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子どもが虫を殺すひとつの見方

子どもが虫を殺してしまったら大人である私たちはなんと声をかけたらいいのだろう。


「虫は殺しちゃダメよ」
「虫がかわいそうね」


そんなことを言うのかな。

今日は普段勤めている職場での話。



2歳さんがアリを捕まえたんです。

指でコロコロしていると動かなくなり、そのアリを見て少し不思議そうな顔をしました。


「アリさん動かないね」と言うと「うん」と言いながら眺めていました。


地面に返しても動かないアリをしばらく眺めて他のところにいきました。



何日か後に今度はてんとう虫の幼虫のを見つけ、人差し指と親指で持って「かわいいね」と本当に大切そうに持っていたんです。

するとその子のお兄ちゃんが「俺にも見せて!」と言って取ろうとしたので力が入ってしまって潰れてしまったんです。

彼女は大泣きしました。


そしてそのあと今度はダンゴムシを見つけたのです。

また彼女は手に持っていました。

コロコロ手の中で触ったり色々な触り方をしているうちに、アリの時と同様に動かなくなりました。

彼女は何かを感じているのかまた不思議そうな表情を浮かべていました。

「あれ、ダンゴムシ動かないね」と伝えると「でも生きてるよ」と言うのです。

帰る時間になったので、「そのダンゴムシどうする?」と聞くと「おへやにもってかえる」と言うのです。


「お部屋に持って帰るの?」と聞いてみたけどその気持ちは揺らがない様子でした。




そして、もう一人ダンゴムシを捕まえた年中さんがいたので、その子にも「そのダンゴムシどうする?」と聞くとその子も「おへやにもってかえる」
と言うのです。



ありゃ。虫かごもないしこの人たちどうするのかしら。と思いながら、虫の命は大切に思っていなのではないかとざわざわしながらも一旦帰ることにしました。


室内に入り、どうするのか様子をみていると、本人たちもどうしようか考えている様子だった。

少ししてから「そういえばあのダンゴムシどうしたの?」と二人に聞くと、手の中のダンゴムシを見て年中さんが「そとにかえしに
いきたい」と言ったのです。


私は驚いて「いいの?大切なダンゴムシなのに」と言うとその子は「だってここにいたらひとりであるいてつぶされちゃうかもしれないから」と言いました。

そうか。返って来てから何がダンゴムシにとって何がいいか考えていたんだね。



そして2歳さんにも「〇〇ちゃんはどうする?」と聞くと、「◯ちゃんもおそとにかえす」と言ったのです。

「いいの?こんなに大切にしてたのに」というと「うん」と頷きました。



あれ?これはつられちゃった?それとも何でもいいとお思いながらも、外に返すことが正解という空気が出てしまったのか?



とりあえず二人を連れて外に行きました。


道中二人はお互いのダンゴムシを見合わせていたんです。

方や元気に動くダンゴムシと、方やまるまる途中で動かなくなっているダンゴムシ。


年中さんが「このダンゴムシしんでない?」と言ったけど、2歳さんは「いきてる」と言いつつ表情は冴えない。



道すがら「なんで外に返そうと思ったの?」と聞くと年中さんは「だっておへやだとたべものもないでしょ、しんじゃうから」と言った。

2歳さんにも同じことを聞いてみたら「おそとのほうがいいから」とそれだけ。


そして二人には返したい場所は自分で決めて欲しいということを伝えて聞いてみると二人とも違う場所で、年中さんが2歳さんの方から行こうと言ってくれたので2歳さんの方から行ったんです。


2歳さんは迷いなくそのダンゴムシを捕まえた場所に行きました。


手から離したダンゴムシが動かない様子をじっと眺めている。

年中さんが「やっぱりしんでるんじゃない?」と言ったけど「しんでない…」と言いました。

今度は年中さんの返したい場所に行き、手から離すと元気よく歩くダンゴムシを見て、やはり2歳さんの表情が冴えないのです。




本当にダンゴムシは生きてると思っていたのか。

死んでるとわかっているけど受け止めたくなのか。

はたまた違うところなのか。




また別日に道端でダンゴムシを見つけたんです。


2歳さんは「かわいいね〜」と言ったあと「つかまえないの。しんじゃうからみてるだけにするんだ。」と言いました。
「え?!そうなの????」と言うと「むしさんおうちがいいでしょ」と幸せそうな顔で言っていました。


そして続けて「◯ちゃんはママとにーにとパパがいるおうちがいい」と言うのです。

虫と自分を重ねて自分の幸せを見ていることに驚きました。



子どもってそうやって世界を見ているんだ。

そして体験を通して自分を見つめているんだ。

自分の幸せとは何か。

相手の幸せとは何か。



そして、2歳さんは自分は家族といることが幸せだから捕まえた場所に返したんだね。帰れるように。




自然に返さないといけないとか、捕まえてはいけないとか、元の場所に返すことがいいとかそう言うことではなく、その子が何を感じてその決断をしたのか。

虫は殺さない方がいいけど、私も知らぬ間に殺していたり、意図的に殺すことがある(蚊とか)。


そして、殺す=残虐でもないと言うか、本当に大切で可愛くて、愛おしい気持ちがあって殺したいわけではなかった思いとか、それは尊いものだと思ったりしています。

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