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『おとぎカンパニー』田丸雅智

田丸雅智さんの『おとぎカンパニー』を読みました。田丸雅智さんの作品を読むのは『1日10分のごほうび NHK国際放送が選んだ日本の名作』という短編集に収録されている「海酒/綿雲堂」以来です。

ちなみに、この『NHK国際放送が選んだ日本の名作』の「1日10分」シリーズは第三弾まで出ており、そのなかでも第二弾の『1日10分のごほうび』が私のお気に入りです。

さて、『おとぎカンパニー』は『白雪姫』『赤ずきん』『マッチ売りの少女』などの名作童話を現代風にアレンジした短編集となっています。
想像もつかない形で名作童話がアレンジされており、不思議な世界へと連れて行ってくれる作品です。
そのなかでも、『白雪姫』をアレンジした「同期で一番」と『金の斧』をアレンジした「教務課の女神」が個人的に好きだなと思った作品です。

「鏡よ鏡、同期で一番仕事ができるのは、だぁれ?」と会社で見つけた不思議な鏡に語りかける新入社員。私が一番で居続けるためにある行動を起こします。そこで登場するのが毒リンゴならぬアップルティー。現代風にアレンジされたモチーフもこの作品の醍醐味です。

「あなたが落としたのは、金融工学基礎の単位ですか?」と留年の手続きに訪れた青年に尋ねる教務課の女性。斧ではなく、単位を落とすという設定になるほど!っと感心してしまいました。落とした単位をくれるなんて、まさに夢のような世界ですね。

14篇収録されているので、ひとつはお気に入りの作品を見つけることができるのではないかなと思います。
ぜひ、不思議な現代風童話の世界を旅してみてください。ちなみに『おとぎカンパニー』シリーズは『日本昔ばなし編』と『妖怪編』もあるそうです。

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