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木こりに悩みがない話

お仕事での悩みというもののほとんどは、人間関係からくる悩みという話を聞いた。

あの人と反りが合わない
この人と仕事がしたくない
上司に嫌なことを言われた
後輩のミスが多い

そういった特定の人間への不平不満ということだけではない。実際にはその不平不満の先に仕事上、難儀になる問題が孕んでいたりする。「人がいるからこそ生まれる悩み」と考えると分かりやすいかもしれない。

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人に対する不平不満だけでなく、多くの場合は気づかぬうちに「人がいるからこその悩み」を抱えているのだ。

例えば、仕事が増えて忙しいという悩み。

これは、お客が増えたという会社としても嬉しいことかもしれないし、誰かの穴を埋めるためかもしれない。ミスをした誰かか、辞めてしまった誰かか。まぁ自業自得という場合もあるかもしれないが、多くの場合は他人がいるからこその悩みである。

自分自身の成長の伸び悩みはどうか。

この悩みに他人は関係ないと思いきや、そうも言い切れない。自分の成長を誰かに認めて欲しい。または誰にも馬鹿にされたくない。仕事ができない人間だと思われたくない。そういった他人の目を意識した上での自己実現であることも多い。

給与に関する悩みはさすがに違うだろう。

そう思えど、これもやはり他人の仕業である。給与が低いと考えている人の多くが、誰かと比べていることが多い。また、仕事に見合った給与がもらえていないと嘆くのも、結局は他人に決められた賃金をもらって、歩合を自分で決められないからだろう。

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心理学者アドラーも、この世の9割の悩みは人間関係であると断言している。

だから、木こりは悩みがないらしい。

ない、というのは大袈裟かもしれないが、少ないことは間違いない。何故なら全てが自分の責任であり、人と関わることがないからだ。

仕事上での悩みといえば、なかなか木が切れないとか、斧の切れ味や調子が悪いとか。本質的で純粋な仕事の悩みに終始する。

芸術家は孤独でなければならないと、誰かが言っていた。これは人生における家族や伴侶、友人が不要ということではない。

創作活動において、誰かと群れたりするのは余計な悩みが増えるだけなので、芸術家は自分の作品とのみ向き合え、ということなのだろう。

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だから他人は邪魔だ、と言いたいわけではない。少なくとも他人との対立も、悩みも、そのエネルギーが創作意欲になることもあるのではないか。

そして、他人からもたらされる良い刺激というのも必ずある。自分の中だけでは見つけられなかった知識を他人が持っていることもあるし、ぶつかり合って生まれるものというものもある。

だから、悩みはその代償なのかと。

今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。