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なぜ、地方の建設会社がスタートアップスタジオをはじめるのか? - 2021年11月オープン 加和太建設の「LtG Startup Studio」に込めた想いとこれから

こんにちは!加和太建設 広報担当の村上です。

2021年11月、私たち加和太建設では「LtG Startup Studio(エルティジー スタートアップスタジオ)」という新たな事業を本格スタートさせます。

地方ゼネコンである私たちがなぜ、スタートアップスタジオをつくるのか?

今回はその理由やここに至るまでの経緯、この場所があることで地域の中で実現したいことについて、プロジェクトオーナーである社長の河田に聞いてみました!

■ 今回の話し手

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河田亮一(かわだ・りょういち)/ 加和太建設株式会社 代表取締役
1977年生まれ、1993年 三島市立中郷中学校卒業。1993年 The Colorado Springs School入学、1997年 Institut auf dem Rosenbergへ編入・卒業、2002年 一橋大学経済学部卒業。その後、株式会社リクルート、株式会社三井住友銀行を経て、2007年 加和太建設株式会社に入社。2015年より代表取締役を務める。

 「三島から世界へ」- LtG Startup Studioが実現したいことは?

-  早速ですが、LtG Startup Studioがどんな場所なのかお聞かせください。

ひとことで言えば「地方でビジネスを創出することを支援するプラットフォーム」です。新たなビジネスアイデアを持ったひとがスタジオへ集い、企画のブラッシュアップや事業づくりをサポートするクリエイターやメンターのサポートを受けることができる環境や仕組みを提供していきます。

静岡県三島市から、世界に羽ばたくビジネスが生まれて欲しいという思いを込めて「Local to Global」の略で「LtG」という名前をつけました。

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(LtG Startup Studioが実現しようとしていること。この地域にあるからこそのアイデアやつながりで、新しいビジネスづくりが展開されることを期待しています)


- スタートアップスタジオは、まだまだ一般的には馴染みが薄いものだと思います。もう少し噛み砕いてお聞きしても良いでしょうか?コワーキングスペースとは違うんですよね?

そうですね。一般的にコワーキングスペースは利用者が既に仕事や自身の事業を持っていて、そういう方にワークスペースの提供し、その場で生まれる交流から利用者同士の協業が生まれたりする場所だと思います。

一方のスタートアップスタジオは、利用者が新しい事業を生み出すことをコミュニティ全体で支援していく場所です。まずは事業アイデアを練るところから伴走し、本格的な立ち上げに向けてリソース(人・モノ・金・情報 等)をつなげていく場所と言えば良いでしょうか。

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(三嶋大社前で私たち加和太建設が運営していた複合商業施設「大社の杜みしま」をリノベーションし、LtG Startup Studioに生まれ変わります)


- 新しい事業をこのまちで増やしていく仕組み・場所ということですね!

そうです。スタートアップスタジオに新しいビジネスアイデアを持った人が集まるようになることで、まちの中に今までいなかったプレイヤーが増える。そして新しい循環が生まれて、このまちの活性化につながればと考えています。


「LtG Startup Studio」を加和太建設が手がける理由 – 関係人口づくりが生み出した次の1歩


- 一見、地方の建設会社がスタートアップスタジオを立ち上げるということは奇抜なアイデアだと受け止められるかもしれませんが、当社の掲げる「世界が注目する元気なまちをつくる」というビジョンの下、一貫した取り組みの末に至ったチャレンジであると思います。改めて、ここに至った経緯・背景を語っていただけますでしょうか。

私たちが事業を通じて本質的に実現したいことは、「地域課題の解決や地域の魅力を高めるための活動を通じて、その活動に参加する人を増やし、地域を好きになる人を増やすこと」です。建物をつくったり、不動産の売買をしたりということだけで終わるのではなく、その先を見据えて、地域の中で人や企業の新たな循環が生まれていることがとても大切だと思っています。

