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ゴミがゴミでなくなった日。ゴミのなかに資源と宝物がある。

コンポストを始めた友人が言った「生ゴミが宝物に見える」と言った言葉が忘れられない。ここ最近、なぜか「ゴミ」に関わる出来事や会が頻発したこともあり、「ゴミ」にまつわるエピソード(&ゴミにまつわるサービスメモ)を書くことにした。

ポートランドでゴミの定義と言葉の使い方を再考した

日本にいた頃、私がゴミと呼んでいたものは、いろいろある。燃えるゴミ、燃えないゴミ、プラスチックゴミ、資源ゴミ・・・。日本では自治体が中心となって回収を行っているが、すべてまとめて「ゴミ」と表記されていることが多い。

ポートランドで暮らすようになってから1年ぐらい経った頃、周りの人とゴミにまつわるコミュニケーションにおいて、しばしば話が噛み合わないことに気づいた。ポートランドの市によるゴミ回収はというと、3種類に分かれている。ひとつがプラスチックや段ボールなどのリサイクルできるものを入れる青のリサイクルボックス。そして堆肥となる生ゴミや落ち葉などを入れる緑のコンポストボックス。そしてそれ以外はグレーのガベージボックス。個々の家庭の個別回収である。


引っ越したばかりの頃、ゴミの分別の仕方を尋ねると大抵、えっゴミ?ああグレーのボックスに入れておいてね。という答えが返ってくるのだった。私が聞きたい回答はそれではない!!!段ボールや瓶や缶をどう分ければいいのか?何をどの色のボックスに入れればよいのか、ということだった。なんで通じないのか、英語が悪いのか、と友人に聞いたところ、ゴミはグレーのボックスに入れる、リサイクルもコンポストもできない物だけがゴミ(garbage)だから、という回答が返ってきた。

そうなのだ。リサイクルできるプラスチックやビン、カン、ダンボールも、生ゴミも、ゴミではないのだ。私が尋ねたポートランドに住む彼らにとっては、それはゴミではなかったのだから彼らの回答はまっとうだった。

新しいものに生まれ変わるか、土に還って野菜や花を育てるか、循環していくものは、資源であり宝物だ。という当たり前のことにやっと気づいたわけだ。

自分がいかにエシカルのビギナーであるかを晒すエピソードなわけだが(苦笑)、まあ私の暮らしの実態は、そんなものだから仕方ない。ゆえに、できることだけでも、気がついたことからでもやっていきたいのだ。

それに言葉の力というのは、大きい。ゴミと呼べば不要なモノ、捨てたい、家の外に出したいもののようにとらわれてしまいがちだ。だから、忘れそうになった時こそ、立ち止まろうと自分に言い聞かせている。毎日捨てる(広義での)ゴミ。その中には、未来につながる宝物がきっと混ざっている。

ゴミを未来へとつなげるスタートアップ

ゴミを循環サイクルにのせて行けばゴミは減っていくわけでゼロ・ウエィストに誠実に取り組むスタートアップや自治体が最近確実に増えている。代表的なところから、発想が面白い!と思ったスタートアップまで、いくつか並べてみたい。

無料回収のリサイクルを世界中で展開する「テラサイクル」

日本にも上陸している、リサイクル企業の老舗中の老舗だ。日本では企業と協力をして歯ブラシや化粧品の容器を店舗や公共の場所に回収ボックスを設置して、回収している。

米国では、ZERO WASTE PROGRAM という商品も展開する。さまざまな商品の回収BOXを販売しているのだ。たとえば企業や店舗向けには、業界ごとに発生するようなゴム手袋やシャンプーハットといった個別商品の回収ボックスを、汚れたコーヒーの紙カップやプラスチックの容器を回収するボックス、洗面所で出る容器を回収するボックスなどがある。消費者はボックス代金をはらい、いっぱいになったらテラサイクルに送る。自治体回収ではゴミとして捨てざるを得ないものを回収し、リサイクルしているわけだ。

6歳の息子と父が始めた、コミュニティ特化の回収サービス「Ridwell」

シアトルに住む6歳のオーウェンと父ライアンが、家の中のバッテリー回収から始めたリサイクルできるものの回収サービスだ。回収したものを処理できる場所を自ら探し、そして家の中から、近所へと広がり、街へと広がっていった。自治体でも企業でもなく、コミュニティが先導する回収サービスと言えるかもしれない。

彼らだけではできないため、その土地土地の協力者と一緒に、回収できるコミュニティを増やしているようだ。シアトルから広がって、今はポートランドでも始まり、我が家の周辺でもこのオレンジボックスを見かける機会が増えてきた。友人と一緒に始めるのもいいかなと我が家も検討中だ。

回収しているものはプラスチックフィルムやパッケージ、洋服、バッテリー、ライト。回収頻度によって価格を決めている。

日本では自治体が回収しているものもあるが、こうやってコミュニティ(民間)の力でゴミを減らすことができる好例かもしれない。

柑橘類の皮に特化したリサイクルスタートアップ「Peel Pioneers」

オランダのスタートアップ「Peel Pioneers」は廃棄された柑橘類の皮を回収し、さまざまな形に再利用を提案している。エッセンシャルオイル、皮をひいて料理に再利用。そして最後の残ったものは牛の飼料に。

身の回りでさらっと廃棄されているものの中に、とても有益なものが隠れているかもしれないと思わせてくれる取り組みだ。


さらに日本では、徳島県の上勝村がゼロ・ウエイストに向けて街をあげて取り組んでいる。
https://zwtk.jp/separate/

鹿児島・大崎町にも注目だ。2021年リサイクル率ナンバーワンとなり、プラスチック容器の撤廃や、コンポストにこちらも街ぐるみで取り組んでいる。

まだまだいろいろな方法で、ゴミを宝物や資源へと変えることはできるはずだ。2021年はきっと、日本にもこういうスタートアップが登場するのではないか、と個人的には楽しみにしている。


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