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台湾野鳥の世界へようこそ!最新図鑑で探鳥の旅を極める?!

 台湾はその独特な地理的位置と多様な気候条件のため、豊かで多様な自然環境と生態系を持っています。台湾は亜熱帯から温帯にかけての気候を有し、北部は温暖湿潤な気候、南部は熱帯気候の特徴があります。そのため、台湾は非常に多様な植物と動物の種を支えることができる地域となっています。
 鳥類は約500種以上が確認されており、その中には台湾固有の種も多く含まれています。(eBirdによると、昨年2023年は552種の報告がなされています)

 そんな鳥が多くいる島国の台湾国内で販売されている野鳥の図鑑は日本と比べると少ないです。私が現在保有しており、新品で購入できる総合図鑑を紹介します。台湾での探鳥の際の、購入の参考なれば幸いです。(今後も新刊や離島の生態書籍あれば随時更新していきます)2024年4月16日現在


①臺灣水邊/山野之鳥 常見100種

山野之鳥はボロボロになりつつある

 私が知る限り唯一の台湾野鳥ハンディ(ポケット)図鑑。山野/水邊の鳥2冊でそれぞれ販売されています。台北市野鳥学会が作成した図鑑です。
 山野の鳥は台湾固有種、固有亜種含めて128種、水邊の鳥では固有亜種を含む100種がカラー写真とともに掲載されています。台湾全域でよく見かける種に絞っており、中文、英名学名のほか、俗名、特徴、習性、生息が簡単に記載されています。(もちろん繁体中国語)
 特徴ポイントが写真ではわかりづらい部分があり、物足りないこともあります。しかしながら、目次にある生息地INDEXは掲載の種がどのような場所に行けば出会えるかが記載されており、便利です。
 またハンディ(ポケット)図鑑のため持ち歩きに便利です。もし購入されるのであれば、山野の鳥だけ購入し、日本野鳥の会が発行の新山野/水辺の鳥と併用して使うことをお勧めします。
 關渡自然公園のビジターセンターで販売していることは確認しており、日本国内では山野之鳥のみホビーズワールドさんで販売しているようです。先にホビーズさんで購入して台湾に行くのも良いかもしれません。私も初めて台湾探鳥するときに店頭で購入しました。
 定価:各180NTD

②臺灣野鳥手繪圖鑑

ポピュラーな図鑑

 中華民国行政部農林部が作成した図鑑で、現在は第三版が販売されています。私が保有しているのは第二版での話になります。第3版も内容は大きく変わらなと思います。
 フィールド図鑑日本の野鳥第二版とほぼ同じサイズ厚さ感ですが、英語版は、一回りサイズが大きく、少し重たいです。(第3版の英語版は二回りぐらい大きい)
 本図鑑では繁体字中国語での675種記載とその特徴、分布図、イラストが掲載されています。また身長の記載だけではなく、重量の記載もあります。重量の記載があるのってめづらしいような気がします。(英語版は重量の記載がないとか)イラストも緻密に描かれており、中国語、英語がわからなくても、識別ポイントが理解できる図鑑です。

桃園市野鳥学会より引用

 大きな書店(誠品生活)などで並んでいるところを見かけたことがありません。台北であれば、中華民国野鳥学会のオフィスもしくは、關渡自然公園のビジターセンターで販売しています。日本国内だと、こちらもホビーズワールドさんが第3版、第二版の英語版の取り扱いをされているようです。(第3版英語版第2版英語版
 中国語版 第3版 定価:1600NTD、第2版 定価:1200NTD

③臺灣野鳥圖鑑-增訂版 陸鳥篇/水鳥篇

見てて楽しい写真図鑑

 台湾野鳥の図鑑で一番詳しいものではないかと思っている図鑑です。この図鑑は晨星出版有限公司が出版し、陸鳥編、水鳥編合わせて691種、そして合計約3000枚の写真が掲載されています。
 各鳥種の詳細な形態特徴、生態、生息状況、出現記録を記載があり、さらには各鳥種の異なる羽色の画像も掲載しています。また、陸鳥編に付録でついているCDには130種の鳴き声も収録しています。内容盛りだくさんです。

