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暑い。北海道に住みたい。

昨年2023年の夏はとても暑かった。

うちは、夫は在宅勤務と出社が半々、出社日の朝は7時には出て帰りは10時くらいだから炎天下を歩くことはなかった。こどもはどこにも出かけないからずっと冷房のついたリビングにいた。私も大体リビングにいて、残りは洗濯機のところ(屋内)や、玄関での宅配の受け取り、たまに近くの角までゴミを出しに行く、くらいだった。庭の草が伸び伸び伸びていたけど、草取りなんかしたら生還できる気がしなくて、お隣には申し訳ないけど秋まで放置していた。だから大丈夫、と思った。

でも。冷房は初夏は28度に設定、効かなくなってきて徐々に下げていったけど、一番暑かった頃、どうしても昼の室温が30度近くなってしまった。こどもは暑がりなので半袖Tシャツすら脱いでしまい、まるでビーチにいるかのように短パンだけでパソコンをやっていた。

ある日こどもに蕁麻疹が出た。今までなかったことなので、心配して蕁麻疹について調べまくったけど、多くの蕁麻疹は原因がわからないらしい。こどもは偏食なのでいつもと同じものしか食べていないし、変なものも触っていないし、出かけてもいないし、熱もない。ただ足や腕やいろんなところに蕁麻疹が出たり消えたりして、3日ほど続いてから治った。

それから別の日、朝ごはんの後で寝っころがったこどもがいきなり吐いた。これもあまりないことなので驚いて、なんでかなと考えながら片付けて、また吐いて片付けて、昼ごはんは食べず、様子を見ていると夕方には元気になった。食中毒でも夏風邪でもなさそうだった。

私のほうは、とにかく疲れやすかった。少し皿洗いをするともう立ってるのが辛くて、座って30分休憩、家事が全然捗らない。今すぐ布団にもぐって1週間くらい眠り続けたい、と毎日思っていた。更年期かな?手の関節が痛くなったこともあったし、これから何年もこんな感じなのか、それとももっと体力って落ちるのかな?と思いながらどうにか毎日を回していた。
晩ごはんが9時10時になってしまい、その後お風呂に入るから寝る頃は日付が変わり、寝不足で更にだるくなる悪循環。

秋、ついに涼しくなった、いや、寒い?と思った頃、気づくと私は以前と同じくらいの体力(ただし人並み以下ではある)に戻っていた。
もしかしてあれって更年期じゃなくて夏バテだったんじゃないか?
こどもも夏バテだったんじゃないか?と、ここで気づいた。

一番暑いところに出ていた夫は例年と変わりなかった。なんでだろ?
夫の実家のある市が気温39度で全国ニュースに地名が出た日、夫の母に心配してLINEしたら、扇風機のみで昼寝してて起きてニュース見て知った、と返信があった。どうなってるの?
私の実家はうちと同じく冷房つけっぱなし。習慣なのか両家の体質が違うのか?

今住んでいる町は、この地方ではそんなに暑いほうじゃなくて、多治見や名古屋みたいな温度にはならない。そこと比べればいいんだけど。
でも、私が子どもだった昭和終わりごろの記憶だと、7月でもまだプールの授業が寒かったこともあったし、真夏は暑くて冷房もなくて寝苦しかったけど、日中でも30度を超えると「今日はあっついね」なんて言って、33度なんかだと祖母は「今日はたまらんあっついね!溶けそう」と言っていた。
昭和の感覚で考えると、去年は5月に入る前から10月が終わるまでずーっと暑くて、そのうち2ヶ月くらいは連日たまらん暑くて、その中には信じられない38度の日も何回かあった。そんな38度の日に歩いて外出とかありえない、と私は思っていた。こどもがホームスクーラーでインドア派でほんとによかったと思った。

毎年この暑さ、年々もっと暑くなるとしたら、寿命が縮みそうな気がしてきた。海のお魚でも海水温で移動してくるんだから、人間だって生き物としては気候変動に合わせて移動する方がいいんじゃないのかなあ、と思いながら、全国の温度分布などを見るようになった。

