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ハーバードが提唱するマルチプル・インテリジェンス理論とアート思考

得意な思考方法から始め、複数の学び方が活用できるように

日本の学校での教育は、音楽や図工・美術の時間が削減され、国語や数学など言語能力や論理的数学思考を中心に行われてきました。人間の才能は、IQテストで測れる思考力だけでなく、多様な知能によって成り立っています。私の携わっている教育研究機関でも、クリエイティブ力を鍵として、多様な能力を育む過程でまず重要になる「マルチプル・パースペクティブ(多様な視座・視点)」を獲得することを目指した実践を様々なワークショップで行なっています。多様な知能と感覚を伸ばすには自分の物差しとなる「メジャメント」を獲得してゆくことが大切です。

クリエイティブ教育論の第一人者であるハーバード大学教育学大学院ハワード・ガードナー教授は、

「人間は普通生活するのに8つの能力を働かせている。言語能力・論理的数学的思考・空間能力・身体運動能力・音感能力・対人的能力・内省的能力・自然との共生能力とこの8つの異なる能力を働かせて人間は普通生活している。だからこの8つの異なる能力のうち、各自が秀でてる分野からアプローチすることで、個別の才能を伸ばしていける」

というマルチプル・インテリジェンス理論を提唱し、アメリカを中心に広く教育の世界に影響を与えています。人はそれぞれ得意な思考方法を持っています。得意な思考法から始めましょう。クリエイティブな思考を伸ばしてゆくには、その個人の特性に対して複数の学び方が活用できるようにすること、そして個人にできるだけ寄り添って導いていくことが重要です。これは学校や塾よりも、親が生活をともにする中でゆっくりと行えることです。ここが私がクリエイティブ・ペアレンツがこれからの時代大切になってくると思っている所以のひとつです。

なぜアート教育・アーティストとのふれあいが有効なのか?

〜独創性と多様性を重視するアートとマルチプル・インテリジェンス理論の結びつき〜

アートは個々人の表現力が最も豊かに活かされ、また評価される領域です。アーティストは各々その特性と長所を磨きあげることで、傑出した作品を制作します。同様にその評価も画一的なものにはなり得ず、多様な観点からの評価が重要になります。ガードナーのマルチプル・インテリジェンス理論は、IQなどの画一された指標では測りきれないこうした個々人の特性と長所を理解し、成長させてゆくためにあります。ひとりひとりが持つ視点のユニークさがアートを作ります。この点においてアーティストの考え方は子どもたちにとっての一つの重要なモデルとなり得るのです。またアーティストたちの持つ多様な視点やアプローチを理解し、獲得してゆくとことは子どもたち自身の視点や、問題へのアプローチ方法を拡大してゆくことにも繋がります。独創性と多様性を重視するアートは、マルチプル・インテリジェンス理論に則った教育を展開してゆくのに最も適した方法の一つだと言えるでしょう。

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