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季刊誌『アンソロジスト』(田畑書店)の各号に寄稿しているエッセイと短篇小説について

『アンソロジスト』とは、”文化を編み換えるカルティベイト・マガジン”を謳う季刊誌です。田畑書店より2022年4月に創刊され、2024年5月現在、7号まで刊行されています。
私は創刊号より毎号エッセイと短篇小説を寄稿しており、この連作にはコンセプトを設けています

この雑誌は、同社の<ポケットアンソロジー>(小説などの単体リフィルをブックジャケットで束ねてオリジナルのアンソロジーを作成する)というプロダクトと連動しています。
私は既刊のポケットアンソロジーから自分なりにテーマを決めて5~7作品を選定し、最後に自作の書下ろし短篇を置くイメージで創作も行っています。

そのコンセプトを元に、私が各号において設定したテーマと選定作品、および寄稿したエッセイと創作のタイトルは下記になります。

創刊号(2022年4月刊行)
●テーマ:乗り物
●選定作品:久坂葉子「入梅」/堀辰雄「辛夷の花」/徳田秋声「町の踊り場」/芥川龍之介「秋」/素木しづ「幸福への道」/織田作之助「雪の夜」/夏目漱石「自転車日記」
●自作エッセイ:「書下ろし短篇小説に寄せて」
●自作短篇小説:「父の自転車と母の赤い車」(※リフィルも刊行)

第2号(2022年8月刊行)
●テーマ:色
●選定作品:加能作次郎「枇杷の少女」/小川未明「赤い蝋燭と人魚」/佐藤春夫「西班牙犬の家」/寺田寅彦「団栗」/原民喜「秋日記」/林芙美子「幸福の彼方」
●自作エッセイ:「書下ろし短篇小説に寄せて2」
●自作短篇小説:「息子の長靴」(※リフィルも刊行)

第3号(2022年11月刊行)
●テーマ:別れ
●選定作品:菊池寛 「海の中にて」/坂口安吾「私は海をだきしめていたい」/岡本かの子「老妓抄」/織田作之助「競馬」/矢田津世子「神楽坂」/鈴木三重吉「星の女」
●自作エッセイ:「書下ろし短篇小説に寄せて3」
●自作短篇小説:「流れるプール」(※リフィルも刊行)

第4号(2023年1月刊行)
●テーマ:お金
●選定作品:江戸川乱歩「木馬は廻る」/梅崎春生「黄色い日日」/岡本かの子「鮨」/菊池寛「身投げ救助業」/坂口安吾「いずこへ」
●自作エッセイ:「書下ろし短篇小説に寄せて4」
●自作短篇小説:「嘘の顛末」(※リフィルも刊行)

第5号(2023年5月刊行)
●テーマ:作家
●選定作品:室生犀星「生涯の垣根」/太宰治「雪の夜の話」/島田清次郎「若芽」/田山花袋「少女病」/小山清「落穂拾い」
●自作エッセイ:「書下ろし短篇小説に寄せて5」
●自作短篇小説:「短いトンネルの先に」(※リフィルも刊行)

第6号(2023年8月刊行)
●テーマ:鳥
●選定作品:小山清「老人と鳩」/芥川龍之介「蜃気楼―或は「続海のほとり」―」/太宰治「ダス・ゲマイネ」/宮沢賢治「やまなし」
/梶井基次郎「雪後」
●自作エッセイ:「書下ろし短篇小説に寄せて6」
●自作短篇小説:「カラスの味」(※リフィルも刊行)

第7号(2024年5月刊行)
●テーマ:兄弟姉妹
●選定作品:芥川龍之介「蜜柑」/有島武郎「小さき者へ」/太宰治「葉桜と魔笛」/水野仙子「悔」/久米正雄「父の死」
●自作エッセイ:「書下ろし短篇小説に寄せて7」
●自作短篇小説:「水しか飲まない兄」

この上記の一連の作業手順はこちらです。

<作業手順>

1
・ポケットアンソロジーの既刊作品にできるだけ多く目を通します(※その作品の多くは青空文庫でも公開されていたり、単行本や文庫本に収録されていたりします)

2・その中からアンソロジーの軸になる作品を選び、自分なりにテーマを見出します(※<選定作品>の冒頭にある作品がその軸にあたります)

3・テーマに沿う作品をポケットアンソロジーの中から5作程度選び、テーマや各作品についてのエッセイを書きます

4・テーマを念頭に置き、自作の短篇小説(原稿用紙換算で10枚前後)を創作します

各作業において私が意識していることを列挙します。

12の時は、自分が好きな作品からテーマを見つける方法がひとつあります。
テーマになるのは、季節/場所/時代/家族/職業などの物語の設定や構造、小道具/動物/食べものなどのモチーフ、喜怒哀楽/食欲などの人間の感情や欲望、恋愛/友情などの人との関係性等、色々なものに注目しつつ、物語を楽しみます。
もうひとつは、自分が書こうとしている短篇小説とテーマが重なる作品を探していく方法です。

3の時は、テーマに触れる形で短い感想も添えます。

4の時は、アンソロジーとしての流れを考慮しつつも、単体の作品としての完成度や強度も忘れないようにします。

このコンセプトには、自分でアンソロジーを作成することと、その中に自作を並べることのふたつのおもしろさがあります。
私の手順を参考にしながらポケットアンソロジーを活用し、オリジナルのアンソロジーの作成と創作を行ってみてください。

ブックジャケットとリフィル

<NEWS>

上記を参考にした文章講座で講師を務めます

『アンソロジスト』から生まれた文章講座(全5回) 参加者募集中!
日程:2024年6月16日、6月30日、7月14日、7月28日、8月11日(隔週日曜)
13:30~15:30(人数によっては16:00)
※講座期間中のやむをえない中止に対処するため、8月25日を予備日といたします。
会場:読書人隣り(千代田区神田神保町1-3-5 冨山房ビル6階)
定員:15名
参加費:全5回27,500円(通し券のみ)
※大槻慎二さん(田畑書店社主/『アンソロジスト』編集長)と一緒に講師を担当


※下記講座は終了いたしました

『アンソロジスト』から生まれた文章講座(全5回)
日程:2024年1月28日、2月11日、2月25日、3月10日、3月24日(隔週日曜)
13:30~15:30(人数によっては16:00)
※講座期間中のやむをえない中止に対処するため、4月7日を予備日といたします。
会場:読書人隣り(千代田区神田神保町1-3-5 冨山房ビル6階)
定員:15名
参加費:全5回27,500円(通し券のみ)
※大槻慎二さん(田畑書店社主/『アンソロジスト』編集長)と一緒に講師を担当

『アンソロジスト』から生まれた文章講座(全5回)
日程:6月4日、6月18日、7月2日、7月16日、7月30日(隔週日曜)
    13:30~15:30(人数によっては16:00)
会場:読書人隣り(千代田区神田神保町1-3-5 冨山房ビル6階)
定員:20名
参加費:全5回25,000円(通し券のみ)
※大槻慎二さん(田畑書店社主/『アンソロジスト』編集長)と一緒に講師を担当

◆【出演】

渋谷のラジオ「渋谷で読書会」(パーソナリティー:双子のライオン堂・竹田信弥さん)に田畑書店の大槻慎二さんと一緒に出演し、文章講座についても語っています。
※5月12日の放送後のアーカイブサイトは下記です。

◆【インタビュー】
週刊読書人の声の書評チャンネル・神網<ジンネット>読書人 特別編にて文章講座のことや創作について話しています。

最終更新日2024/3/21


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