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よの8 幸運な男

私は幸運な男である。
自分で言うのだから間違いない。

最愛の妻子がいて仕事があってお金に困っていない。
そして健康である。

この間も買物でレジの順番待ちをしていると
すぐ私のために新しいレジが開かれた。

駅のホームに着いたとたん電車が到着した。
混んでる車内で目の前の座席がなぜか空く。
当たりつき自動販売機のジュースが当たるのはしょっちょうで、
例を挙げるときりがないほどだ。

これを、ささいな幸運と侮らないでほしい。
本当の幸運は小さな幸運の積み重ねなのだ。

小さな幸運をコツコツと貯めていくことが、
実は大きな幸せを手に入れる偉大な秘訣なのである。


私の父は不幸な男であったが、
その父が残してくれた言葉を今でも忘れない。

「いきなり大きな幸運を求めてはいけない。
見てくれ。私はそれで失敗したのだ。
小さな幸運を決してないがしろにしてはいけない。
小さな幸運をひとつひとつ大事に積み上げていくのだ。」

私は父の教えのとおりに生きてきた。
そしてその教えは今正しかったと確信している。

だから私は大きな幸運には正直興味がない。
ささいな幸運こそが私を幸せに導いてくれるのだから。

昨日も大事な用件をお客様に伝えるのを忘れていたら、
ちょうどそのお客様の方から電話が掛かってきた。

豆腐を買ったら50円引きしてくれた。
食べたかったお菓子がちょうど入荷していた。

小さな幸せはとどまるところを知らないのだ。


最初の一年二年では実感が涌かないかもしれない。

しかし。
根気強く、三年四年と
小さな幸運をコツコツ集めていると、だんだん幸福感が増してくるのだ。
私はそれを実感している。

そして。
その幸せは年を追うごとに
だんだんと深く大きくなってくるのだ。

しかも。
小さな幸運は、性格をも良くしていく。
自然と他人に親切がしたくなってくるのだ。

人間は不幸だと意地悪したくなるが、幸せだと親切にしたくなるものだ。

小さな幸運が少しずつ性格を改善していくのだ。

すると当然健康にもなっていく。
すると家族や仕事が上手くいきはじめる。
するとお金が少しずつ増えていく。

これを幸運と言わなくて
いったい何を幸運と言うのだろうか。

私は50歳を超えて益々幸福感が増してきた。
なんて幸せなんだろうと都度思う。

幸福とはどんどん深く大きくなっていくものなのだ。
そしてそれは、小さな幸運を毎日コツコツと貯めていくことなのだ。

小さな幸運はこれからも続くだろう。

大きな幸運はめったに起こらないし、何度も続くことはないが、
小さな幸運はいつでも誰にでも起こるし、
それは死ぬまで続くものなのだ。


そして今日も。

私はコンビニで買物をした。
店員の方に「ありがとうございます」
と天使の笑顔で挨拶をして頂いた。

私はまたひとつ小さな幸運を頂いたことに深く感謝をして店をあとにした。


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お読み頂きありがとうございます。

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小さな喜びの積み重ねが大きな喜びを創っていくと信じています。ほんの小さな「クスッ」がどなたかの喜びのほんの一粒になったら、とても嬉しいなぁと思いながら創っています。