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心を揺さぶられた後、温かい気持ちになった今年のベストnote

  noteという場所を知らなかった頃に、ツイッターで知った記事が今年のベストnoteの一つである。
 古賀史健さんの「逃げられないから、逃げるんだ」に、強く心を動かされました。

 この文章が書かれたのがnoteという場所だった、と知ったのも、noteを始めてしばらく経ってからでした。

 彼の転校による体験、その頃の気持ちについて。元の学校を訪ね、先生や友達に会えた喜びと、先生に心配された時の胸の詰まり。

喉の奥に石ころが詰まったみたいになにも言えず、ぽろぽろぽろぽろ、涙がこぼれた。ぼくはなにをしてるんだろう、とはじめて思った。あそこに帰らなきゃいけないんだと、ようやく気がついた。

 一緒に大粒の涙をこぼしながら読んだ。泣くのをこらえて何とか喋ろうとしたい時、喉の奥に石ころが詰まったみたいに苦しくなるよね。そして

もう、帰る場所はない。ここで生きていくしか、ほかにないのだ。

 と気づいたこと。


 帰国子女として日本の学校に入った時、これを痛切に感じた。ニュージャージーから帰国する時、私は「帰国する」という意味がわかっていなかった。そこが私の居るべき場所だと信じきっていたので、「また戻ってくるよ」と、あっさり皆と別れてきた。
 帰国したら、日本での集団生活が、ほぼ異世界であることに圧倒されて恐怖で、もう私が私でいられないんだと思い知った。そしてここで生きていくしかないんだと気が付いた時、7歳の私は、色々なことを押し込め、抑えつけて諦めた。何度思い出しても辛くなるあの気持ちを、この文章が表現してくれていた。


 息子の小学生時代も同時に思い出した。息子の持つ宝物を大事にしたくて接していたら、クラスメイトたちより突出してしまった小学生時代。先生との相性も悪くて、私も苦しんだ。息子が、あちこちで当たり前に見聞きする小学生男子と違うタイプだということは、息子自身も苦しんでいた。
 息子が嫌な思いをさせられたのは4年生の頃。そして一番苦しんだのは、小学校5~6年の頃。クラスが荒れて先生も対処できておらず、私も保護者たちと話し合いに行ったり、でも改善せず。その頃、息子は4年生の頃と違って、自分の問題ではなく先生がいやだ、クラスがいやだ、となっていたため、学校を嫌っていた。

 塾や、隣りの市の科学教室に通い始めていた彼はそこに居場所を見つけていて、学校の人たちがいないところに行きたいと度々言っていた。ある日、気持ちが破裂せんばかりにパンパンになっていると感じた私は、学校に言って1週間ほど休みをもらった。宝塚の私の実家に向かい、その途中で、息子が幼稚園の頃とても親しくしていた友達の所に遊びに行くことにした。繊細だけど活発なタイプの子。そこの弟とも気が合い、息子と仲が良かった。そこで息子は自分がそのままでいても受け入れてもらえることを実感できたようだった。私の両親にも愛情をもらって、元気を少しチャージし、そして今の環境に戻った時に、ある程度のあきらめを感じたと思う。


 そんな私にも息子にも通じる言葉であり、私の琴線にふれた。共感し、温かく励まされているような文章。何度読んでも胸が詰まっては、自分の感情や環境を受け入れようと思える。
 

逃げてもいいよ。逃げたほうがいいよ。そしてもうわかってると思うけど、どこまで逃げても、たぶん逃げきれないよ。また同じ場所に、連れ戻されるんだよ。でも、たいせつなのは逃げることじゃないんだ。「逃げかた」を、おぼえることなんだ。一度「逃げかた」をおぼえてしまえば、どこにだって自分の居場所はつくれるから。

 
 もう一つ。どうしても取り上げておきたいnoteがあります。

 私ってhspだなあと、普段からただそのように思っていたことを、この文章で、ああ仲間がいるんだ、わかってくれる人がいる、と知ったことがまず大きかった。それを元々親しいわけではなかった人と分かち合えること。これを一見してわからない、というところも文章にしてくださっている。

集団や学校が苦手ではない
自分の要求をはっきり伝える
社交的でクラスでも目立つタイプ
新しい場や人ともすぐに打ち解ける
休憩時間や放課後はみんなで遊ぶことを好む
このような子を
皆さんは「人一倍敏感な子」と判断しますか?

 私の場合、学校が苦手ではなかった時期があったことや、自分の要求をはっきり伝えること。新しい人と割と打ち解けやすく、好奇心があって人なつこいこと。休憩時間や放課後はみんなで遊んだこと。こういったことがあっても、hspである。このhspであることの特徴は、見た感じではわからないことがあるため、集団や賑やかなやり取りも大丈夫だろうと思われることがしんどい。そして反対に、そういうしんどさがあるんだろうからと、気を遣われたり意識されたりするのもその気持ちを感じて疲れる。そうじゃあないのだ。

 「わかってほしい」という、わがままのようで誰にも言えない部分を、優しく書いてくれていることがとてもありがたい。 

 kokokakuさんは、hscの問題に取り組んでおり、その仲間がたくさんいる。仲間どころかクラウドファンディングの活動を始め、広めることや本の製作など多くのことを自らの行動でおこしている。

 noteにより、そういう方とコメントなどをやり取りできることは、自分のそういう部分を、「ただ抱えていただけ」という私にとって、大きな変化となった。noteを始めて良かったと思えて、何度かやめようかなと思う気持ちを思いとどまらせてくれたのは、この文章のおかげでした。このつながりを簡単に途絶えさせたくないという気持ちから。

 そしてこの文章から大きな一歩を踏み出し、自分をもっと知って大切にしようという気持ちが起きている。

  多くの方たちのnoteに心動かされ、自分の心の中をのぞき込み、コメントのやり取りに温かい気持ちになり、楽しめた今年でした。どれを選ぶか難しかったけれど、この二つの文章は私の中に、「前に進んでみよう」という気持ちを芽生えさせてくれた文章となりました。


#エッセイ #転校 #逃げかた #hsp  

読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。