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銃と宇宙 GUNS&UNIVERSE

2016年から活動しているセルパブSF雑誌『銃と宇宙 GUNS&UNIVERSE』のnote版です。
明るく楽しく激しい、セルフパブリッシング・エンターテインメント・SFマガジン。気鋭の作家が集まって…
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2020年11月の記事一覧

アンフォールドザワールド・アンリミテッド 6

6 次の日になっても、イチゴは学校に戻ってこなかった。私の隣の席はあいたままで、おそらくちかこのクラスにいるフータも欠席しているのだろう。ミッチはどうなったのだろうか。 「ねえ、きずなちゃん、このままイチゴくんたちが戻ってこなかったらどうするー?」  休み時間に、ほのかが私の席のそばにやってきて尋ねる。不安を能天気さで押し込めているような口調だ。 「うーん、それは困るよな。だってまだ、ナニガシがこっちの世界にいるんだろ? なんらかの被害が出るかも知れないし、私のノートだってま

アンフォールドザワールド・アンリミテッド 5

5  ミッチが死んだ。  私たち三人はその事実を受け入れることができずに、校庭に立ち尽くしていた。部活が終ったのか野球部員たちが部室棟に入っていく。ほのかがこわごわと体育倉庫の中を覗き込む。 「うわあ、やっぱり体育倉庫の中すごい荒れてるよー。怒られちゃうー」 「さっきまでイチゴたちが戦ってたしな。ちかこ、だれかに見つかる前に逃げよう。私たちのせいにされてしまう」 「あ、ああ、はい……」  ちかこは我に返ったように顔を上げる。いつもビデオカメラを構えている右手はだらりと垂れ下が

アンフォールドザワールド・アンリミテッド 4

4 とりあえず安藤さんを保健室に突っ込んで、私とちかこはミッチの姿を探す。下足箱の前で、上靴を脱いでいる水色の頭を見つける。 「ミッチ……? イチゴか!」 「……ん、どうかした?」  一瞬不機嫌そうな顔をし、でも私の焦っている姿を見て、イチゴは顔色を変える。 「学校の中でナニガシが出現した。ミッチが連絡とれないとかで怒ってたぞ」 「まじで? やばい。フータをシカトするために窓を閉じてた」  イチゴが両目を見開き、虚空を見つめる。それからすぐに大声で 「体育倉庫! わかったすぐ

アンフォールドザワールド・アンリミテッド 3

3 イチゴはどこかへ行ってしまったし、ミッチはナニガシの出現ポイントとやらを探しに行ったままだ。私はちかこと二人で放課後の校舎内を歩いていた。 「ほのか先輩とフータ・クラウドイーターを一緒に帰してよかったのですか。きずな先輩的には」 「なんで? 別にいいんじゃないの」 「ほのか先輩はフータ・クラウドイーターを狙っていますよ。恋愛的な意味で。本人がそう言っていました」 「まじで!」 「ええ。『イチゴくんはー、なんだかんだできずなちゃん本命みたいだからー、フータくん狙いかなあ。ど

キャプテン・ラクトの宇宙船 最終話

  十一 突入!  ロケットブースターにしがみつきながら、ラクトはイチコにたずねた。 「〈はやぶさ〉に気づかれてるかな?」  ブースターの噴炎はそう大きなものではないけれど、進行方向に向かって飛び出しているのだから、目立つはずだ。 「だいじょうぶ。ダミーの映像を映しています。小惑星についたら連絡しましょう。地下に潜っちゃうと連絡つかなくなるので、その前に増援を要請しておきます」  イチコはこの距離でもまだ〈はやぶさ〉とつながっていた。偽装工作は万全のようだ。  この作戦はタ

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