軽井沢のあたりって周りと比べて本当にポツンと涼しい場所なんだな、とか、北海道でも暑くなるところは暑いのか、とか。
長野か北海道に住みたいなあ、と移住情報を見るようになり、長野のほうが近いけど、涼しい地域はだいたい山。坂道は苦手。北海道のほうがいいかも、と思うようになった。

「お父さん、北海道で転職しない?軽井沢とか開田高原とか涼しいところでもいいよ」
と言ってみたけど、すでに転職に挫折している夫はあっさり、
「無理だね」
の一言だった。しかし、
「お母さんとこどもでどっか引っ越すっていうならいいけど」
と言う。いいの?逆単身赴任か。お金は足りるのか?
さみしくないのか聞くと、夫は一人暮らしは気楽でいいかもと思ってる様子。

とりあえず決断は横に置いといて、情報を集めながら冬を過ごした。冬は、うちの地域は昔も今も一冬に一回雪が降るくらいで、うっすら積もって昼には溶けてるし、水道が凍るような氷点下になることはまずなく、冬だけでいうならここのほうが快適だと思う。でも1年の半分がもう夏だし冬は短い。

今まで見た情報から感じたことをまとめると、
北海道はよくなかったと言ってる人たちは、寒いのが苦手な人、雪が嫌な人、東京都心並みの都会がないとつまらない人。
北海道に住んで良かったと言っている人たちは、暑いのが苦手な人、花粉症の人、都会が苦手な人、自然が好きな人、農業したかった人、あの虫が苦手な人、が多いようだった。
私は概ね後者なので北海道移住願望は募っていった。

道内の自治体のページや、道民のSNS、北海道が舞台のドラマ、あれこれ見る。

広大な北海道のどこに住みたいか考え中。しかし運転免許がないので街なかじゃないと無理そう。

こどもが「ぼく雪かきしたくない」と言った。私もこなす自信ない。そういう人はマンションに住めば雪かきしなくても暮らせるらしい。

できれば次の夏が来る前に、と思っていたのにすでに夏が来てしまった。決断力のある人ならもうとっくに引っ越してただろう。でも私は夫から
「お母さんは石橋を叩いて叩いて叩き壊して結局渡らない人だよね」
と笑って言われたくらいの慎重派なので時間がかかる。

こどもは学校に通わないので普通の子育て家庭と違って転校問題はあまりない。お友達と離れたくない、なんてことは全く無いので。
ただし歯医者など以外では「ぼくは外に出ない」と言う子なので、この子を連れて引っ越すってどうやって?という難問がある。引っ越し以前に賃貸物件の下見に行くのもどうしよう。こどもと旅行したことがない。置いても行けない。

と思ってたら、オンラインで内見と契約できて鍵は郵送してくれる不動産屋さんもあるみたい。そういう手もあるのか。

このまえ三島菜央さんがVoicyでオランダ移住のお話をされていた。

そのなかで「家を建てるということはその人をその土地に長く居させる」とおっしゃっていて、まさにうちもそうだ、と思った。

いま住んでる家は注文住宅で、私の実家に近く、床材からふすま紙からあれこれ選んで、こどもがおじいさんになるまで住むんだろうと考えていた。

移住するならたぶんこれを手放すことになる、と思ってたら、夫は今の仕事をするうちは一人でここに住むと言う。
「ローンと家賃、両方払えるの?」
「今は」
「今は?」
「老後のこと考えなければ」
「老後・・・」

戸建ての持ち家があるのは安心感はあるけど管理は大変。
賃貸の集合住宅は管理は楽そうだけど家賃はずっとかかるし足音など気をつけないといけなさそう。
暑い寒い、お父さん居る居ないも含めて、こどもにとってはどっちが住みやすいんだろう?

こことは気候区分も生物もちがう北海道。ブラキストン線の向こうに住んでみたい。