモアたっぷりで、パワフルで、人とのつながりを大切にするとっても魅力的な方々です。
町外から移住してくる「よそ者」に対し、受け入れる土壌が根付いています。地方といえば閉鎖的なイメージが強いと思いますが、たまにはほっといてほしいと思うくらい、ほっとかれません(笑)。南大隅町の人達は、好奇心旺盛で、お世話好きで、楽しいことが好きで、この地に住む仲間として、よそ者だろうが世代の違いは関係なく、本当にあたたかく接してくださいます。
「少しも迷惑だなんて思ってないよ。応援したい、お世話したいだけ(笑)」
「〇〇さんのためでもあるけど、自分のためでもあるんだよ」
地域で活動していると、上のようによく声をかけられます。ここに住む方たちにとって、周囲への心配りや、助け合って暮らしていくのは当たり前なのだと感じます。
人口減少を止めることは難しいです。しかし、人は少なくても、それぞれの個性を生かして、一人ひとりがやる気があって、この町の暮らしをともに楽しみ、地域の魅力を発信していく。そんな仲間が増えたら嬉しいなと心から思っています。

◆ミッション・業務内容

今回、私たちが募集する地域おこし協力隊のミッションは、【「農」の技術を習得し、自身の得意分野と組み合わせ、地域で活動する個人や団体と連携しながら、「半農半X」で任期終了後の創業・就業を目指す】です。

実際に新規就農して独立を目指すのは、率直に言って大変な道のりです。
農業への参入には施設・機械類・種苗関係など大きな設備投資が必要であり、技術の習得にも長い時間が必要となります。天候不順や物価高騰といったリスクもあり、地域内での労働力確保も簡単ではありません。
地域は若手の力を必要としていますが、その参入障壁は高い。農業分野の構造的な現実と言えるでしょう。

そんな現状を見かねた地域の農家から、こんな声がありました。
「農業に新規参入するのは簡単じゃないけど、専業農家だけが農家になる方法じゃない。これからの時代は、兼業農家も増やしていくべきじゃないか?」

専業農家とは、農業一本を専門とする農家のこと。兼業農家とは、農業だけでなく別な仕事も行う農家のことです。
「農家」というと専業農家をイメージする方が多いかもしれませんが、兼業農家にもメリットがあります。私たちはこの兼業農家的な働き方が、農業分野の振興だけでなく、地域活性化にもつながるのではないかと考えています。主なポイントを3点紹介します。

一つ目は、収入が安定することです。農業は始めてから収穫・出荷までに時間がかかり、すぐに収入が入ってくるわけではありません。また、天候不順や作物の病気などで、収穫量が大きく落ちるリスクもあります。農業だけでなく別の仕事も行っていれば、スタート時の資金不足や収量低下のリスクに対処しやすくなり、安定性のある経営が見込めます。

二つ目は、「農業」と「農」のバランスを自分なりに調整できることです。
「業」とは生業のことであり、「農業」は作物や家畜を育てることでお金を稼ぎ生活の糧とすることを意味します。
しかし、田舎暮らしを目指す皆さんは、必ずしも「農業」にこだわる必要はないかもしれません。自然に触れ、畑で汗を流し、手塩にかけて育てた作物を口にする。そこに最大の喜びを見出すなら、それは「農」的な生活ではありますが、必ずしも「農業」である必要はないわけです。
極端に言えば、自分で農業をしなくても、地域の農家のもとでお手伝いをしながら賃金を得る形でも、農的な渇望は満たされるかもしれない、ということです。
都会の暮らしを離れて、自然に溢れた場所で生活したい。それを真正面から味わえる、農業の世界に関わってみたい。農業以外に自分なりに食っていける仕事があれば、「農」と「農業」の自分なりの理想のバランスを追求することができます。これはある意味、兼業農家ならではのライフスタイルの組み立て方と言えるのではないかと思います。

