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Doors

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短編小説「Doors」
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#超記憶

Doors 第17章 〜 フォーカルジストニア奮闘記1

Doors 第17章 〜 フォーカルジストニア奮闘記1

 交通事故で右手の指3本を開放骨折をしたことが原因で後々にフォーカルジストニアに悩まされるようになった.主な症状はドラムの連打奏法が満足にできなくなったことだ.

 初めて違和感を覚えたのは事故から半年ほど過ぎた時だった.アップテンポな曲をコピーするバンドのスタジオで,突然動かなくなってしまった.
 そのスタジオはとても小さかったので,自分の音しか聞こえなかった.だからボリュームを落とすために少し

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Doors 第10章 〜 交通事故

Doors 第10章 〜 交通事故

 幸せはいつも逃げていく.とある大女優さんが人生を振り返ってそう言っていた言葉通り,扉の向こうで待っていた僕の幸せはいなくなってしまった.
 それは19歳の時だった.車に轢かれ,人生の歯車は大きく大きく狂った.狂ったというより,歯がなくなって空回りしている感覚という方が近い.なんだかんだで順風満帆に進んできた道が突然消えて,暗闇に独り立たされ,扉には厳重に鍵が掛けられてしまった.

 記憶というも

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Doors 第7章 〜 音楽

Doors 第7章 〜 音楽

 中学生時代は楽器演奏にハマった.それまでは扉の外から見るだけの世界だった.それが,演奏するということは,実際にその世界を自分自身で自由に歩くということに他ならない.
 扉を開ければ見たことない美しい景色と常識.新鮮そのものだった.近づくと消えてなくなる木,かと思えば自分の背後に突然現れたり.時には腹立たしくも思うことはあるが,その鬼ごっこは本当に楽しくて気がつくと夢中になっていった.全ての存在が

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Doors 第6章 〜 カマキリ

Doors 第6章 〜 カマキリ

 毎日毎日"渦"に悩まされていた僕の一番の友達はカマキリだった.人から出る渦の情報に溺れていたので,物静かな昆虫と触れ合うのはとても楽だった.何匹も飼ったけど,忘れられないヤツが一匹いる.仮に名前をKとしよう.
Kとの出会いは特別なものではなかった.ただ,Kは他のどのカマキリにもなかった特徴があった.それは,信頼という概念を持っていたことだ.普通のカマキリは虫カゴに入れると脱走しようと必死に

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Doors 第5章 〜 いじめ

Doors 第5章 〜 いじめ

 それはある日突然始まった.内容自体はつまらないものだった.無視や仲間はずれ,鬼ごっこでの集中攻撃などその程度のことで,直接危害を加えられたりとかはされた覚えがない.辛くもあったがどこか他人事のようにも思え,その非日常感を楽しむ自分もまた存在していた.
 連中同士は決められた合図を送っていたが,合図とともに"渦"が出ていたのですぐに分かった.その度に合図を変えていたけどその都度見抜いていた.気づい

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