急成長中のベンチャーによく見られる課題
僕が様々なベンチャーを経験して思うのは、組織拡大期における問題点の多くは実は会社固有のものではなく、共通点が多い。
ところが、僕の所感ではまだまだ日本ではスタートアップ→スタートアップ転職が盛んではなく、大企業から流入してくるメンバーが多い。
したがって、多くの会社で共通するこれらの課題に対して意外と免疫が無い人が多く、最悪の場合離職やチーム崩壊をしてしまうケースもあった。
背景
今日は一例として、例えばMVPを達成をして売上が立つようになり1年近くたった頃、特に採用を拡大し2回目のオフィス移転なんかを考えるフェーズなのだろうが、そういったタイミングで起きがちな問題について整理してみた。
問題例
・部署分けされ部署ごとに個別最適化がはじまり連携が少なくなる
・仲良かったメンバーのコミュニケーションが少なくなる
・社内政治がはじまる
・現場を見れなくなった経営者が一部のメンバーのハシゴを外す
・ハイパフォーマー達の仕事の引き継ぎで若手が期待したほど成長しない
・同僚批判が多くなる
・ネガティブ思考、できない理由を探すメンバーが増える
・一貫性のない組織変更が連日続く
このような問題は、成長期のスタートアップで共通して見られる。
原因
このフェーズでは様々な人が様々な意見を言うが、多くの場合は各々の目線から見た目先の事象についての批判だったりして、根本的な原因を捉えられていない事が多い。
各々が自分が見えている景色で主観的な原因の仮説をあげる例として、「組織が縦割り化している」「〇〇が仕事していない」など。
もしこのような考えを持つ社員がいたら諭してほしいが、それがすべての根本的な理由である確率なんて直観的に考えて0%に近いのではないか。
問題を的確に理解するために必要な事は一度このフェーズを経験し免疫をつける事で、これについては仕事の能力は関係ない。
特にベンチャー未経験の人が多いと上記経験は初めてとなる事が多く、アレルギー反応を起こしがち。
僕の経験則上、結局の原因は、
①オフィスが広くなったりしてこれまで円滑にとれていたコミュニケーションが不足する
②採用すべき人員が足りていない(特にこれまでいたハイパフォーマー層)
意外とシンプルで、それ以上のものでない。
根本的な原因は単なるコミュニケーション不足にあり、その他の原因は派生したものにすぎず、大体は勘違い。
そうはいっても、これを未然に防ぐことも難しく、大体の場合は組織が大きくなるにつれてどうしても分業せざるを得なくなる。
これまでは全員が足並みをそろえてモグラ叩きをしていた事ができなくなり、ちょっとした不信感が大きくなってしまうのだ。
しかし、ベンチャーはそれでも走りながらちょっとずつ改善していくしかない。
対処
こういったフェーズで考えられる対策はいくつかある。
・採用の給与レンジを一気にあげて、人が足りない問題をなくす
・既存社員の給与も一貫してあげる
・会社の存在意義、未来に対するビジョンを作る、または共有する
・経営者との1on1ミーティング
・人員リソースに偏りがある場合は、一回大きな部署異動/席替えをする
・コミュニケーションを増やすためのイベントを行う
・コミュニケーションが円滑になるツール、スプレッドシートなどの活用
・課題管理表などで他チームの動きを見える化
・とにかく、カネと時間をケチらない
このような対処を行って、この問題があっさり解決できたことが多い。
経験者になればこのようなフェーズは慣れてしまうが、こういった問題は粘って一山超えてしまえば、雨降って地が固まる様に信頼関係が強くなり、組織が強くなる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?