三つ目は、専門分野を活かしながら地域の農家と関係を築くなかで、農業分野に新たな可能性をもたらすことができることです。地域で働く農家はその道のプロであり、作物栽培や家畜の飼育については誰にも負けない経験値を持っている方が数多くいらっしゃいます。
しかし、農業という仕事は、必ずしも生産だけで終わるものではありません。マーケティング・デザイン・食品加工など、新たな可能性を目指すにはさらなる専門性が必要とされます。ここまで手を伸ばすには、自分の力だけでなく、その道で技術を培っていた第3者の力が必要になってきます。

農業だけでない別分野の力を持った兼業農家は、こうした地域の農家のサポートができる存在となりえます。農業にデザインを掛け合わせれば「農家の魅力をカタチにするデザイナー」に、農業にマーケティング的視点を掛け合わせれば「販売面で農家をサポートする伴走者」になれるのです。

私たちは、こうした兼業農家的な強みを活かして地域とつながるライフスタイルこそが「半農半X」と解釈しました。
社会人経験の中で培ってきた専門性と農業分野のコラボレーションが、南大隅の農業に新たな風を吹き込んでくれるのではないか、と期待しています。

<活動想定例>
・スナップエンドウを生産しながら、産地見学ツアーや生産者との交流イベントを企画し、協力隊任期終了後の生業へとつながる農産加工品の開発・飲食経営を目指す
・バラ農家に従事しながら、地域商品のラベル作り・事業所のwebページ制作など、地域を舞台にデザイン等クリエイターとしての経験を重ね、協力隊任期終了後の生業へとつなげていく
・パッションフルーツを生産しながら、空き家や古民家を改修し、地域住民・観光客双方が足を運びたくなるようなカフェ・宿等の交流・滞在拠点づくりを行う
・ミニトマト農家に従事しながら、DIYの経験を生かして改修作業体験ワークショップを行い、地域の空き家・古民家の改修を進め、地域の困りごとに対応しうる「大工」として独立を目指す
・ピーマンの生産をしながら、ゲストハウス・シェアハウスを経営する。

農家として独立してやっていくのは、簡単なことではありません。しかし、「農」の世界に触れることは、田舎暮らしを味わう上でとても魅力的な要素の一つです。農業分野にあなただけの専門分野を掛け合わせて、まだ見ぬ新たな可能性を生み出しながら、地域に新たな風を吹き込んでいただければと思います。

農業を通して地域とつながる、あなたらしいライフスタイルを描いてみませんか?

◆風と土の学び舎で大切にしていること

NPO法人風と土の学び舎の協力隊で大切にしていることは、3年間の具体的な日々の過ごし方を決めていることです。年単位で見ると、「地域を知る」協力隊1年目、「活動内容を具体化しトライしていく」2年目、「卒業後の生業づくりを目指す」3年目を大きな流れとして想定しています。

また、3年間を通して、積極的に地域住民との関わりを持ち、〈協力隊にできること×協力隊がしたいこと×地域に求められていること〉の思案を重ね、地域と共に考え、話し合い、活動計画を立て、それを軸に活動を進めていきます。そして自分らしい暮らしを実現することを風と土の学び舎受け皿の協力隊の共通のミッションとしています。

あわせて、協力隊の全国課題ともなっている「地域の押し付け」や「隊員の孤独」、「卒業後の進路不安」等を防ぎ、地域におけるより良い協力隊の受け入れ体制と協力隊が活動に専念できる環境を実現し、卒業後の定住につながりうる地域と協力隊の関係を築いていきたいと思います。

【地域を知る1年目】
はじめに、交流を深めることを目的に、NPOメンバーのもとでの農業や林業等の研修を実施予定(一週間のうち数日程度。最初の数カ月のみ)。その後、通年を通してNPOの活動の運営側としても一部関わりながら、地域との関わり方を学び、顔を知ってもらい、地域の魅力や厳しさに触れ、南大隅町地域全体を知る。同時に、短期間多品目の農家研修を行う。場合によっては、経済課と連携する。自分に合った農作物をしぼりこんでいく。

