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人工知能と人の心について考えさせられた「エイジ・オブ・ウルトロン」

 「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」を最初に観た時は、わからないことだらけで、これじゃあ感想は書けない……と困り果てた。とりあえず、夫と息子に、疑問質問をぶつけまくったものだったが、ピンと来なくて、結局MCU(マーベル映画作品)を、公開順に最初から観ていこうということになった。

 二度目は、だいぶわかりました。何のことだかと思っていた言葉や登場人物の数々がつながった。でもやっぱり人工知能のくだりは、私にとっては難しく、終わってから夫や息子を質問攻めにしてしまいました。今回は、二人が何を言っているのかわかったので良かった。私もひと安心だ。

 この映画、私みたいなタイプの人間は、一度観ただけではやっぱり訳がわからないのではないかと思う。いや、私みたいなタイプの人間は、何度同じのを観てもダメだ。やっぱりMCUの最初から観ないと。そう思うと、「インフィニティ・ウォー」や「シビル・ウォー」はわからないことが多くても、よくできていると改めて実感。「ウルトロン」は単体の映画として観るにはちょっと難しいのだけれど、それまでのつながり、今後とのつながり、を考えると、キーとなる映画であるし、それもまた面白い。
 
*以下、ネタバレあります。

 上にも書いたように、人口知能の問題が一番のテーマ。

 トニー・スタークの「余計なこと」が、いつものようになされ、それがなければ平和だったかもしれないのになーとも思うのだけど、今後につながる大事なストーリー。彼が何故こんなに人工知能によるロボットにこだわったのかと言えば、これ以前の「アベンジャーズ」で、宇宙からの脅威を感じていたからだ。
 「アベンジャーズ」での戦いは、彼を苦しめ、PTSDとパニック障害に陥らせる。これは「アイアンマン3」で描かれ、ハーレーという少年によって、自分を落ち着かせる方法を学習することとなる。しかし心の奥深いところで、その恐怖は消えていなかった。

 この映画は、人工知能の問題が一番のテーマだと書いたけれど、同時に皆のトラウマ、心に抱えている闇が明らかになる映画でもある。皆の弱み、辛さをえぐり出す。人工知能に対し、人間の心が対照的で興味深い。

 ワンダが見せる悪夢は、皆のトラウマや弱み、恐怖心だ。
 トニー・スタークは「アベンジャーズ」での戦いに恐怖心を抱いており、仲間を失うことを恐れていると、これを見て知る。仲間内では、一番飄々としているように見えて、仲間を大切に思っている。彼の見るトラウマや恐怖心は、後の「アベンジャーズ インフィニティウォー」を暗示しているようで、胸が痛んで仕方ない。彼が「アベンジャーズの敵は、宇宙からの侵略者だ」と言うと、スティーブ・ロジャースが「また団結して戦うんだ」と言う。この会話は「エンドゲーム」を示唆しているようではないだろうか。

 ブラック・ウィドウは過去、暗殺者として訓練を受けたこと、卒業式では不妊手術を受けなければならなかったことを見る。彼女の苦しみや悲しみは普段、表に出てくることはないが、それは彼女がずっと抱えているものだと知る。

 キャプテン・アメリカは、戦争がトラウマだし、ペギー・カーターとダンスパーティーに行けなかったことに象徴される彼女との悲しみを抱えている。

 ハルクは実際に大暴れさせられるが、彼にとっては「怪物であること」が悪夢だったのだろう。周りによってハルクにさせられたり、元に戻されたりすること、つまりコントロールされることは耐え難いことだった。彼は天才的な科学者であり、普段の彼は決して戦闘的ではない。

 そしてソーが見たものは、インフィニティストーン。彼は、その意味を知り、トニー・スタークの人工肉体を作り上げることに協力する。必要だと思っての判断なのだろう。

 この人工肉体がヴィジョンであり、彼がソーのムジョルニア(ハンマー)を持ちあげたことで、彼が王にふさわしいほどの人格を持つものとして認められる。

 ロボットや人工知能について、それまでも語られてきたけど、今回ほど、作ろうとする者の良識があるかどうかをはっきり形に表したことはなかった。作ろうとする者の野望は色々だし、同じ「正義」という気持ちがあっても、その正義とは何なのか問われ続けていた。今回、バラバラになりそうなアベンジャーズの皆の心を言葉にし、一つにしたのは、ヴィジョンだった。

 「私は命を肯定する」

 この言葉に、温かい安心感が広がる。
 これに対して、ウルトロンの思う正義は違った。「人類のために、世界を壊す」ということだった。
 
 ワンダにより、皆が悪夢を見たことは、辛かったかもしれないが、それぞれを振り返り、お互いの仲を深めるきっかけとなった部分もあったのではないだろうか。何よりそれによって、ソーがヴィジョンを作る最後の一押しを担うことができた。
 トラウマや悲しみは、思い出すことが苦しい。けれど、その作業はその後の人生を少し快適に過ごしていく上で、必要な経過なのだろう。
 スティーブが、最後に「アベンジャーズ」と呼びかけるくだりは、家族を見つけたような信頼関係を勝ち取ったように見える、ほほ笑みが浮かんでいた。

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読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。