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マスクの中でしゃべるクセ

 カボチャがあったか。カボチャ……。カボチャをどうしよっかな。

 晩ごはんのメニューを組み立てようと、冷蔵庫の中を思い出し、考えていた。
 むしょうにカボチャが食べたくなって前日に買ったんだった。

 朝、ゴミステーションまでゴミ袋を持って歩きながら。考えていた。
 はずだった。

 ハタと気づいた。
 やだ私。口パクパクしてる。

 「カボチャがあったか。カボチャ。カボチャをどうしよっかな」って声は出さねど無音で喋ってた。でもマスク……。


 忘れてた。
 つけてなかった!!

 ゴミステーションの往復、マスクを忘れる。
 最近は外でのマスクは必要ないとされてるけど、元々田舎だとゴミ捨ての時にはほぼ人と会わないから私も必然を感じていないのだろう。油断してしまう。
 だけど時々バッタリ会う。会う時は十中八九、近い距離で挨拶することになる。道ですれちがう時は大丈夫だけど、ゴミステーションではすごく近いからマスクをしておきたい。

 一度背中を向けたまま「おはようございます!」と挨拶した奥さまがいらした。あまり見覚えがない人だから互いに何かあったわけではないだろうにどうして。と思ったら、彼女はマスクをしていなかった。ちょっと離れたら振り返ってにこやかに軽くお辞儀してらしたので、なるほどねと思った。

 以前私が忘れた時は「あっ。ごめんなさい。マスク忘れちゃって。えへへ」と、鼻と口を手でおおいながら挨拶した。
 今回は幸い誰とも会わなかったけど、マスク生活が長いから、マスクの中でパクパク無音で、時には声を出して喋るクセがついてしまっている。

 この前はスーパーで「たかっ!」って自分の声にビックリした。周りに人がいなかったから良かったけど。田舎だと人がそもそも少なくてね。
 でもクセにしちゃったらマズいな。夫に話すと「それはただおばさんになったからじゃないの?」と言われた。

 そうかもしれない。

 感染者数の増減はまだ心配ではあるけれど、外では熱中症の方が危険なようだ。実際マスクしてられない。暑すぎてホントに身の危険、感じるもの。
 あごにかけて、人と喋るような機会があればすぐ上げられるようにしてみたけど、あごのマスクに、なかなかの汗がたまる。
 さっぱり外して歩くのは気持ち良いけど、ここ数年でついたパクパクぐせを発揮しないようにしないとね。



読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。