【活動を具体化しトライする2年目】
興味がある作物を何か所かに絞り込んだ上で、一箇所あたり、3ヶ月から4か月ごとに移動し研修しながら栽培技術を身に付ける。副業可なので、半Xとなる農業以外の自分が持っているスキルを生かし具体的に小規模イベントなど企画実施し、半農半Xの生活イメージをふくらませる。

【卒業後の準備の3年目】
何の作物で半農独立し、また、どこの農家に勤めたいか、どこに住みたいか、を絞り込む。それに沿って、半農半Xを実現するための物件探しと準備をする。古民家の改修が必要な場合は、改修作業も卒業後の独立のための準備として活動の一部とする。

◆余暇の過ごし方

 やりたい事であるとはいえ、そのことばかり考え続けるのは大変です。ショッピングモールやファーストフードはありませんが、ここにしかない手つかずの自然がすぐそばにあります。
夏は海!サップ、カヤック、川遊び、かき氷、そうめん流し、バーベキュー、キャンプ… 超身近にアウトドアが盛り沢山です。
秋や冬は、山登り、トレッキングがおすすめ、照葉樹の原生林の迫力は見応えありです。他にも、夜の満点の星空、普通に見える天の川、大浜に沈む夕日、たくさんのホタルなど、驚くほどすぐ側に、自分をリセットできる場所がここには沢山あります。また、南大隅町には地域の魅力に惹かれて来ている移住者同士のつながりもあります。休日は、バーベキューをしながら、同じ地域に住む仲間同士、時にはそれぞれの立場で抱える悩みを共有し、励まし合い、学び合いながら過ごすのもいいのではないでしょうか。

◆NPO法人風と土の学び舎について

協力隊の受け入れは、農業実習や民泊受け入れを行うNPO法人風と土の学び舎が担います。その歴史は、1980年代に「本当の日本は田舎にこそある」と、当時40代の農業青年らによって、外国人留学生のホームステイ〈からいも交流〉の受け入れをはじめたことにさかのぼります。

その後、1994年より、活動に興味を持った東京農業大学の学生らが、実習先として町に訪れるようになり、東京農大生の農業実習および民泊受入がスタート。その農家による学生受け入れは、今日まで続いています。

農家さんたちは、「これからの未来を担っていく若者に、農村における学び場の提供を」との思いで学生を受け入れます。地域も学生も「ともに学び合う心」を大切に。学生を「お客さまでも他人でもなく、家族としてありのまま受け入れる」。その心がつないできた活動です。

そうした長年におよぶ受け入れを経て培われてきたのは、地域としてのよそ者を迎え、受け入れる土壌です。NPOメンバーのうち5名が農業実習・民泊受け入れを機に南大隅町に移住しています。新たなメンバーも加わった現在においては「プロジェクト制」を取り入れ、フリーペーパーの作成など、学生受け入れに留まらない、メンバー有志による活動を展開しています。

◆最後に

地域の課題は山積みです。ですが、それは伸びしろでもあります。小さな田舎町においては、一人ひとりが地域にとって大きな存在です。

この南大隅町で、協力隊が自身の個性を発揮しながら、のびのびと活動し、地域と共により楽しい町をつくっていけたら、この上ない喜びです。

ひとまずの応募期間は、2024年10月末日まで(応募者が少ない場合はこれに限りません)。着任時期については、「このくらいの時期だと着任しやすい」など、ご希望ご要望お聞きしております◎

「応募期間や着任時期が心配だけど、この募集気になるなあ」と思っていただけた方、まずは一度、NPO法人風と土の学び舎までお気軽にご連絡ください!ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!ありがとうございました◎

▶募集要項はこちらから。南大隅町役場HPへ


▶地方移住に関するサイト「SMOUT」でも紹介しています!


