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【セミナー】 『試験に強くなる学習方法』の内容

追加編集 2022/12/06

どうやったら勉強したことを最大限に発揮できるの?

子どもたちの勉強している様子を見ていて、「もっとできるはず!」って思うなら、勉強のやり方を軌道修正することで実現は可能です。

ただ、勉強のやり方は自己流でやっていることが多く、最適な学び方は知らないことがほとんどです。僕も最初はそうでした。

例えば、受験競争が激しい韓国では圧倒的に学習時間が多いことが特徴の一つです。

朝の始業ベルとともに授業がスタートし、放課後にはヤジャや学習塾に通う韓国の学生たち。韓国ではヤジャも塾も夜10時までと法律で決められいます。

ですからこれらの授業の後、さらに家庭教師を自宅に呼び、夜中過ぎまで勉強する生徒も少なくありません。お受験地獄と呼ばれる韓国では受験生はもちろんのこと、そうでなくても、とにかく1日中勉強に追われる日々……。

韓流・超お受験戦争 人気講師は年収20億円!高校は22時まで授業!
https://cocreco.kodansha.co.jp/general/topics/education/F2Aub

もちろん、効果的な学習を考えた場合に「質」と「量」の要素は大切です。韓国のように学習時間を多くし、「量」にこだわることも進め方の一つです。

だけど、実際に子どもたちの生活は学校の後は部活がある。土日は部活の試合や練習で朝早くから出かけていく。もし、スポーツのクラブチームに入っている場合は平日も週末も練習や試合が入っていることがほとんどです。
そんなことを考えると、韓国の受験生のような生活を送ることは難しいでしょう。

しかし、効果的な学習方法を身につければ確実に学習の効果を上げることができます。

今回は最新の認知科学の研究結果から最も学習効果が高い勉強の進め方をまとめたので、「もっとできる自分を作りたい!」という人はぜひ最後まで読んでみてください!

効果的な学習方法

『勉強は「質」と「量」にこだわる!!』

子どもたちは上手な勉強の仕方を知らない!

「勉強しよう!」って思うのと同じくらい、「上手な勉強の仕方を身につける」もめちゃくちゃ重要です。

実際、多くの子どもたちは上手な勉強の仕方を知りません。学校でも「何を勉強するのか」は学びますが、「どうやったら効率的な学びができるか」は教わっていません。

1.「上手な勉強のやり方が分からない」のは小学生で約40%、中学生で約55%。
●学習の悩みについて、「上手な勉強のやり方が分からない」を選択した小学生は39.9%、中学生は54.7%であった。また、「成績上位」の中学生も約30%が選択した。「やる気が起きない」(小学生39.8%、中学生55.5%)の悩みをもつ割合も、中学生になると半数を超える。

「小中学生の学びに関する実態調査」『「小中学生の学びに関する実態調査2014』速報https://berd.benesse.jp/up_images/research/Survey-on-learning_20141119.pdf

というのも、特に小中学校での学びは暗記する力が得点力に繋がることが多く、高校入試の得点もいかに大量に情報をインプットし、問題を早く処理する能力が求められている側面があるんですよね。

だから、元々の得意不得意によって、成績をつく傾向があります。そうすると、どうしても「教える内容」に重点が置かれるようになります。

だけど、勉強の仕方は認知科学の研究の成果によって、いかに学ぶかの人類の知識は着実に積み上がってきています。「効率的な学習方法」は身につけることができるので、最近では学び方も必須になってきますね。

勉強するときのポイント!!

