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1000字でまとめる『世界標準の経営理論』~ 1-3 リソース・ベースト・ビュー(RBV) (第1部 第3章) ~

2019年12月に早稲田大学の入山教授が出版した『世界標準の経営理論』。出版早々に購入するも、面白そうな章だけつまみ食いした以降は、3年ほど本棚の肥やしとなっていた。しかし、2022年10月にマネジメントへの一歩へを踏み出す中で【経営】への関心が再び高まり、この機会に丁寧に読み直すことにした。

本noteは自身の咀嚼を主な目的として、各章の概要を各noteで "1000字程度" で整理すると共に、読む中で感じたことを記録する備忘録である。なお、今の自分にとって目に留まった章から順番に触れていく。

(導入説明 300字、各章概要 1000字、振り返り 500~1000字 構成である📣)


1.本文概要:リソース・ベースト・ビュー(RBV)

✄『世界標準の経営理論』該当ページ:P66~P84 ✄

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RBVとは "resource based view" の略称である。経済学には『生産関数』と呼ばれる、企業の製品・サービス (アウトプット) と経営資源 (リソース) の関係を示す関数がある。企業は常に何らかのリソースを投入し、そこからアウトプットを生み出す。SCPはアウトプット側の構造・戦略を分析する一方で、リソース側に着目するのがRBVである。企業リソースの代表例は、人材、技術、知識、ブランドなどだろう。

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バーニーは1991年に発表した論文の中で「SCPの成立には、そもそもリソースの異質性と不完全移動性が不可欠の前提であり、それを見過ごしているSCPは十分ではない。むしろ企業リソース側に注目することの方が順番として先なはずだ」ということを示唆する。この仮定を元にバーニーは、企業リソースと「持続的な競争優位」の関係について有名な関係性を打ち立てた。

■命題①:企業リソースに価値があり(valuable)、稀少な(rare)時、その企業は競争優位を実現する。

■命題②:さらにそのリソースが、模倣困難(inimitable)で、代替が難しい(non-substitutable)時、その企業は持続的な競争優位を実現する。この時リソースの模倣困難性は、蓄積経緯の独自性、因果曖昧性、社会的複雑性で特徴づけられる。

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バーニーはRBVによって、それまで散発的に議論されていた企業リソースの複数の視点の視点を、一つの理論としてまとめ上げた。RBVは一定の説得力を有するがそれだけでは不完全である。主には5つの課題が存在する。

■課題1:RBVは同義反復
主語と述語の両方に「価値」「稀少」という言葉が入り、論理学でいう「トートロジー(同義反復)」に近い状態となっている。

■課題2:RBVは部分均衡

「RBVはアウトプット側を無視しすぎである」という点。「価値があるリソース」というのは、アウトプット市場に大きく左右される。

■課題3:RBVはブラックボックス
RBVは突き詰めれば「リソース→競争優位」という、実に単純な因果関係を述べているにすぎない。

■課題4:RBVはフレームワークが貧弱
SCPにとってのファイブ・フォース様な、「理論からきれいに落とし込まれたフレームワーク」がRBVには乏しい。

■課題5:RBVはメッセージ性が弱い
RBVは「企業は価値があって、稀少で、他社から模倣されにくいリソースを持つべき」と言っているが、具体的に何をすべきか分からない。

2.本章に対する振り返り

RBVにはいくつか課題はありながらも、「価値のある独自リソースを持つことの大切さ」に立ち戻らせてくれる章であった。"一般化" された内容で構築されたマネジメントの書籍に触れていると、ついつい "独自性" という観点について思考を向けることを失念してしまう様にも思うが、主軸となって自組織を支えるのは、価値のある独自リソースである点を忘れない様にしたい。

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本章を踏まえると、マネジャーには "一般化" された知見を活用しつつ、自組織を取り巻く環境を踏まえながら、適切なチームマネジメントを通じて『価値のある独自リソース』を作り出す ことが求められるのだと改めて考える次第であった。それによって、アウトプット市場に対して、競争優位を実現できるチームを構築していく必要がある。

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また、本観点を考える中では、「価値があるリソースというのはアウトプット市場に大きく左右される」という言葉も印象的であった。内側に目を向けているだけでは、価値のあるリソースを見極めることはできない。チーム作りを担うマネジャー自身が、外側であるアウトプット市場に目を向けながら、自身の【価値】に対する指標を適切に更新していく必要がある。

【参考資料】


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