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私はシュタイナー算数・数学を中心に活動しています。

シュタイナー算数の「楽しさ」は、小手先の「キャラクター」などによる演出でもなく、ゲーム感覚の得点競争でもなく、算数そのものの楽しさだと思うのです。

その一つが「教えてもらわない算数 / 自分で見つける・発見する算数」の活動。


たとえば・・・

子どもたちに、図形でいろいろな三角形を理解してもらいたいとします。

「3つの辺がみんな同じ長さの三角形が正三角形ですよ。」
「直角がある三角形は、直角三角形といいます。」

こうやって、「教える」のではないのです。


たとえば、いろんな形の紙がたくさん置いてある。

先生:
「いろんな形があるね」
「気づくこと、なんでもいいから言ってごらん」

こども:
「とんがってる」
「家みたいな形」
「直線ばっかりでできてる」
「角もあるよ」
「この形、きれい」
「こっちの形、好き」
「これ、すぐ転がっちゃいそうな形」
「これ、三角形だよ」
「これは黄色。あっちは青」

先生:
「いろいろあるね。お友達探ししてみようか。どれとどれがお友達になるかな。」

ある子は、細長い感じのもの、丸っこい感じのもので分類するかもしれない。ある子は、色で分類するかもしれない。ある子は、とんがった角があるもの、とんがった角がないもので分類するかもしれない。

数で分類する子ももちろんいます。3が基準のもの(3辺と3角)。4が基準のもの。5が基準・・・ そこで「三角形」「四角形」「五角形」の発見。

「あれ、三角形の仲間でもいろいろあるね。」
「ほんと。こっちはとんがりお屋根形」
「こっちはなんか適当な三角」
「これ、どっしりしてる」
「お屋根の形でもいろいろあるよ、とんがってるのとか、平べったいのとか、工場の屋根みたいなのとか」
「とんがりお屋根の三角形は、傾いてないよ。直角があるのは、傾いてる」
「とんがりお屋根の三角形は、二つの辺の長さが一緒だからまっすぐ立ってるんだ。」


そうやって、いろいろある図形の中から、特徴を掴み取る。

先生:
「『とんがりお屋根の三角形』って毎回言うの長いね。もっと便利になるように言いやすくていい名前をつけようよ。なんていう名前にしようか?」

こども:
「2つの長さが同じ三角形」
「2つの角が同じ三角形」
「2つの辺が同じ長さの三角形」
「2辺が同じ三角形」




「同じっていうことを「等しい」って言うんだよ。『等』っていう字を使えばいいんじゃない?」

「二等辺っていうと2つの辺が等しいっていう意味。」
「そっか、だから二等辺三角形か」
「ぴったりのかっこいい名前がついてるんだね」


教えられるんじゃなくて、その特徴を自分で見つけるから、名前を覚えるだけではなく、その特徴を感じとり、考えながら自分のものにしていく。

自分で感じて、考えて、発言して、みんなの意見を聞いて、もっと考えて、思いついて、発見する。そして、名前をつけるのには、もっと考える。三角形の特徴についても、言葉についても。

しかも、ここで習得したのは「二等辺三角形」のことだけじゃない。形というもの全て、その違い、特徴、図形全体の特徴をつかんで習得している。

この活動は、子どもたちの「受け身」の部分がありません。ぜんぶ、能動的な活動。

教えられる・・・って、考えるな・・・って言ってるのと同じ。
思考停止しろ。言われたこと、わかった「つもり」でOK。

「受け身」ってつまらない。
子どもがどんどん、輝きを失っていく。

そうじゃなくて、「教えない」。
「自分で掴み取る」。

そこが、算数の喜び。楽しさ。


それが、シュタイナー算数です。





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