それを実現するためには、ハードの仕掛けだけでなく、ソフトの仕掛けも必要不可欠です。直近の1年半は、コロナ禍の影響を受けながらも、できることを模索してきました。

まず着手したことの1つが、コロナの影響で地方に移動しやすくなった、ITやクリエイティブの分野で働く人たちをターゲットとした「副業人材制度」です。社会課題に対して自らの持つ専門的な技術や手法を用いてアプローチすることに長けている方々を当社のパートナーとして迎え入れ、一緒にプロジェクトを進めていこうという取り組みです。

実際にこの制度を通じて生まれた企画やネットワークによって、1年に満たない期間で「はじめて三島を訪れた」という方を100人以上は生み出していると思います。また、オンラインも含めたイベントも多数開催したので、さらに多くの方がこの地域とつながってくれました。

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(定期開催しているライトニングトーク。リアルとウェブのハイブリット型で地域内外がつながり、三島とのご縁も増えています。)

私自身もこの流れが生まれたおかげで、本当にたくさんのことを学ばせでもらいました。それと同時に、人の流れによってもたらされた情報・アイデアを「そういうものがあるんだ」という次元で終わらせるのではなく、「人・情報・アイデアが集まる場所」をつくることで、その先に事業として育まれていく可能性が見えてきたんです。


- LtG Startup Studioができることで、集まってきた人たちのハブになり、そこから一緒に事業をつくっていける可能性があるわけですね。

そうですね。まずは三島に来てもらうきっかけはつくり続け、来てくれた人たちが三島をめぐり、人と会って、美味しい食べ物を食べて、空気感じて…「ああ、こういうところで仕事したいな」と思ってもらうことが大切ですが、その先の設計がさらに重要です。

この地で何かやってみたいという人が具体的にビジネスを起こせる場として、今回のスタートアップスタジオの取り組みを育てていきたいな、と。

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地域の力で支え、地域にも開かれた「アイデアを磨く場所」に


- ここまで、新たな取り組みを通じて関係人口が生まれて、そこからスタートアップスタジオの設立という構想が後押しされた経緯をお聞きしてきました。その一方で、地域の中からもそうした取り組みへの期待はあるかと思うのですが、いかがでしょうか?

ありがたいことに、地域の中からも元々加和太建設宛に、もしくは私宛にビジネスアイデアの相談を受けることは以前から多くありました。しかし、これまでは仕組みやプラットフォームがなかったので、相談ベースの話で終わってしまうことが多く、振り返ると非常にもったいない状態だったと思います。

これからは「LtG Startup Studio」という場があることで、私たち加和太建設だけではなく、場に集う人たちの存在により、誰かがやりたいと思ったことをどうやったら実現できるのか、より具体的に応援することができるようになると思うんです。「あの場所へアイデアを持っていくと、実現できるかもしれない」という期待を持っていただける場所になっていきたいですね。


- 今回は加和太建設や運営スタッフにだけでなく、三島市、三島商工会議所、静岡銀行、三島信用金庫と5者協定を結んで地域全体でこの動きを支えていこうという流れが生まれていますね。

はい。今回、各団体・各社には既存の取り組みやリソースを生かして、LtG Startup Studioの取り組みを応援いただきます。

◆ 5者協定による支援内容
・三島市(市の施設利用、人材紹介、情報提供など)
・三島商工会議所(事業化支援 〔みしま経営支援ステーション〕、利用者の紹介)
・静岡銀行(ピッチイベントの協賛、審査員の輩出)
・三島信用金庫(オペレーターの輩出、利用者の紹介)

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(オープンに先立ち、2021年7月26日に「若者の創業支援に関する連携協定」を締結。地域で創業者を支える体制をつくりました)


- 商工会議所さんは元々事業として事業化支援を行っていらっしゃるかと思いますが、正直、地域の中での役割はバッティングしないのでしょうか。

ここはお互いにとって相乗効果が生み出せる、良い棲み分けができそうだと想定しています。

商工会議所の得意なフェーズは、戦略をどう実現させていくのかの段階。補助金を取ったり、融資を取ったり、書類を作ったりと、戦術の具体化や実行のための支援に長けています。

