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「いつかって、いつですか?」

「いつか、小説の公募に出そうと思ってます」
「いつかって、いつですか?」

人を品定めするような、冷たい視線が突き刺さった。
知り合って間もない人だった。心の底から知りたくて訊いた、という態度ではない。軽蔑に近いものすら感じた。
(うわー、ムカつく。えっらそーに。性格悪いやつだな〜)
……いや、「いつか」などと曖昧な言い方をしてしまったのがいけないのか?
だけどこっちにだって、言い分はあるぞ。
無理やり口の両端を持ち上げて余裕の笑顔を作った。

「いつかは、いつか。小説の材料が発酵したら、です!」

こんな会話を人と交わしたのは、2017年か2018年のことだ。言われた言葉はハッキリ覚えてるのに、季節は記憶にない。
言われた時こそ、「ムカつく〜ッ!」と腹が立って腹が立って、「ムキーッ!」って大噴火したけど。実際、書かなきゃ何も始まんないわけで。
あの時、発破かけられてよかったと思ってる。うん、すごーくムカついたけどね。

「いつか」という言葉は、驚くほど使いやすい。

いつか、は、いつなのか。
いつか、は、果たしてやってくるのか?
それは言った本人にしか分からない。

「いつかって、いつですか?」

ありきたりでつまらない問いかけだけど、私にとっては、ものすごく胸をえぐられる質問だった。
「いつか」としか言いようのない時がある。
人にはそれぞれのタイミング、巡り合わせがあるのだ。今すぐ実行できなくても、それは罪じゃない。バカでもアホでもない。

「いつかって、いつですか?」という無粋な質問に対抗できるのは、「いつか」を「いつか」にしない努力だけだと思う。
「いつか」を「いつか」のままに、したくない。

今、3月締切の公募に向けて、長編を書いてます。
これが三週間くらい、ずーっと停滞してるのですよ。一日で100字も進まぬのだ。自分に足りないものばかり気になっちゃって、しんどいし、苦しい。
だけど放り出したくないんですよね。ちゃんと物語を閉じたい。
それに今、集中できる環境を、お金払って得ているので。なので、書きます。
「私はこの世界を書き上げるんだ!」と信じて、文字を打ちます。

以上、2022年1月の更新でした。しがない物書きのnoteですが、よろしければ時々遊びにきてください。
みなさまにとって2022年が良い年となりますように!
追伸:水栽培のヒヤシンスが花をつけました。リッチで華やかな匂いがします。(チューリップとムスカリはカビで全滅しました……)

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