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懐かしい昭和の空間が好きです。

近所に小さな甘味処がある。
私が物心つく頃には、もうそこにあったので、かなり年季が入ったレトロな店だ。
アイス最中、冷やしあめ、かき氷、ソフトクリーム、イカ焼き…
メニューの種類は氷にアイスを乗せたり、イカ焼きに卵を入れたり、アレンジを利かせてかなり多い。
そして安い‼

小学生の頃は小銭を握りしめて、友達とチョコレートパフェを食べに行った。
当時280円だったと思う。
ソフトクリームにチョコレートが掛かっていて、彩りに缶詰めのミカンを飾っていて、てっぺんにはサクランボがちょこんと乗っている。
さらに側面にはウェファースが添えてある。
このいかにも昭和っぽいパフェも、価格以外は今でも変わらない。

店事態も私の記憶している限り、始めからオンボロ(いい意味で)だが、お店のおっちゃん、おばちゃんも数十年前からあまり変わらない。
ん? でもよく見ると雰囲気こそ変わらないが、やっぱり歳をとったようだ。
私が小さい頃はおっちゃん、おばちゃんだったけど今ではおじいちゃん、おばあちゃんだ。
おばあちゃんは焼き物を担当していて、言葉もハキハキしており計算も早い。
小柄で赤い丸淵の眼鏡を掛けている。
おじいちゃんは冷たいもの担当で、大柄で動作が遅く、注文をよく忘れて、おばあちゃんに確認している。

この二人の共通点はどちらも愛想が無い所だ。
おばあちゃんの方は、それでも「ありがとう」は必ず言うが、おじいちゃんは寡黙。
おばあちゃんとボソボソ単語で話すだけで、文章で話すのを聞いた事がない。

それでも私は愛想の無いこの店が好きだ。
狭くてオンボロで、ここだけが昭和の空間を頑なに貫いている。

それが、しばらく来ない間に二人の姿を見なくなった。
さすがに歳なのだろう。
別のおっちゃん、おばちゃんが切り盛りしている。
どういう関係かは分からない。
でも店内は何一つ変わらない。

そして新しいおっちゃん、おばちゃんも愛想が無い。

そうだね、そうだよね、そうでなくっちゃね。
この店は愛想が無いのも含めて、この店と言えるからね。

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