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ミライの奄美をつくる公共施設を考える|NPO法人アマミーナ×タウンキッチン西山佳孝さん

2021年11月15日に、奄美市 市民交流センターにて
こみゅ&かるトーク ー未来の奄美を創るコミュニティ&カルチャー施設を考えるーが開催されました。

こみゅ&かるトークは、奄美市を拠点に活動しているNPO法人アマミーナの皆さんが、鹿児島県の令和3年度 地域資源活用・協働促進事業「地域連携アドバイザーの派遣支援」を活用して行われた企画です。

アドバイザーとして、株式会社タウンキッチン 取締役の西山佳孝さんが奄美大島を訪れました。

▽NPO法人アマミーナとは?

NPO法人アマミーナは「奄美において、生涯教育プログラムや教育関連プログラムを構築し、奄美における人材育成のサポートと奄美大島の教育に貢献することを目的とする。また奄美から世界へ教育と文化の情報を発信する拠点作りに寄与することを目的とする」として、2010年に設立されました。(定款より引用)

設立のきっかけは、2009年に行われた「皆既日食プロジェクト」
皆既日食に合わせてイベントの企画・運営を行うために、地元の有志が中心となって実行委員会が立ち上がりました。イベント終了後「このまま解散するのはもったいない」と、翌年の2010年にNPO法人を設立。

法人化以降は、代表である徳 雅美氏(カリフォルニア州立大学チコ校芸術学部 美術教育学教授:奄美市出身)のネットワークを活かし、国際交流イベントや中高生短期海外研修のサポートを実施。

2012年からは奄美市名瀬公民館の指定管理事業を受託。地域活性化を進めるための多様な講座や講演会、ワークショップ、そして「奄美ワールド川柳」公募事業などを継続して企画、運営してきました。

▽9月に完成 奄美市市民交流センター

こみゅ&かるトークが開催されたのは、今年の9月に完成したばかりの奄美市 市民交流センターです。こちらは旧名瀬公民館の代替施設で、350人ほどが入れる「マチナカホール」や地域内外から人が集うことができる「マチナカリビング」と呼ばれる空間があります。

旧名瀬公民館から交流センターへの変更とともに、建物は奄美市の直営へ。それに伴ってNPO法人アマミーナは、指定管理者から業務委託先という立場になりました。

それにより毎月発行している公民館だよりも
NCC-NEWS(Naze Culture & Community Center News)から、こみゅ・かる・あまみに名前を変更。

(こちらが指定管理者時のNCC-NEWS)
(業務委託後は、こみゅ・かる・あまみへ)

現在は交流センターを含む、奄美市内の4つの施設の業務管理を担当しています。

▽こみゅ&かるトークの様子

こみゅ&かるトーク当日は、交流センターの運営に関わるメンバーをはじめ、フリースクールを運営している方やそこに通う高校生。地元行政や銀行の方々など、約30名が参加しました。

まずは開会の挨拶ということで、NPO法人アマミーナの副理事長であり事務局長も務める上堀内さんによる会場全体へのアナウンスから。

上堀内さん「今日は西山さんのお話をお聞きしながら、未来の奄美を創るコミュニティやカルチャー施設について考えていけたらと思います」

▽会場全体で自己紹介

続いて、会場にいる一人一人の自己紹介に移っていきます。

上堀内さん「1分ほどでお名前とご職業。時間が余ってしまった場合は、趣味やマイブームなどを教えてください」

参加者一人一人にマイクが渡り終わった頃には会場全体の緊張もほぐれたようで、リラックスした雰囲気に包まれていました。

▽ミライの奄美をつくる公共施設を考える

全体の自己紹介が終わった後は、
ミライの奄美をつくる公共施設を考える 〜公民連携や公民館などを軸に〜をタイトルに、いよいよ西山さんのお話に入っていきます。

株式会社タウンキッチンの取締役に留まらず日本全国で旅するように仕事をし、中にはエジプトの話題もあったりと話しを聞くほどに「一体、何者?」という疑問が増えていく西山さん自身の自己紹介が終わった後は、公共施設が立ち上がり、運営がはじまるまでの大まかな流れについて触れていきます。

(以下はほんの一部分ですが、西山さんのお話の文字起こしです)

西山さん:本来は運営あっての指針、制度設計、拠点づくりのはずなのに、長期の運営を考えずに指針、制度設計、拠点づくりに奔走してしまう本末転倒なケースが少なくありません。

こんな風にお話すると「そりゃそうだよね」と会場にいる全員がわかってくれると思うんですけど、ついついそんな事態に陥ってしまうのがこの世の面白いところっていうですね……

計画づくり、スライドでいうところの指針までは結構、夢物語でいけるんです。けれど制度設計と拠点づくりになってくると「いやいや、そうは言っても議会に説明しないといけないから。そうは言っても建物を作っていかないといけないから。もうコンクリートも打たれているから」みたいなことが山ほど来てしまう。

西山さん:その時にどういうことが起こるかというと、運営のことが疎かになってしまったまま物事が進んでいくっていう状況が生まれてしまいがちです。そして実際に運営がはじまったら「あれ?なんでこんなことになっているのかな?」という状況になっているという……

西山さん:「偉そうなことを言ってるけれども、お前は何者なんだ?」という話も交えながら紐解いていきたいと思います。私自身がこうやって地域に呼ばれたり、声をかけられる時の大枠のキーワードが3つほどありまして、
①拠点とか建物とかハード整備が伴うような公共的な取り組み
②公の制度設計
③創業や事業の立ち上げ時 などですね。

さっきから公民連携、公民連携とですねお題目のように唱えさせていただいているんですけど、公民連携とはつまりどういうことかというと、
「公=Publicと、民間=Privateがより良い関係で物事をやっていくための手法や計画」のことですね。

それがちょっと横文字で恐縮なんですけども
「 PPP=Public Private Partnership」 と呼ばれています……

▽未来を考えるヒントが盛りだくさんの2時間

歴史から紐解く公共施設の姿や公民館誕生の背景、これまでの西山さん自身の経験から語られる視点など、奄美の未来を考えるためのヒントが盛りだくさんの2時間でした。

参加者の皆さんも頷き、時にはメモを取りながら、西山さんのお話に真剣に耳を傾けていたようです。

▽新しい公共施設とともに歩む奄美の人々

会場の奄美市市民交流センターが完成したばかりだったこともあってか、公共施設の在り方やそこに足を運ぶ人々から生まれるコミュニティ。さらにそこから育まれるであろうカルチャーといった奄美の未来を自分事として考えている方が多かったように感じました。

公共施設や公民連携と文字だけを追うと難しさを感じてしまうこともありますが、一番大切なことは地域に暮らすわたし達ひとりひとりが自分の頭で考え、より良い未来に向けて一歩を踏み出し続けることではないでしょうか。
 

▽関連リンク

  

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本企画は、鹿児島県が中心となって「地域課題の解決のために、新しく活動をはじめたい人」「現在取り組んでいる活動を、もっと前に進めたい人」を支援する令和3年度 地域資源活用・協働促進事業 地域連携アドバイザーの派遣支援を活用して行われました。

(下記は、7月に行われた本事業のキックオフシンポジウムの様子をまとめた記事です)


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