博客来より引用

 台湾本土の情報だけでなく、離島(澎湖,馬祖、金門)の出現記録情報(例:ハリオハチクイ (栗喉蜂虎)は夏/普通(金門))が多く掲載されています。他の図鑑も掲載はありますが、こっちの方が気持ち詳しい気がします。
 また相似の種情報や識別比較一覧表があることで、識別が難しく、混同しやすい似た鳥種についての識別を容易にしてくれます。(中国語の理解が多少必要ですが。。。)
 ボリューミーなこの図鑑、約B5サイズで合計1000ページを超えており、私は探鳥時に識別できなかった時に自宅で開くことが多いです。また写真が沢山あるので、写真集としても見応えがあります。東南アジア、大陸の鳥たちの興味もそそられる図鑑です笑
 この図鑑は大きな書店(誠品生活)などで見かけますので、一番入手しやすい図鑑かと思います。たまに初版が売っていることがあり、「増訂版」であることをしっかり確認することをお勧めします。初版は593種の掲載で、100種ほど掲載が少ないです。
 定価:各990NTD

④手繪臺灣野鳥新圖鑑 陸鳥/水鳥

最新図鑑

 臺灣麥克集團から2024年4月に発売されたばかりの最新の図鑑です。陸鳥、水鳥編合わせて693種の掲載されている図鑑です。中華民国野鳥学会が2023年に公表した名録に基づいて掲載されています。掲載種数は一番多いです。
 他の図鑑と同様に基本的な情報の他、生態に関する情報も掲載されいます。イラスト量も豊富で鳥類の特徴を概ね表してくれています。ただ一部カモの足が描かれていなかったり、情報も簡素な部分であるのが少し残念です。

博客来より引用

 ただ一番の特徴であるeBirdへのリンクQRコードがあり、情報を補完してくれます。スマートフォンでスキャンすることで、リンクされたウェブページから鳥の声を聴いたり、最新情報を入手できます。リンク先が繁体字の中国語になっていますが、名前の部分は和名で表記してくれています(おそらくeBird側が、端末の言語情報から判断している模様)
 また個人的に一番気に入っているところは巻末付録にある生態索引です。台湾本土での月毎の出現表があることです。どの時期に行けば見られる可能性があるのかが一覧でわかるので、夏鳥、冬鳥、留鳥の情報が視覚的に得られます。

 出版社の直販サイト購入したので、書店での販売状況が確認ができていません。確認でき次第更新します。
定価:陸鳥950NTD、水鳥750NTD

・どれがお勧め?

 フィールドで使う前提であればサイズ感や価格、そして英語でのものがあると考えると②臺灣野鳥手繪圖鑑が無難かなと思います。そのほかは全部繁体中国語です。③④も2冊を持ってフィールに出るのは重たいです。
 もし台湾北部の探鳥であれば、①のところで申した通り山野の鳥だけ購入し、日本野鳥の会が発行の新山野/水辺の鳥と併用がいちばんのような気がしています。(余談ですが、日本野鳥の会が発行の新山野/水辺の鳥ってほんと秀逸なハンディ図鑑だと思います)
 お家で見る図鑑であれば③臺灣野鳥圖鑑-增訂版 陸鳥篇/水鳥篇ですね。写真が沢山あって楽しいです。

・台湾野鳥書籍を購入すれば更新します!

 本屋巡りをしていると網羅性の高い図鑑の他に、固有種だけをまとめた図鑑や、離島(澎湖、金門)の生態解説書籍もありました。図書館では特定の地域の生態図鑑もあったりしました(絶版になってる可能性大)ので、良ければ購入してみたいと思います。更新情報はnoteもしくはX(旧Twitter)でフォローしていただけると見ることができます。よろしくお願い申し上げます。

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