◆ともに活動する人々

【NPO法人風と土の学び舎・舎長 梅木涼子】
 
私は、福岡出身で25年ほど前、縁もゆかりも無いままに南大隅町に来ました。これまでを振り返ると、自分に何ができるのか、真っ暗闇になって不安になることもたくさんでした。これが正解!というものがない中で、常にもがき苦しんできたのかなぁと思います。でも、思うようにいかなくてもいいと思うのです。あーでもない、こーでもないと、挑戦の世界に飛び込んでその過程で、たくさんの人と関わる中で生まれるエネルギーや、生きる喜び、生かされる喜びを味わえるのは、地域づくりに関わる者の醍醐味だと思います。中でも、人の魅力が半端ない南大隅町での活動で味わえるものって、これまた半端ありません!小さな日本のはじっこの町、南大隅町の魅力の一つだと感じます。NPOの名前の元になった風と土。風は外から新しい風を吹かせてくれる風人間、土は地域にどっしりと根をおろして生活している土人間。両者どちらの存在も大切で、両方の感覚をいったりきたりしながら知恵を出し合っていけばより良い風土が育まれていくと信じています。地域に暮らし、共に支え合う仲間として、この南大隅の地で一緒に思いっきり挑戦してみませんか。お待ちしています!!

【協力隊OG 有木円美】
 
元々、農村の食や体験、地域の方との交流が好きで移住先を探していたところ、NPO法人風と土の学び舎のみなさんに出会いました。「協力隊の募集があるよ!」と言われても、人生を変える一大事、何のプロでもない私に何ができるのか…?なかなか決心できずにいたところ、「まあとりあえず体験してみたら」と2週間かけて9軒の農家さんをまわる農業体験と民泊研修をコーディネートしてくださいました。40代から70代まで個性豊かな農家さんたちと、昼はともに作業し汗を流し、夜は美味しいご飯と芋焼酎片手に、地域のこと、これからのことを語り合う。その中で「小さな地域だからこそ、できることがある」という農家さんの言葉。そして私がしたいと思っていたことを口にしてみると「いいね~」と言っていただけたこと。3年後、ここに住み続けられるのか、食べていけるのか…、わからないけど、みなさんとともに活動してみたい!と飛び込んだのを今でも覚えています。
 地域を舞台に思いを共にする皆さんと力を合わせ課題に挑んでいくことのワクワクは、何にも代えられないやりがいとなり、つながりの深さになり、広がりになっていきます。都市だから、田舎だから、ではなく、顔の見える関係性の中でプロジェクトを進めていく中に、人として、生きていく上で学ぶことが沢山あります。3年間の中では、山あり谷あり色んな日々があると思いますが、喜怒哀楽、沢山の感情を共有しながら、目標をともにし、一緒に前進&成長していけたら嬉しいです。

【南大隅町地域おこし協力隊 原田志穂子】2023年4月に地域おこし協力隊に着任しました。前職は日本語教師でしたが、近年、生きづらさを抱える方々との出会いが多くあり、また、その方々がとても魅力的だったことから、「常識の中で魅力が埋もれてしまうことのない社会」を願うようになりました。日本語教育だけでなく活動の幅を広げていきたいと考えていたとき、南大隅町協力隊募集のページで「なんにもないからなんでもできる!」という文言を見かけて、ワクワクしたのを覚えています。
これから、外国人・障がい者・ろう者・不登校の子どもたち・観光客など、多様な方々が行き交い、出会い、お互いを知ることができる「ごちゃまぜ」な空間をつくりたいと考えています。
私の協力隊としての受け皿となっているのは、NPO法人風と土の学び舎です。地元の農家さんと移住者が協力して、農家研修の受け入れなどを行っている団体ですが、私が「こんな活動に興味がある!」「こんな方に会ってみたい!」と話すと、すぐに様々な活動や地域の方々とつないでくださいます。いただいたご縁に感動と感謝の毎日です。また、地域の方々に温かく迎え入れていただいて、本当に「この町に来てよかった」と感じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?