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日/米 上場SaaS 比較

近年日本でも有力なSaaS企業が続々とIPOを果たしている中、ますます注目度は高まってきてきていると思います。一方で、米国市場では、先んじて高い注目を集めていたSaaS企業が、コロナ環境の追い風もあって一層成長速度を高めている状況かと思います。そこで、改めて日本と米国とで上場SaaSがどのような評価を得ているかを比較してみました。

【分析データ公開!!】

今回の上場SaaS各社の財務数値データ(Excel)は元の数字データも含めて、すべて公開します(具体的にどんなデータがあるかは例示も合わせて後述します)。例えば、国内ベンチャーの方で、ベンチマークにしている海外企業の売上推移実績を把握したい、あるいは上場SaaSの会社概要を見てベンチマークとする企業をみつけたい、日米それぞれの会社のPSRがいくらか個別に把握したいという方には役立つ資料になっていると思います。
ご要望の方には、どなたにでもデータのアクセス権お渡ししますので、メール、FBメッセンジャーあるいは、TwitterのDMで以下をご連絡ください。
・所属会社名
・ご氏名
・メールアドレス

なお、今後(できれば)毎月のペースでSaaS上場会社の決算数値、時価総額をアップデートした分析データを公開・Twitter上でも通知していく予定ですので、定期的に情報アクセスしたい方はTwitterフォロー、あるいはNoteをフォローを頂ければと思います
Twitter : https://twitter.com/kazu_1012
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Mail : muraoka@wilab.com

【比較表(サマリー)】

米国95社、日本28社の上場SaaS企業を独自にセレクト。Pitchbook社提供のデータを加工して分析しています。時価総額、売上規模、売上成長率、粗利率、PSR(売上の何倍の時価総額がついているか)、Rule of 40(売上成長率+営業利益率>40%のSaaSがGoodとされている)を比較した結果がこちら

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中央値で比較すると、
時価総額は、USが1.2兆円に対して、JPが約800億円と2桁違う水準
・売上は、US813億円、JP66億円
売上成長率はUS25%、JP21%と大差ないように見えますが、上述の通り、そもそも売上絶対額が12倍ほど大きいUS企業は、売上800億円超えても25%成長をできているという点では目を見張るものがあります
粗利率はSaaSベンチャーを見る上で個人的に重視している指標です。サブスク課金モデルだがソフトウェア事業ではないものが日本のSaaSベンチャーではよく目にしますが、そうすると粗利率が低下し、最終的に株価評価(PSR)にも影響します。セレクトした日本のSaaS企業は高粗利率のものを選択していることもあり、ここでは日米での大差はありませんでした。
・PSR(時価総額÷売上高)は、SaaSの株価評価指標として最重要視されるものです。いつの売上を前提にしているかというと、NTM=Next Twelve Month(直近開示決算から、向こう12か月分のアナリスト予想数値)となります。US12.7x、JP11.8xということで日米での大差はありませんでした。一方で、他業界では例えば、NTTデータ等のシステムインテグレータといわれる企業の平均PSRが1.5x程なので、如何にSaaS企業が高評価されているかが分かります
営業利益率はUSは▲13.9%、JP+9.6%と黒字で、日本は早いタイミングでより利益を追求する傾向にあるのかと思います。
Rule of 40(売上成長率+営業利益率>40%以上だとGood!という指標)についてもUS15.3%、JP30.6%と、日本の方が数値は高いです。要因は一つ上の営業利益率が日本が高いことが起因しています。ちなみに40%超えの日本SaaSは以下の6社(AI Inside、Cyber Security Cloud、User Local、Medley、RAKUS、Oro)、USはZoom、Shopifyらをはじめとする14社でした。

【補足】結局、何の指標を満足させれば、時価総額の高評価(高いPSR)につながるか?

→答え:高い成長率
US SaaSにおいては売上成長率が最も相関が高いという結果でした。PSRとの相関係数は成長率が0.64、Rule of 40が0.16。個人的には利益率も考慮されることからRule of 40の方が指標としては相関は高いのでは?と想像していましたがそうではなく、やはり高評価を得るには高成長をし続ける必要があるという結論です。(JPはN数が少なく相関がみえにくいためUSのみの分析)

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【分析資料記載のデータ例】

US95社、JP28社、それぞれの上場SaaS企業の以下のデータを記載しています。以下例示

・簡単な会社概要
・財務データ(時価総額、事業価値、売上、粗利、営業利益、最終利益、時価総額、成長率、利益率)、決算時期
・上記指標をランキング式にグラフ化したデータ
売上のトレンドが分かるように直近決算から9四半期前に遡って売上推移データも開示しています(→ベンチマークにしている海外企業の売上トレンドはこちらで把握できます。意外とコロナで凹んだUS企業も中にはあることが分かります。)以下、例示

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US上場SaaSは以下の会社をセレクト

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日本上場SaaSは以下の会社をセレクト

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【終わりに】

日米SaaSを比較した結果、現状は、USのSaaS企業は、JPよりもけた違いに大きな売上収益、時価総額をつけており、そのためには成長率が重要ということが分かりました。しかし、これは対象としている市場規模が違うため当然と言えば当然の結果です。今後、USの高評価・高成長SaaSは何が起因して成功しているか、またそれを日本SaaSに置き換えた場合にどうか?という点も検証していきたいと思っています。他にも「〇〇〇みたいな分析欲しい!」というリクエストがあれば是非ご意見ください。

SaaSベンチャー起業家の方で、海外プレイヤーをベンチマークにおき、高成長をと事業推進されている方がいれば、ぜひディスカッションさせてください!事業の壁打ちや、資金調達をお考えの方も、是非以下の村岡の連絡先までご連絡下さいませ!

なお、繰り返しですが、今回の分析データ(Excel)をご要望の方には、共有致しますので、メール、FBメッセンジャーあるいは、TwitterのDMで以下情報とともに(所属会社名、ご氏名、メールアドレス)ご連絡ください。
Compsデータは今後も定期的に決算数値、時価総額をアップデートして情報公開し、Twitter上でも通知していく予定ですので、Twitterフォロー、あるいはNoteをフォロー下さい
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