一方でLtG Startup Studioは「アイデアを磨く」フェーズや「アイデアを具体的な企画に落とし込む」フェーズが主なターゲットです。

どう売上を立てていくことができそうか、マーケットの理解を深め、どのようなプロモーションを打つと反応がありそうかなど、事業戦略をLtGで揉み、具体的に立ち上げるための戦術を検討する段階で商工会議所さんにバトンタッチしていくイメージです。

逆に商工会議所さんからも、アイデアを磨く段階の方々をご紹介いただくようにお願いをしていて、地域の中で良い循環につながりそうだと双方で期待をしています。


- そこにさらに三島市や静岡銀行、三島信用金庫の皆さんからの支援も後押ししてくれる環境ですから、心強いですね。

そうですね。地域からの応援者が増えることによる支援内容の多様化、施設利用者を支援してくださる人材の紹介、そこに関連する情報提供などももちろん期待していますし、地域の中で新たに事業を起こしたいと思っている方々とのつながりが強いという点も、非常に重要なポイントだと思っています。

地域で商売を営む方たちにとっても、新しいチャレンジをするためにここで一緒にアイデアを磨いてみようと、集える場所にしていきたいです。

LtG startup_studio_0824(役員提出用)

(事業を立ち上げる創業者は地域内外、個人・法人問わず幅広く門戸を開いていきます)


「場があるから、かたちになる」 プラットフォームとしての存在意義


- 施設がオープンしたらイベントなどを定期的に開催していくとお聞きしています。多くの方が参加可能な開かれた機会が増えていくと思いますが、まずはどのような変化を期待していますか?

セミナーやアイデアソン*など、学びの場からビジネス創出まで各種イベントを開催し、常に新しい人流を生み出す仕掛けをしていきます。

*アイデアソンとは:アイデアとマラソンを組み合わせた造語。 新しいアイデアを生み出すために行われるイベントのこと。


特に期待を持って展開しようとしているのが、定期的に実施予定のアイデアソンで優勝したチームに、優先的に施設利用をできるようにしていく取り組みです。

2020年に三島市内で行われたアイデアソンの経験から場や、壁打ち相手の存在が非常に重要であると思っています。

その時は、当社の社員を含むチームで非常に良いアイデアが出て優勝。実際に事業化にチャレンジしたいという話も出て盛り上がったんです。

けれど、普段仕事がある中で集まって、継続して事業化を計画していくのは大変で。結局そのチームも、立ち消えしてしまいました。あの時、集って考えられる場所や、壁打ちできる相手がたくさんいたら、もしかしたらもっと前進したんじゃないかって思うんですよね。

また、新たなビジネスアイデアに出資する側の立場を考えると、やはりいきなりアイデアベースの話に出資することはできませんから、企画の精度をより高めて欲しいと思うのも当然です。

そこで今回は、優勝チームに3ヶ月間LtG施設内の部屋と自由に使えるエリアを提供しようと決めました。その間、スタートアップスタジオが壁打ち相手になって企画をブラッシュアップして、さらに進歩した提案を今一度してもらうという仕組みを作ろうとしています。

他にも多様なイベントを準備していますので、今後発信していきます。

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多様な人が集い、新たな事業が誕生し続ける場所へ - 少し先の未来に実現していたいこと

- 10月に施設が本格スタートしますが、例えば「3年後までにこれを実現したい!」といった目標はありますか?

まずはこの場に集って新しい事業を考える人たちで常に賑わっている状態をつくりたいですね。

事業を立ち上げることに専念しているひともいれば、そういう人たちがいることにおもしろさを感じて、地域の企業の方たちも来てくれる。普段は首都圏で働くひとが、週に何度かはこちらで働きながら同時に事業も立ち上げる、とか。いろんな人がいろんな関わり方で事業をつくることが自然になっていたら嬉しいです。

また、コンスタントに小さなビジネスアイデアがかたちになりながら、3年後には数千万規模以上の大きな成功事例も創出できるように機会をつくり続け、場を育んでいきたいです。

そして加和太建設自身も、チャレンジャーであり続けないといけないですね。この場を持つことによってより視座を高め、自分たちの事業もさらに成長させていきます。

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- ありがとうございました!今後も引き続き、LtG Startup Studioのより具体的な取り組みや事業立ち上げの様子など、定期的に発信していきます!


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