フォス家 クリスマスの悲しい思い出
クリスマスツリーの話を書いたところで、クリスマスのちょっと悲しい思い出が蘇ってきました。
私たち二人で最初のクリスマス
夫はドイツ人。私たちが二人で一緒にすごした最初のクリスマスは、カリフォルニアの家でした。夫は、クリスマス直前まで働いていて、クリスマス準備が十分にできずにいました。
ぎりぎりになって、「クリスマスツリーは絶対にないと!」と言う夫と、生のモミの木を買いに行きました。夫がツリー用のシュタイナーのオーナメントを銅で作りました。ツリーに飾る薔薇の花も買ってきました。でも、クリスマスギリギリなうえに、オーナメントも全ては完成しなかった。
ギリギリすぎると、薔薇の花も、売れ残りしかありません。結局、準備が行き届かず、ツリーも中途半端なものになってしまいました。
ツリーの飾り付けをしながら、夫が泣き出しました。
夫の子ども時代
夫は、ドイツのアーチスト一家に育ちました。シングルマザーの義母は、ジュエリーアーチストです。クリスマスプレゼント用のジュエリーの注文を受けて、秋からクリスマスは繁忙期。クリスマスイブ、ぎりぎりまでジュエリーを作り続ける。注文をすべて送り届けて、やっと、自分のクリスマスの準備を始めるのです。
アーチストとしての仕事だけで、シングルマザーで養育費ももらわず家計を成り立たせていた義母はすごいと思います。でも、生活は苦しかった。
だから、クリスマスは、足りないモノだらけ。お義母さんの作った料理と、お義母さん手作りのクリスマスクッキーはあるけれど、他の家庭ほど華やかなプレゼントや飾りもない。
毎年、子ども心にクリスマスを待ち望みながら、「自分に無いものを感じて悲しくなるクリスマス」だったそうです。
クリスマスだけでなく、母は、他の家の美しいモノばかり作っていて、自分の家に、そんな美しいものは何もなかった。
だから、夫は、大人になってからもクリスマスを立派に飾り立てたい願望が強いのです。欠けたものがあるクリスマスツリーは、子どものころの悲しさを強烈に思い出して、悲しくなってしまう。
その年、クリスマスオーナメントも、彼は注文を受けて、人のために作った。人の家には彼の美しい作品があるのに、我が家にはない。まるで、彼の子ども時代のように。
・・・そんな思いのつまった涙でした。
その後のクリスマス
夫の思いを聞いてからは、夫の好きなようにクリスマスを祝わせてあげようと思い、口をはさまないことにしました。
でも、クリスマスになると「完璧にしたい」思いが強過ぎて、ストレスをためてしまうのです。だいたい、完璧主義なくせに、ギリギリにならないと動かない人です。クリスマスだってなんだって、直前になって焦る人。
ストレスをためて怒り出す胆汁質夫。彼のこだわりが強いので、下手に手出しできない、手伝えないワタシ。
「こんなクリスマスは嫌だ」と言って泣き出したのは私です。クリスチャンではない私にとって、大事なひとたちと一緒に幸せにいることがクリスマスで一番大事なことです。
ツリーとか、クリスマスならではのごちそうやデザート。そんなものの準備でストレスためたり、そんな「モノ」のことで苛立ったり、怒ったり、泣いたりしてるのって、本末転倒じゃないの。そんなものなくても、一緒にいることを喜んで、幸せを感じているほうが大事じゃない!・・・って。
最近のフォス家のクリスマスのカタチ
そこから、私たち家族ならではのクリスマスを毎年調節して、クリスマスの時間を楽しめるようにしてきました。
クリスマスツリーはもう3年中止。
これもいい決断だったと思います。でも未来のことは決めません。また、ツリーが欲しくなって、ツリーのあるクリスマスを過ごす時がくるかもしれません。いつか孫が生まれたりして、クリスマスに遊びにくるとなったら、ツリーもあったほうがいいかもしれないし。笑
クリスマスに欠かせないものは、夫が作るドイツ料理。お鍋ひとつでできる簡単料理。ストレスためずにゆったりできるよう、ケーキは、市販のシュトーレンやパネトーネ、クリスマスプディング。紅白の薔薇は花瓶に飾る。たくさんのキャンドルの光。ツリーはなくてもオーナメント。
おしゃべりと、音楽。クリスマスキャロルを、楽器で演奏し、歌う。何時間も、食べて、飲んで、歌って、しゃべって、笑って、一緒に時をすごす。
義妹がいつも我が家で一緒にクリスマスを過ごすのですが、去年も今年もコロナで叶わないのが悲しい。
クリスマスを待ちながら
今、クリスマスを思いながら、クリスマスキャロルをピアノで練習しています。子どもたちが小さかった頃は、10月くらいから、学校でクリスマスキャロルの練習をしていたから、秋からずっと、家でも子どものクリスマスソングがよく聞こえてきました。
体に馴染んでしまった歌は、クリスマスが終わっても突然終わりにできず、春ぐらいまで子どもたちのクリスマスソングが続いていました。それもいい思い出。変声期迎えるまえの、可愛らしい我が子の歌声は、今でも鮮明に覚えています。
ふざけて歌ってた、クリスマスソングの変な替え歌とかも。
クリスマスを思うこの季節は、大事なものを見つめる時期。
胸がツーンとなる思い出も、きっと大事なのでしょう。
↓ クリスマスに欠かせないクリスマスキャロル。
ホルスト作曲のIn the Bleak Midwinter
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