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夜更けの電話

なんとなく、夜更けにどうしようもない気持ちになって、酔いも手伝って懐かしい同級生にいきなり電話してしまった。彼女は夫も子供もいて、毎日忙しく働いているというのに。なんて迷惑な話だと思う。

すぐに繋がって、嬉しさと申し訳なさが一気に込み上げて、遅くにごめん、何も用はないんだと言った時、間髪入れずに彼女は、ずっといつも思ってたよ、と言った。思い出したでなく、思ってた、と。何度も。きっと私の声がいつもと違うことに気がついたのだろう。

そして自分の話をしてくれた。私が無理に話さなくても良いように、聞きたかった声を聞かせてくれるように。それがとても嬉しくて涙が出た。この時間ね、ちょうどいいの。だからいつでも電話して?とも言ってくれた。優しい気遣いが、変わらないなと思った。

何年かに一度、彼女の前でだけ弱音を吐いた。聞いてもらいたい話と、ききたかった話をするべく、1ヶ月後に会う約束をして電話を切った。近い距離ではないけれど、約束をしないと電話を切れなかったのだ。いい大人になっても、そんな日がある。

とある日の夜更けの電話の話。

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