見出し画像

かわうその川流れ日記⑬~かたさとやわらかさ、八十八夜に流れ星

悠久とも思えるような時間が流れた・・・。

扉は閉じ、明かりは消えた。

泥混じりの泉も、天に駆ける雷も、撃ち抜かれた青空も、二度と世界に現れないかと思われた。

しかし、彼はまだそこにいたのだ。ずっとずっとその時をまっていたのだ。

意識と無意識、現実と空想、過去と未来、そして何より誰より世界と私、その狭間で・・・。

一度はすべてを始め、すべてから消えた男が、また歩き出す・・・。

~かわうその川流れ日記 2nd Season~

というわけで13日目。

久しぶりだが、特に何も変わらず、かわうそが流れるあの川の様に適当に綴っていく。

今日は、白米と玄米をミックスして炊くという前人未踏の偉業に挑んだ。

こんな、まだ作っているのに気づいてない神を、急速で作ったバベルの塔で背後から貫くようなことを実行しようなんて狂人は私ぐらいのものだ。

さぁ炊く。神に知られる前に、早くお椀にホカホカの巨塔を築き上げるのだ。

うちの炊飯器は白米単体なら10合、玄米単体なら7合炊ける。

とりあえず、4合ずつでミックスして、計8合で作ってみよう。

よし、洗い終わった。

さて、水はどうすればいいんだ。

よく分からないから、炊飯釜内側の線、白米4合分、玄米4合分に合わせて、それぞれにボウルに水を注ごう。天才か?

よし、出来た。炊飯釜に米と水を入れよう。

米ザァー。

水ザァー。

・・・。

なんか多くないか。今にもあふれ出しそうだ。ほぼマウナロア。

このまま炊いたら、白米が柔らかくなりすぎて、この世から消滅しそうだ・・・。いや、そもそも炊飯器が爆発するんじゃないか。

そんな不安に襲われた私は、とりあえず、炊飯釜内側に書いている線の上限、白米10合に合わせて水を捨てた。

待つこと1時間・・・。

果たしてそのお味は・・・?

うん、これは!良く言えば口に入れるだけで蕩けるA5ランクの霜降り肉のような口触り!悪く言えば、100万回死んだゾンビの臓物のような口障り!

う~ん。これはやってしまった。お米にも、これからこれを食べる同居人達にも申し訳ない・・・。

大量のかわうそたちにぎゅうぎゅうに挟まれながら、川に流れていきたい気分だった。

次こそは、ホカホカご飯を作れますように・・・。水面から流れ星を見上げて、そう願うのでした。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?