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「ブルーバイユー」を見た(ネタバレあり)


まえおき

突然ですが、他人の物や財産権を一定期間継続して占有もしくは準占有指定場合、その者に権利を与えるという考え方がありますが、国籍/在留資格についても一定条件のものそう言った考え方はできないのだろうかと考えた映画でした。

映画を見る前に、なんとなくエンディングの方向性が予想が立っている映画は、見ていると辛くなってくるので、なるべく情報を事前に入れないようにしているのですが、おすすめの映画を見ようと思った時に、どうしてもある程度事前に入ってしまうので避けられない時もあるのやむを得ませんね。


最後のジェシーとの別れのシーン

アントニオが強制送還のため空港に連れて行かれた際に、妻のキャシーと別れを告げて搭乗口に向かう姿を見て、今まで静かにしていた娘のジェシーが突然「パパ行かないで!」と叫び、その声を聞いて、娘に駆け寄って抱き合うシーンでは胸が張り裂けそうな思いが見上げてきて、涙腺崩壊してし舞いました。
ここでジェシーの「パパが私を選んで、私もパパを選んだから別れたくない。」というセリフが、冒頭で新しく子供が生まれてくる知った連れ子のジェシーが、前の父親の時と同じように見捨てられてしまうと心配した時に、アントニオがいった言葉がリフレインされて、この映画印象的なシーンとして印象に残りました。


緻密に計算された流れ

アントニオが、移民管理局により強制送還対象になってしまい、弁護士からの説明を受ける段階で旗色が悪くなっていくような展開になっていきます。

それでも、アントニオがなんとかお金を用意して弁護士のサポートを得る、パーカーとその家族との交流、子供の誕生、そしてサポートが絶望的と思われていた法廷にも、キャシーの元夫のエースや、当初出廷を渋っていた養母までも出廷してくれるシーンなどがあり、ややもすると、絶望的なエンディング一直線に向かっていきそうなところを、絶妙なタイミングで希望を見せてくれて、見ている人の心を掬い上げてくれます。


パーカーとの出会い

アントニオが、妊娠中のキャシーにあいに行った病院で、パーカーという女性に出会います。
彼女とアントニオはその後も何度も会って最終的に家族ぐるみの交流をしていくことになるのですが、一見、本筋から関係のない彼女との交流を描き、彼女とその父親がどういう経緯で難民としてアメリカに逃れてきたのか、彼女がどういう状況にあるのかなどを知ることで、自分のことだけを考えていた自分を顧みるようにっていったのではないでしょうか。


移民問題への取り組み

映画のエンドロールに、人生をアメリカ人として過ごしてきたにも関わらず、強制送還されたまたは、当時確定している人の事例が挙げられており、この問題の深刻さが窺えます。

この問題は、映画にもあったように法的な欠陥を利用して差別的意識が向けられやいところなのかもしれません。
加えて、移民問題は大統領選挙でも話題に上がるほどの問題になるので、立法的対応も時間がかかるのかもしれない。ただ、そもそも本人が希望しておらず、且つ人生のほとんどの時間をアメリカ人として過ごしてきた人たちに対しては、何らかの救済があってもいいのではないかと考えます。



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