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約2年半に及んだ夜泣きの記録

 ふと、息子の「夜泣きの記録があったはずだ」と思い出して、引き出しを探った。

 私はロングスリーパーで、この歳でも7時間半は睡眠時間をとりたい。平日は息子の朝食や弁当準備などがあって、どうしても7時間ほどになってしまうけど、それでも昼間にとてもダルくて疲れ、横になると20~30分眠ってしまう。
 時々6時間くらいしか眠れないと、家の中だと玄関とかリビングの床とか突然「しんどい」と横になって寝てしまう。運転していると危険なので、季節によって寒かったり暑かったりでなければ、駐車場で仮眠してしまう。寒かったり暑かったりだと車の中で寝るのはそれもまた危険なので、仕方なくカフェに行って、仮眠する。でも昼寝したって気候の影響も加わるともうフラフラで、ひどい時にはメニエールが起きてしまう。

 6時間の睡眠でもごく稀に平気な日もあり、そんな時は心配になって、医者に「6時間しか寝てないんです!」と訴えると「その年齢で、それだけ眠れていれば良いんですよ」と笑われる。

 でもやっぱり体調が良いのは7時間半以上眠れた時だ。

 若い頃からこんなだったから、息子の夜泣きは地獄だった。何度も夫に代わってもらったけれど、泣き止まなくて結局私が起きてしまう。頑張れば良かったかもしれないけれど、それ以外で夫は子育てに協力的だったし、仕事を無理して減らして対応してくれていた夫に、それ以上迷惑はかけられないと思っていた。息子も気難しかったので、夜泣きの対応は私が担当になった。

 ええ、ええ。もちろん色々試しましたとも。言われたことは全部。昼間にたくさん身体を動かす日々はもちろん、カサカサ音とかザーザー音とか、車に乗せるとか、ギュッとくるむとか、添い寝は当然。でも何やっても泣き止まない時は泣き止まない。

 
 最初の頃は夜泣きだけではない、ミルクの量なんかも心配だった。私は自律神経失調の症状がひどくて、母乳を与えられなかった。最初はそれでも何とか頑張りたくて、せめてと搾乳していた。症状はどんどんひどくなって、これもできなくなるけれど、その量とか、排せつもどうなっているのか記憶しておらずわからなくなるのが不安で、記録することにした。夫に「記録をつけたいから、こんな表を作って」とリクエストして、できたのがコレ。

 ※字が汚いのは許していただきたい。あくまでも自分のためだけに記録していたため。又、時間もゆっくり取れなかったため。

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 よく泣く息子だから、泣く度に「眠い?」「お腹空いた?」「オムツ?」「それとも他の何か?」とチェックをしなければならない。こまめなチェックのせいで、気が付くと、もう時間なんかどうでも良くなってきた。

 とりあえずおしっこがけっこうな数になっている。

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 そのうち、息子の夜泣きがひどくなってきて、息子がちゃんと眠れているのか心配になったのだろう。

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 こうやって、表は何度もマイナーチェンジを繰り返す。

 昼間は泣いてばかりの息子が、少しでも寝てくれると、家事をこなした。自分の時間がほしかった。本来、子供が寝ていても起きていてもできることは、起きている間にして、子供が寝たら自分も休みましょう。なんて言われているけど、子供が寝た! やったっ、私も!! って全然眠れないのだ。今ではこんなに唐突に寝てしまう私も、当時は昼寝ができなかった。だから私は夜の睡眠にかけていた。なのに、息子は夜泣きがひどかった。

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 このマイナーチェンジでは、もうウンチが安定していたため、オムツを替える回数だけにして、それより離乳食を気にしているようだ。ミルクの量も安定してきて。何だか覚えていないけれど、お薬を飲ませている。風邪だったのかな。息子の昼寝の時間が30分だの40分だの、もっと短くなってきているのが気になる。

 そして。

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 字が本当に汚くて申し訳ない。もうこの頃からだいぶ意地で記録をつけ続けている。

 ありがたいことに息子は雑食系(?)、大食いだったので、ミルクは順調に減り、離乳食は最初の二ヶ月以外はラクになった。(最初の二ヶ月は毎日毎回、ひたすら拒否され続け、息子と一緒に私もよく泣いていたが)何でも食べてくれた。ただそのおかげで、紙が油などで汚れるようになってきている。

