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『夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます』イ・ミイェ著、鈴木沙織訳

今回は海外の文学作品をご紹介します。

韓国No.1ベストセラーで、シリーズ100万部を突破しているという、イ・ミイェさんの小説『夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます』を読みました。

かわいらしい表紙と、帯に書かれた「韓国年間No.1ベストセラー」の文字に惹かれて、海外ではどんな作品が人気があるんだろうと思い、手に取りました。

この物語は寝ている時に見る「夢」がテーマになっています。タイトルにもあるように、夢を売る百貨店が登場します。夢を売るというのがなんとも不思議な設定ですが、実は私たちが無意識で見ていると思っている夢は、眠っている間にしか訪れることができないという不思議な別世界にある夢を売る百貨店を訪れて、そこで自分で買っているというのがこの物語のお話です。9つのやさしい物語が綴られています。

主人公のペニーはこの別世界の住人で、この夢を売る百貨店に就職することになります。ペニーの他にも、夢百貨店の店主であるドルグート、夢を作り出す夢師たち、妖精レプラコーン、ノクチルカなど、個性豊かな住人たちが登場します。

夢百貨店では、様々な事情を抱えた人々や動物たちが訪れます。彼らは夢を通してそれらを乗り越えていきます。

人間だけでなく動物たちも夢百貨店を訪れているというのが面白いなと思いました。この物語を読んでから、今夜はどんな夢を見るんだろうか、と眠るのが楽しみになりました。

今日も知らないうちに私は夢百貨店を訪れたのかなと、夢を見た後ならきっとそう思わずにはいられない物語になっています。

眠って夢を見るという毎日の何気ない日常が、素敵なファンタジーの出来事のように感じられ、日々をより楽しく彩ってくれる小説に出会えた気がします。

シリーズということで続編があるようなので、また邦訳が出版された際には、ぜひ読みたいと思います。

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