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教員を目指す学生に伝えたこと

先日9月26日に、日本女子大学の教員を目指す学生さん向けに、「これからの社会で生きる子どもたち」というテーマで講師を担当させていただきました。

きっかけは、同大学教授の羽中田先生からご依頼いただいたことです。
先生とは豊島区の仰高小学校にて2年ほど一緒にプログラミング教育に取り組ませていただきました。

このお話をいただいてから、「学生たちにどんなことを話そうかな」といろいろ考えました。

私に期待されていたことはおそらく、
・これからどんな社会になるのか
・そこではどんな資質能力が大切になるのか
・上記2つとプログラミング教育の関連性
このあたりだと思っています。

もちろんこれらは伝えるとして、
学生たちに一番伝えたいことは何かなーと考えると、
「先生っていう仕事はとても素晴らしい仕事だよ」ということだなと行きつきました。

最近は学校や先生に対する風当たりが強いですよね。
”日本の学校はおかしい”、”先生たちは社会とはかけ離れたことを教えている”、などなど。

たしかに一部で「それはダメでしょ。。」ということがありますし、
「あなた、もっとがんばらないと」という先生もいます。

でもこれはどの業界、組織でもよくあることです。
組織で、社員みんなが優秀で前向きで成果を出している、なんてあるでしょうか? とても少ないでしょう。

世間の風潮にひるまずに、努力してよい先生になってほしいということ、教員という仕事に誇りを持ってほしいということを一番伝えたいと思いました。

なぜ先生という仕事が素晴らしいのか?

子どもに「過度な教えすぎ」はよくないけど、「放置」もよくありません。

”自由と謳いながらの放置”
”自ら学ばせるという言いながらの放置”

では成長が難しいのです。適切な関与が大事です。

先生は、「教科指導」という観点から過去の偉人たちが発見してくれた原理などを効率よく教えます。

一人でも多くの子どもたちが巨人の肩に乗れるよう基礎学力を身につけさせます。

また、学級という子どもたちの居場所もつくります。

子どもたちにとって「何を学ぶか」と同じくらい、「どんなコミュニティに所属するか」も重要です。

自分を受け入れてくれて、お友達と交流できる安心安全の居場所をつくるのです。

そこには自由だけでなく集団ゆえの規律も必要で、それをうまくコーディネートするのが先生の腕の見せどころです。良い先生はみんな学級運営スキルが高いのです。

生涯かけて誇りをもって取り組める仕事

また、おおげさな表現かもしれませんが、「人生をかけるに値する仕事」といえると思っています。

民間の事業会社で働いていると自分の仕事に対して「これって社会的にはどうなんだろう?」と思うときがしばしばあります。主に30歳~35歳くらいに来る、2回目の中二病みたいな(笑)

例えば私が新卒で入社したのは不動産業界でした。

不動産業界は、土地を買い、そこに建物をたて、売ることが事業です。
主に新築のマンションの会社だったので、新築マンションを建て、売る、ということを毎年し続けるわけです。

誤解ないよう補足すると、素晴らしい仕事だし、社会的にも重要な機能だと思います。とてもうれしそうに入居されているご家族にたくさん立ち会いました。

入居したご自宅に招待いただき、一緒に鍋を食べたりもしました。あのときのご家族の幸せそうな雰囲気は強く印象に残っています。

一方であるとき私は、「年間8万戸の新築マンションが日本でつくられている。これからも必要なのかな?」とよぎりました。

少子化だけでなく、核家族化が進んでいる一方で、新築マンションを建てて売り続けることがミッションの仕事に、迷いのようなものが生じるわけです。

「中古住宅を活用する仕事のほうが社会的には重要では?」と思い、リノベーションの会社に転職も考えました。(2005年当時、ブルースタジオさんがとてもカッコよかった! → 久しぶりにwebサイト見たらすごい発展されてた)

ほかの業界の人にも、このような迷いは起こるかもしれません。

例えばファストファッション業界。

リーズナブル、丈夫、デザインも良い服がたくさん増えました。消費者としてはとてもうれしい環境です。

一方でアパレル業界は在庫を大量に抱えるという特徴があります。
服をつくるには材料が必要で、環境に負荷をかけているのではないか?などがよぎるかもしれない、というわけです。「eSports」という服をまとったゲーム業界とかも。

このようなことが、教員には少ないとおもっています。
社会の健全な発展に迷いなく生涯かけて取り組みやすい仕事。
その1つが教員だと思うのです。

最近はメディアやSNS上で風当たりの強い仕事ですが、それには決してひるまず、素晴らしい仕事だと誇りをもって、努力を重ねて良い先生になってほしいということを伝えました。

講義の最後に何人か学生がコメントをしてくれて、意図は伝わったかな、、と思いほっとしました。

1人でも多くの良い先生が増えてほしいと思っています。

ありがとうございます!