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 このころは、また少しいい加減だ。さらに、睡眠と食事内容さえわかれば良くなっているようだ。

 次に右の方、オムツの項目にある「コーウン」とは、私たち夫婦の間で「ウンチ」の意味だ。業界用語のように、わざと逆さに言っているだけだ。「幸運」みたいで良い。と思っている。

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 いよいよ本格的に夜泣きに苦しまれ始め、睡眠時間に特化した表作成をリクエストしている。
 右端の「どん睡眠時間」とは、私の睡眠時間のことだ。私は夫に「どん」と呼ばれている。新婚当日、名前に「ちゃん」を付けて呼ぶのが照れくさくなったらしく、「どん」を付けて「○○どん」と呼ばれるようになった。それからいつの間にか「どん」に縮められ、私の名前の跡形もなくなってしまった。私は日々、自分を「どん」だと思って暮らしている。今もだ。「どん」と呼ばれたら「なに?」って。
 
 誰だよ。どん。て。

 で、「どん」は、息子の睡眠時間と共に、自分が大丈夫なのか心配になってきて、記録を付け始めたのだ。

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 息子の総睡眠時間を記録して、「足りてるんだよな」と自分に言い聞かせておきたかった。息子はおかしいのではないか。睡眠時間少なすぎるのではないかとそんな心配を払しょくしたかった。泣き止むまで抱っこし、置いて10分、ようやく私もウトウトし始めるとまた泣くーを3時間くらい繰り返す、なんてことも時々あったし、1時間くらい泣き止まなくて、私も泣きながら抱っこし続けていた夜もあった。何度も。自分の睡眠時間を見て泣けてくる。連続8時間睡眠が必要な私が、睡眠不足で死んでしまいそうだ。

 この後、珍しく9時間20分連続で寝てくれた時には嬉しくて、横にビックリマークがついている。

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 この辺りだと、もう「コーウン」の状態に関しては「良い」かどうかにしか興味がなさそうだ。

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 さらにいよいよ、モウロウとする日が出てくるようで、きちんと書いているつもりでも、寝ながらの時もあって、線がグシャグシャと行き交っている。もちろん故意ではない。寝ながらも意地になって書こうとするからこんなことになる。

 しかし、これはさすがに私のグシャグシャではない。

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 息子がとうとう、この表を気にし始めたのだろう。ボクも書きたい! とばかりに落書きを始めるようになってしまった。連続8時間睡眠が必要な私も、まだまだかわいそうな頃だ。

 しかし、月日が経ち、すこーしずつ息子の睡眠が安定するようになってきた。私の眠りも深くなってきている。上のグシャグシャとはまた違った寝ぼけた感じが表に表れてきたのだ。「りんごおいしいな」と不明の台詞を書いているのも見つかったが、この時は、「おすし」と書いているのが見える。

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 右側、真ん中よりちょっと上辺りだ。アップにしてみる。

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 見えただろうか。

 もっとアップにしてみよう。

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 わかるだろうか。重ね重ね、汚い字で見苦しく、大変申し訳ない。でもこれに限って言えば、完全に無意識だ。半分寝ながら「おすしを食べたい」とでも思っていたのだろうか。おすしの夢でも見ていたのだろうか。よほどおすしが食べたかったのだろう。自分が哀れだ。

 そして、とうとうその日はやってきた。

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 見ていただきたい。この穏やかな紙面。紙もキレイ。私の連続睡眠時間が8時間だ。息子が10時間程連続して眠れるようになったのだ。

 確か、完全に一晩中眠ってくれるようになったのは、2歳10か月の頃だった。この表でこんな風に書いている頃でも、夜中泣く日はあって、ただ、お茶を飲ませると一口二口で寝てくれるようになっていた。

 背中トントンで済むようになったのが2歳10か月の頃だったと記憶している。そこまで細かい記録まではさすがにいちいち書かなかったので、この表の時もまだ「完全に」9時間や10時間寝ていたわけではなかったのだけど、もうそれは数えなかった。

 2年半ほども夜泣きに振り回されて、よく頑張ったと思う。当時の自分をねぎらってあげたい。



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読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。