『東京魔人學園剣風帖』に感情移入できる理由
『東京魔人學園剣風帖』は、東京魔人學園伝奇シリーズの第1作として1998年6月16日に発売されたプレイステーション用学園伝奇ジュヴナイルゲームソフト。製作はシャウトデザインワークス、発売元はアスミック・エースエンタテインメント。ストーリーはADV、戦闘はSLGで展開する作品です。
現代の東京を舞台に、不思議な能力を持った高校生たちが異形のものと力を合わせて戦う……。 そんな設定に燃え滾った人も多いのではないでしょうか。
自分はこのゲームがなければゲーム業界にいなかったと言えるほど好きなソフト。無限に作品の魅力を語ることはできるのですが、今回はなぜ『東京魔人學園剣風帖』は感情移入できるのか、その核を担う2つのシステムについて紹介したいと思います。
まずは「感情入力システム」。主人公は通常の選択肢ではなく、コントローラーの各ボタンに対応した愛・友・同・喜・悩・怒・悲・冷という8つの感情(加えてボタンを押さないことで無視も可能)を相手に伝えることができます。
このシステムにより「俺、そんなセリフいわねー」という違和感がないんですよね。逆に想像力が働くぶん、より感情移入することができます。
ただ、これ作るほうはすごく大変なシステムなんですよ。いくつも会話パターンを作らなければいけないのでボリュームが膨大。さらに、プレイヤーに「こういう意味で怒ったんじゃないんだけど」というふうに齟齬を生ませたら失敗してしまいます。
かつて『東京魔人學園剣風帖』をリスペクトし、システムを模したゲームが発売されましたが、そちらはとても不評でした。作ろうと思って簡単に作れるものではないんですよね。
もうひとつのポイントがインターバルの会話。1話完結型の本作では各話ごとに各キャラクターに部活などをさせて能力を上げることができます。
ここで会話を選ぶと好感度が上昇するのですが、この会話がキモ。SLGだと戦闘に参加しないキャラクターが空気になりがちだし、各話で仲間になったゲストキャラクターたちにはその後のADVパートにもそれほど出番がありません。
しかし、この会話があることにより事件を一緒に振り返ることで共に戦っている仲間であることを実感できるのです。ストーリーが進むにつれて関係も深くなっていき、会話も熱くなっていきます。
このシステムのおかげで『東京魔人學園剣風帖』のキャラクターはユニットではなく、キャラクターとして生きてくるのです。
いかがだったでしょうか。
和風の世界観と熱い青春劇が楽しめる『東京魔人學園剣風帖』。黒魔術やクトゥルフ、陰陽道など多彩なオカルトが作品に出てくるので、ためになるのかならないのかよくわからない知識もいっぱい手に入るのでぜひプレイしてみては?
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