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リモートワークを持って移住することの功と罪。仕事は持参か、現地調達か。

日本のローカル、はたまた海外。どちらの移住においても「仕事」をどうするか、は問題だ。エンジニアやデザイナーといった場所をあまり選ばない仕事であれば、リモートで今の仕事を継続する、という選択もある。昨今はそれが可能な仕事も増えているため、若年層やIT業界を中心に移住のハードルは下がりつつある。現に私の知り合いの中にもエストニア、ベルリン、オランダに移住した家族がいる。

私はWeb企業のマネジメント業というリモートワークを持って移住した“持参派”。移住して半年が経ち、移住におけるリモートワークには功と罪があると感じる今日この頃。物事にはたいてい、裏と表、メリットとデメリットがあるものだから、それは不思議なことではなく、両方を知った上で、どういう選択をするかが大事だと考える。

私はできるだけ多くの人が選択できる、自分の人生や暮らしをつくることができる社会になって欲しい、それに貢献したいと思っている。だから、私が感じた功と罪を書いておくことにした。

※いま「リモートワーク」どうするか問題が話題だと思いますが、ここでは時事的リモートワークどうするか問題には触れません。

ひとつめの功:生活基盤のある安心感

ひとつめは言わずもがなではあるが、経済的な話だ。家も人間関係も、子供がいれば学校のコミュニティも、仕事もすべてがゼロからのスタートはやはりきつい。その点、仕事を持っていければ、一定の経済的な生活基盤はしばらくは保証される。これは紛れもない、仕事を持参する功の部分だ。

ふたつめの功:繋がりが心のよりどころとなる

移住をすると、その場所が遠ければ遠いほど、すべてがリセットされる。人間関係も、仕事も、肩書きもすべて、何ものでもなくなる。よく海外に移住すると家族が団結する、という話があるのだけど、極端な話、家族以外の拠り所がない中からのスタートといっても過言ではない。誰も私のことを知らない。もちろん、頼れる友人知人移住前からつくっておくに越したことはないけど、元いた場所と比べるとその数の差は雲泥だ。

そんな時、リモートワークで繋がる場所は、自分の存在を確認する、よりどころのような場所となり得ると知った。いま思い返せば、慣れない言語に、この家電はどうやって使うのかも、郵便はどこへ出すのかもわからない。グラムじゃなくポンドで肉を頼むのにひと苦労、F度で記された温度がわからずスマホで毎度ググるそんな日々において、ほっと安心できる場所がリモートワークで繋がる場所となり得たように思う。

阿吽の呼吸だったり、勝手知ったる仲だったり。それはリモートワークに限らない。元いた場所で所属していたグループ、コミュニティでもよりどころとなる。保育園の同じクラスで年長まで一緒に育ったママ友とのLINEグループに移住後も入れておいてもらえたのは嬉しかったな(みんな、卒園おめでとう!)。

ひとつめの罪:新しい環境との接点の減少。逃げの場所となる可能性。

人間は変化に強い生き物なのか、弱い生き物なのかはわからない。でも一般的に転職や移住にパワーが必要なことを考えると、変化や挑戦より、現状維持や継続の方が向いているし、それを好む人の方が多いのかな、と思ったりする。

そう考えると、リモートワークを持っている、ということは現状(それまでの仕事や暮らし)を維持しているということで、新しい環境への挑戦への妨げとなり得る。実際に移住したのに大半を家の中で過ごしてしまう、なんてこともあり得るわけだ。

私も最初の数ヶ月は、子どもたちが保育園や学校に行っているフリーの時間はたいていパソコンの前に向かって、リモートの仕事をしていた。子どもたちと公園に出かけたり、土日に遊びに行ったり、こっちでできた友だちとランチをする機会はあっても、多くの時間をリモートワークに費やして、それを新しい環境を開拓したり知り合いをつくれない、言い訳にしていたような気がする。

これは移住におけるリモートワーク持参のマイナス面だ。前項の拠り所になる話と表裏でもあり、要はバランスなんだろう。

ふたつめの罪:ふたつの世界を生きるストレスのようなもの

これも二重においしい楽しさともなり得ることだが、歯車が噛み合わないとストレスになるという話。国内移住はわからないが、海外のリモートワークは、時差の問題がある。海外移住を考えていてリモートワークを・・・と考えている皆さんにむけて書いておこうと思う。

私の体内時計は常に日本時間とポートランド時間のふたつがいつも流れている。Googleカレンダーにはメインとセカンダリーのふたつのタイムゾーン設定ができるが、私の体内時計もふたつのタイムゾーンができているようだ。しかもサマータイムとかで慣れてきたと思ったらズレるからその調整がまたややこしい。

日本時間が優勢になると時差ボケみたいな毎日になったり、体内時計が狂っておかしなことになる。最初半年は日本時間で生きていたようで、いま思えば日中眠たくて仕方がなかった(笑)。

時差あるリモートワークする人は、これをどう乗りこなすかが試練じゃないかと思う。

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リモートワークを持参して移住した結果、半年ほど経過していま思っている功罪をあげてみた。一概には言えないけど、仕事はあるに越したことはないようには思う。持参ができる状況なら、その個人が選ぶことができるから。
移住を考えている人は、リモートができる仕事やできる環境、できる自分やできる相手を選び、用意しておくのは、ひとつ移住をしやすくする方法ではないかと思う。

いうまでもなく、移住することが決まってから関係性が始まってのリモートワークより、すでに関係性ができている中からリモートワークに移行する方が楽であるのは間違いない。持参派になるなら、その前提で今の環境の人に、意思を伝えておくのもひとつだろう。

現地調達は現地調達で、その場所でしかできない仕事もたくさんあるから、新しい出会いや気づきがたくさん待っていると思う。思い切って挑戦するのも素敵だ。そっちを選んで移住する人は、私からはとても勇敢に見えていて、かっこいいなとも思う。

仕事や勤務地に合わせてマイホームを購入をする時代から、自分らしい家をオーダーメイドでつくる人が出てきた。そして今は仕事ありきではなく、暮らす場所やいきたい街を選び、それから仕事を合わせたり調整したりする人も確実に増えている。それは、これからもっと増えていくのではないかと思う。持参か、現地調達か。移住と暮らしの可能性はたくさんあると思う。

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