効果的な学習方法

【ポイント】
・毎日少しずつ学習する時間を確保する
・自分で説明できるようにする(授業する、人に説明できるようにする)
・問題を解く、思い出す機会を作る

学習は【計画】→【理解】→【強化】の流れで進める。

【計画】
「分散学習」
まとめて勉強するより、学習時間を分散させる方がより長く記憶できる。
毎日少しずつ学習時間を確保する。
(例)1日30分は勉強時間を作る。

【理解】
「精緻化」
自分自身に質問して、質問に対する回答を自分で作る。
「具体例」
「デュアルコーディング(二重符号化)」
絵と言葉を組み合わせる。

授業では「具体」→「抽象」、家庭学習では「抽象」→「具体」

【強化】
「検索練習」
・問題演習
・問題作成
・覚えていることを白紙にすべて書き出す
・フラッシュカード(一問一答)
・コンセプトマップを作る

(イメージ作成)英語
定期テスト範囲内の教科書の文法単元について。問題を解くときの注意点を記載。

分散学習は他の学習方法と一緒に使う必要があります。なぜなら、分散学習は学習時間を空ける方法であり、学習方法ではないからです。検索練習は、すべての学習方法と統合することができます。精緻化では、物事がどのように機能しているのか、なぜ機能しているのかを記憶から引き出して説明できるようにする方法です。デュアルコーディング(二重符号化)では、知っていることを絵にして、絵を言葉で説明することができるようになるまで練習します。デュアルコーディング(二重符号化)と検索練習を一緒に使用することにより、情報をさまざまに表現することができるようになり、検索しやすくなります。具体化では、学習内容に基づいて自分で具体例を作ることができるようになります。勉強しているトピックに関する背景知識が多くあれば、自分で具体例を作って友達と交換することもできるようでしょう。そして、受け取った具体例が抽象的な概念の説明かどうかを考えてみましょう。

『認知心理学者が教える最適の学習法』2022 ヤナ・ワインスタイン、メーガン・スメラック、オリバー・カヴィグリオリ/著 山田祐樹/日本語版監修 岡崎善弘/訳 東京書籍


問題を解くときの大事なこと

3.「成績上位×学習時間短い」中学生は、「成績下位×学習時間長い」中学生と比べて、学習方法の項目で、最大20ポイントほど上回った。
●「成績上位×学習時間短い」子どもは、「成績下位×学習時間長い」子どもと比較して、「何が分かっていないか確かめながら勉強する」で19.9ポイント、「○つけ(答え合わせ)をした後に解き方や考え方を確かめる」で21.4ポイント上回った。

「小中学生の学びに関する実態調査」『「小中学生の学びに関する実態調査2014』速報
https://berd.benesse.jp/up_images/research/Survey-on-learning_20141119.pdf

問題を解いたあとが「試験に強くなるかどうか」を決める重要な要素です。

勉強の苦手や試験で点数が取れない子どもがよくありがちなのが、「丸つけをしない」「間違ったところを直さない」、そして「解き直しをしない」ことです。

問題は「テストを受けた時と同じ」ように解くことが大切です。「テストを受けたときの検索練習が学習に繋がります。頭の中の情報を検索することが記憶をきょうかし、後から情報を取り出しやすくなります。」(『認知心理学者が教える最適の学習法』2022 ヤナ・ワインスタイン、メーガン・スメラック、オリバー・カヴィグリオリ)
ただ、問題を解くだけでは、残念ながらできることは何も増えていません。解いた後の丸つけをして、初めて「何がわかっていないか」が「わかった」になります。

学習の効果を上げるためには解いた後に、間違えた問題があれば、教科書や授業ノートの該当箇所に戻って復習してください。「解き方や考え方を確かめて」、「できる」ようにしましょう。

以前、「効果的な解き直し」を書いて見たので、「具体的にどうしたらいいの?
」という人はぜひ最後まで読んでみてください!

通知表の「主体的に学習に取り組む態度」の評価にも繋がる!

間違えたときに「どんなことに気をつけなければならなかったか」や「大事なポイント」を書き込むことも効果的な学習に繋がります。

例えば、以下のようにポイントになる箇所に吹き出しをつけたり、四角で囲ったりと目立つようにする工夫や、「これ、めっちゃ大事」と書くことは復習する時に注意が払いやすくなります。

「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料(小学校編)算数
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/hyouka/r020326_pri_sansu.pdf
「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料(中学校編)数学
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/hyouka/r020326_mid_sansu.pdf

さらに、これらのようなメモは学校での通知表にも効果があります。学校の先生が子どもたちの通知表をつけるときの参考資料になる国立教育政策研究所が発行した『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』をみると、このような取り組みは「主体的に学習に取り組む態度」の評価項目の観点に影響します。

最初は「どんなことを書いたらいいかがよくわからない」となるかもしれません。
授業で習った解き方を見直したり、間違えた箇所を言葉にしたり、どうして間違ってしまったかを考えていくとメモする力はついてきます。

時間をかけてでも身につけていきましょう!!

各教科における評価の基本構造

勉強時間の目安

「小中学生の学びに関する 実態調査(速報版)」 2014 ベネッセ教育総合研究所
https://berd.benesse.jp/up_images/research/Survey-on-learning_20141119.pdf

『少なくても一日30分以上は学習時間に当てる』

H30年度に実施された全国学力・学習状況調査の結果からはそもそも約半数の子どもたちが家庭での学習を全くしていないことが明らかになっています。しかし、少しでも家庭学習をおこなっている子たちは学力に大きな差が生まれます。だからこそ、まずは家庭での学習時間を確保することから始めましょう。
さらに、他の調査では成績上位者と下位の子たちとの学習時間の平均は小学生では「成績上位」の子と「成績下位」の子でその差は30分程度、中学生では20分程度です。

「中学生の学習時間と学力の関連-1日の学習時間および家庭学習に着目して」『岐阜大学教育学部研究報告』2020 古田 真太郎・春日 晃章・大坪 健太 
https://www.ed.gifu-u.ac.jp/file/4408.pdf

意外に差は小さいですよね。
そのため、1日少なくても30分は学習時間を作り、勉強する。
ここから始めていきましょう!!

