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【短編選集】‡3 電脳病毒 #128_307

「どう?ほんの書きだしだけど」
「どうと言われても・・・」
「コミカルなスパイ小説にするつもり」静琉は納得したように頷く。
「そうですか」
「リアリティーが欲しいわけ。取材して。新聞屋の住み込みバイトだよね。きみ」
「そうですけど・・・」
「バイトしたい。住み込みで」
「え?」
「夏休み。休暇採る人、いない?」
「さあ?聞いてみますか?」
「お願い。一挙両得なんだ。朝夕刊配って、昼間は書き物できるし。それに、夏休みの収入源にもなる」
「朝、早いですよ。朝といっても、夜中には起きます」
「とりあえず、新聞屋のおやじさんに聞いてみて。体力気力充分な上に、器量良しの女の子がバイトしたいって」


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