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賢い父の選択、20歳娘に贈る正しい投資心得 【知っておきたい基礎知識編2】

日本で生きている以上、知っておかなければならない日銀の債務超過リスク

円を発券している日本の中央銀行、日本銀行は今、日本の発行済国債を2023年4月時点で581兆円分持っています。2022年から10.6%増加しました。

これは日本の発行済国債の52%に相当します。

これほどの保有割合は世界でも類を見ません。
アメリカFRBでも約11%です。

これの何がいけないのか?
答えは簡単で、物価高・インフレ抑止に対応出来ない状況になっているのです。

ここ最近、国内でも海外でも物価が上がっていることは皆さんご存知の通りかと思います。
物価が年2%程度上昇するのは、健全な経済成長といえますが、5%、7%と上がってしまうと、インフレを心配なければなりません。

物価高・インフレ対策には、
①政策金利をあげる(国債の価格安要因)
②国が持っている国債を市場に売る(市場の現金を回収、国債の価格安要因、金利上昇要因)
の2点があります。

事実、アメリカは物価高抑制のために、ここ1年で金利を0.25%から5.25%まで上げました。

しかし同じ物価高がおこっている日本では、日銀は政策金利を1度だけ0.25%から0.5%にしただけで、ほぼ上げていません。
(正確には政策金利を上げたわけではないのですが、わかりやすくするためにあえてこの表現にします。)

その理由は、
①政策金利をあげる(国債の価格安要因)
②国が持っている国債を市場に売る(市場の現金を回収、国債の価格安要因、金利上昇要因)
のどっちをやっても、日銀が保有する債権の評価損のダメージが大きすぎるからです。

①政策金利を上げたら?
自動的に保有してる581兆円相当の国債の時価が下がります。
金利上昇=債権価格の下落
だからです。

個人が持っている株価が下がって含み損になるように、日銀が持っている国債も含み損になります。

負債割合が低ければ、多少の含み損でもなんてこと無いのですが、日銀の2023年3月末時点での貸借対照表(バランスシート)をみてみると、
日銀の資産は735兆円、負債は729兆円、なんと負債割合は99%、言い換えると自己資本比率1%です。

https://www.boj.or.jp/about/account/zai2305a.htm


仮に資産のみ7兆円以上目減りしたら、資産は728兆円、負債は729兆円となり債務超過になってしまいます。
一般企業であれば、倒産です。
それが現状です。

そして資産のみの目減りするとは?保有している株や国債の含み損が発生した場合に起こります。

日銀は簿価会計なので、今のリアルな国債の含み益、含み損はわかりません。
仮に含み益、含み損がない状態とすると、581兆円の国債の評価額が、7兆円、すなわち1.2%下がると、時価会計上では債務超過となります。

ちなみに世界の投資会社の判断基準は、時価会計です。
国債の価格が下がり、時価会計判断で日銀が債務超過とみなした場合、円は恐ろしく売られ、円安になる可能性があります。

そんな状況を恐れて、日銀は政策金利を上げれないのです。

ちなみに②の国債を売ったら?ですが、国債を売るというとは国債価格がさがる、すなわち「金利が上がる」「日銀は金利を上げたい」の裏返しですので、誰が良い値段で買うでしょうか?

しかも発行分の52%の国債を大量一気に売れば、国債は大暴落。
一般市場では売れません。
特定の国や人が買ってくれるとよいのですが、勝ったあと値段が下がる国債を果たしてかってもらるものでしょうか?

そんなことを考えると、物価高でも日銀は金利を上げることができず、国債の満期が来るのを10〜20年の間、待ち続けるしかないのかもしれません。

その際にインフレが来たら、どうするのでしょう?

黒田日銀前総裁は、そんなとんでもないことをしてしまったのです。

■円暴落がくるかどうかはわからない。ただし来たときの備えにドル建てで運用する

日銀のバランスシートが危ういのはファクトですが、だからといって必ず円の暴落がくるかどうかなんてわかりません。

ただ来たときのダメージが大きいので、僕は今、資産の8割をドル建てにしています。
これは保険です。
ハイパー円高が来たら大損ですが、前述の金利差、国力の差を鑑みても、1ドル100円程度(3割減くらい)がマックスリスクじゃないかなと思っています。

逆に円の大暴落は2倍近くなる恐れもありますので、その際に資産が目減りしないよう、保険としてドル建てで運用しているのです。

以上、日本で生きている以上、知っておいたほうが良い日銀のリスクでした。


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