学習時間の違いによる学⼒差に関して,学習時間が⻑い⽣徒の学⼒は⾼く,1 ⽇ 120 分以上学習する⽣徒が 60 分未満の⽣徒に⽐べて特に学⼒が⾼いことが明らかとなった。加えて,1 ⽇に勉強を全くしない⽣徒たちの学⼒が顕著に低いことが⽰唆された。
学習時間には努⼒の指標としての側⾯があることが指摘されている(苅⾕,2000)。学習時間と学⼒の関係性について,授業外での学習に費やされた時間には⽣徒本⼈の学習する意思が働いており,積極的な学習によってこそ学習成果はより⾼まること(⾕村,2011)や,学習の意欲が⾼い学⽣ほど学習時間が⻑く成績も良いことが報告されている(三好,2015)。これらのことから,学習時間の⻑さと学⼒には強い関係性があることが考えられ,学⼒を向上させるためには学習時間を増やしていくことが必要不可⽋であると推察された。

参考文献
苅谷剛彦:学習時間の研究 -努力の不平等とメリトクラシー-,教育社会学研究第 66 集,2000
谷村英洋:大学生の学習時間と学習成果,大学経営政策研究第 1 号,69-84,2011
三好登:大学生の学習時間・学習意欲と学習成果との関係,大学教育学会誌,37,134-9,2015

「中学生の学習時間と学力の関連-1日の学習時間および家庭学習に着目して」『岐阜大学教育学部研究報告』2020 古田 真太郎・春日 晃章・大坪 健太 https://www.ed.gifu-u.ac.jp/file/4408.pdf

2.「成績上位」の子どもほど1日の学習時間が長い。ただし、「成績上位」の子どもであっても、小学生約6割、中学生5割が、1時間以下程度の学習時間であった。
●成績別の子どもの1日の学習時間をみると、小学生の「成績上位」は1時間38分、「成績下位」は1時間7分、中学生の「成績上位」は1時間35分、「成績下位」は1時間13分である。「成績上位」の子どもは「成績下位」の子どもに比べて、平均で20~30分程度学習時間が長い。
●ただし、「成績上位」の子どもであっても、小学生で約6割、中学生で5割が、1日の学習時間が「1時間くらい」以下である。
3.「成績上位×学習時間短い」中学生は、「成績下位×学習時間長い」中学生と比べて、学習方法の項目で、最大20ポイントほど上回った。
●「成績上位×学習時間短い」子どもは、「成績下位×学習時間長い」子どもと比較して、「何が分かっていないか確かめながら勉強する」で19.9ポイント、「○つけ(答え合わせ)をした後に解き方や考え方を確かめる」で21.4ポイント上回った。

「小中学生の学びに関する実態調査」『「小中学生の学びに関する実態調査2014』速報
https://berd.benesse.jp/up_images/research/Survey-on-learning_20141119.pdf

【最適な学習のための用語集】

【1】分散学習
2つ以上の時間帯に分けて学習や練習する機会を設けること
【2】検索練習
学習した情報を長期記憶から引き出す方法
【3】インターリーブ(交互配置)
勉強している時に考え方や問題を切り替えること
【4】精緻化
持っている記憶に詳細な情報を加えること。持っている知識と新しい情報を統合すること
【5】具体化
抽象的な情報を、具体的な物語、絵、例示などで示すこと
【6】二重符号化(デュアルコーディング)
言語的な情報と視覚的な情報を組み合わせること。

『認知心理学者が教える最適の学習法』2022 ヤナ・ワインスタイン、メーガン・スメラック、オリバー・カヴィグリオリ/著 山田祐樹/日本語版監修 岡崎善弘/訳 東京書籍

学習の進めかた

効果的な学習方法

学習時間は毎日30分を目安に進めることが大切!!

学習方法を見直して、「できる」自分を作りにいこう!

さて、効果的な学習方法を紹介しましたが、一度聞いただけではなかなか行動するのは難しいと思います。

しかし、「できる自分を作る」上で大切なことは
繰り返し、繰り返し試しながら、身につけていくこと
に尽きます。

誰かに「今までは上手く勉強できなかったけど、この学習方法が役立つな…」と思ってもらうことができれば、嬉しいです!

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