原因のかくれんぼ

整骨院へ行った。

肩こりから首まで辛くなり、次第に頭痛がしてきたため、これはまずいと駆け込んだのである。

この整骨院は鍼灸院も兼ねており、あまりにも辛く、すぐに効果を得たかったので鍼治療をしてもらうことになった。

鍼治療は高校生の時毎日してもらっていたから抵抗は全くない。

そう伝えると「じゃあ通常初回の人には使わない1番太いの、いっちゃいましょう！」と居酒屋店員みたいなノリで言われるがまま太くて効果がある鍼を、肩・首・頭・耳の裏に計24本打ってもらった。

ハリネズミ状態で20分。

効果はてきめん。帰る頃には頭痛はすっかり消えていた。

肩こりの原因を探るため、翌週また受診したのだが、胸中は複雑だった。肩こりの原因。きっと姿勢が悪いとか運動不足とか耳に痛いことを言われるに違いない。

しかし、骨の具合や座り方を見て先生は「腰痛持ってたりしませんか？」と聞いてきた。

これには少し驚いた。全く的中しているからである。先ほども書いたように高校生の時は毎日鍼治療をしていたのだが、これは部活で患った椎間板ヘルニアのせいだ。

部活もやめ、日常生活には支障はないので放置していたが、知らず知らずのうちに腰の痛みをかばって体が歪み慢性的な肩こりから今回は頭痛へとつながっているのではないかと指摘されてとても腑に落ちた。

肩こりを治したくてきたが、腰の治療を始めることになった。

・・・

またある日、仰向けになれと言われその通りにしていると「ただ仰向けに寝ているだけでもどこか痛みがありませんか」と聞かれた。

これにも驚いた。いつからか仰向けにまっすぐ寝ると左の股関節に違和感があり、痛くはないけど具合が悪く、足を折るのが癖になっていたからだ。

それを伝えると今度はうつ伏せにと促され、右側の腰をほぐし始めた。

先生、痛みがあるのは反対側なんですが。

そういうと、ニヤニヤしながら「ここでいいんです。まぁ見ててください」と言われた。

2.3分施術され、再度仰向けになって驚く。本当に左の股関節の痛みや違和感が綺麗に消えた。真反対にある右の腰を施術しただけなのに。

先生がいうには、体の痛みというのはその部分が炎症を起こしていることももちろんあるが、実は他の部位のコリや歪みが、筋肉を引っ張り違う部位に痛みとなって現れることも多いという。

餅は餅屋。専門家には敵わない。

すごいなぁとは思ったが、1人では実践できないような座り方を毎回言われ、肩の痛みを放置したまま腰の治療を続けていても、今の困りごとである肩こりが全く解消されず、長期戦になりそうだったので、2ヶ月ほどで通院をやめた。

腰に原因があることはわかったので、ストレッチなどで誤魔化しているところである。

・・・

今辛いと思っていることは、それ自体に原因があるのではなく、違う場所に隠れているということは多くあるだろう。

仕事のイライラの原因が、実は家庭にあったり。
集中力に問題があると思っていたが、実は環境が原因だったり。
冬好きは、夏嫌いなだけということも。

負の原因は、思いがけない場所にあることも、覚えておいて損はないと思います。